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男性の膀胱炎が少ない理由──体のしくみと年齢の影響をやさしく解説【医師監修】

男性の膀胱炎が少ない理由──体のしくみと年齢の影響をやさしく解説【医師監修】

「男性は膀胱炎になりにくい」と言われるのはなぜ? 本記事では解剖学的な理由前立腺のはたらき、そして年齢による変化を、受診の目安とともにわかりやすく解説します。症状があるときは自己判断で市販薬や手持ちの抗菌薬を使わず、検査を受けましょう。

男性に膀胱炎が少ない主な理由(3つ)

  1. 尿道が長い・肛門から遠い:女性に比べて尿道が長く尿道口が肛門から離れているため、細菌が膀胱に到達しにくい構造です。
  2. 前立腺の抗菌作用:前立腺や精液には亜鉛などの抗菌成分が含まれ、細菌の増殖を抑えるはたらきがあると考えられています。
  3. 周囲環境の違い:女性は尿道口が膣・肛門に近く、大腸菌などが侵入しやすい一方、男性は日常的な細菌の付着機会が比較的少ないとされます。

※とはいえ男性でも膀胱炎は起こります。特に痛みを伴う排尿・頻尿・血尿・発熱や腰背部痛があれば、早めに受診を。

年齢で変わる:50歳以降は増える理由

  • 前立腺肥大症(BPH)尿の出が悪くなる/残尿が増える → 細菌が増えやすい
  • 尿閉・カテーテルなどの医療処置尿路結石糖尿病などの基礎疾患。
  • その結果、男性の膀胱炎は「複雑性UTI」扱いとなることが多く、前立腺の関与(前立腺炎)を念頭に評価します。

症状があるときの受診目安(前立腺炎や結石との違いも)

こんな症状は当日受診がおすすめ
  • 排尿時痛・頻尿・残尿感がある
  • 血尿、尿のにごり・におい
  • 38℃以上の発熱腰・背中の痛み(腎盂腎炎のサイン)
  • 会陰部の痛み・違和感、射精時痛(急性前立腺炎のサイン)
  • 尿が出にくい、出ない(尿閉)
診察で行うこと
  1. 尿検査・尿培養(必要に応じて感受性検査
  2. 前立腺の炎症が疑わしい場合は診察・血液検査など
  3. エコーで残尿や結石、尿閉の有無を確認
  4. 結果に応じて適切な抗菌薬症状コントロールを行います

手持ちの抗菌薬は使わないでください(合わない・途中中止で耐性化・検査が陰性化の恐れ)。

よくある質問(Q&A)

若い男性でも膀胱炎になりますか?
ありますが頻度は低めです。症状があれば尿検査を受けましょう。性感染症による尿道炎など別の原因の場合もあります。
50歳以降で増えるのはなぜ?
前立腺肥大症などで残尿や尿閉が起こりやすく、細菌が増えやすくなるためです。結石やカテーテル、糖尿病なども影響します。
男性の膀胱炎は「複雑性」って本当?
多くの場合前立腺の関与や基礎疾患を考えるため、複雑性UTIとして扱います。治療は検査結果に基づきます。

医師監修

0th CLINIC 日本橋 医師(内科/泌尿器・感染症)
最終更新:

信頼できる根拠(公的機関中心)

本文は上記の公的資料・政府系サイトおよび一次文献に基づいて作成しています。解釈は施設の診療方針により差が出るため、最終判断は主治医と行いましょう。

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本記事は一般的な情報提供です。高熱・背部痛・尿が出ない・会陰部痛などがあれば速やかに受診してください。研究・推奨にはCOI(利益相反)や出版バイアスの影響があり得ます。個別判断は診察・検査結果に基づきます。

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