コラム
風邪が治りにくい…免疫力が落ちていますか? の見極めと受診の目安【医師監修】
風邪が治りにくい…免疫力が落ちていますか? の見極めと受診の目安【医師監修】
「最近、風邪が長引く」「何度もぶり返す」。免疫が弱っているのでは?と不安になりますよね。
本記事では、風邪のふつうの経過、長引くときの理由、受診の目安、そして今日からできる対策を、やさしく解説します。体調に不安がある時は自己判断より受診をおすすめします。
風邪のふつうの経過と「受診の目安」
一般的なかぜ(上気道感染)はウイルスが原因で、多くは5〜7日程度で自然に改善します。次のような場合はクリニック受診を検討してください。
- 症状が10日以上よくならない、またはいったん良くなって再び悪化する
- 発熱が4日以上続く、息苦しさ・脱水がある
- 基礎疾患が悪化している、高齢・妊娠中・免疫抑制などリスクが高い
※多くのかぜに抗菌薬(抗生物質)は不要です。必要かどうかは診察で判断します。
治りにくい・ぶり返す主な理由
- ウイルス後咳嗽:咳が3〜8週間続くことがあります(胸部X線が正常でも)。
- 二次性細菌感染:副鼻腔炎や気管支炎などを合併。
- 別の病気:アレルギー性鼻炎・喘息・胃食道逆流・百日咳など。
- 生活要因:睡眠不足・過度の飲酒・喫煙・強いストレス・栄養不足。
※長引く、悪化する、3週間以上の咳や血痰・胸痛・体重減少などがある場合は、早めに受診してください。
“免疫力低下?”の見極めと注意サイン
- 同僚・家族より感染が重く長引くことが多い
- 高熱・息苦しさ・意識の変化などの重い症状が出やすい
- 糖尿病・腎疾患・自己免疫疾患、ステロイド・免疫抑制薬の使用などがある
上記に心当たりがある方、風邪が10日以上続く方は検査で現状を把握しましょう。
今日からできる対策(できる所からでOK)
睡眠:質と量の確保。就寝・起床のリズムを整え、画面は就寝前に控えめに。
運動:速歩30分×週5日+筋トレ週2日を目安に。無理なく継続を。
食事:主食・たんぱく質(魚・肉・大豆)・野菜・果物・発酵食品をバランスよく。
禁煙:禁煙で呼吸器症状と感染リスクは早期から改善。
節酒:長期の大量飲酒は感染症リスク増。量と頻度を見直す。
ワクチン:季節性インフルエンザ等、推奨されるワクチンは適切に接種。
感染対策:手洗い・咳エチケット、体調不良時は無理せず休む。
※ビタミン・ハーブなどのサプリは効果が限定的で相互作用もあります。鼻用亜鉛製品は嗅覚障害の報告があるため使用しないでください。利用を考える場合は医師と相談を。
よくある質問(Q&A)
「免疫を上げる食べ物」やサプリは必要?
バランスの良い食事が基本です。ビタミンCや亜鉛は不足しない範囲で日常摂取を。高用量のサプリは効果が限定的で、副作用・相互作用に注意が必要です。
市販薬で様子をみてもいい?抗菌薬は?
解熱鎮痛薬や去痰薬などで症状を和らげるのはOK。ただし抗菌薬はウイルスの風邪に無効で、自己判断での服用は避けましょう。
どのくらい続いたら受診?
目安は10日以上の遷延、4日以上の発熱、息苦しさ、強いだるさ、脱水。3週間以上の咳も受診を。
医師監修
0th CLINIC 日本橋 医師(内科/感染症・一般)
最終更新:
信頼できる根拠(公的機関中心)
- CDC:10日以上続く症状・4日超の発熱・悪化/再燃などは受診を推奨。Manage Common Cold。
- 厚生労働省:咳エチケット・手洗いは基本の感染対策。咳エチケット/手洗い資料。
- 厚労省 手引き:かぜはウイルスが主で抗菌薬は通常不要。抗微生物薬適正使用の手引き 第三版。
- 睡眠:良質な睡眠は免疫を含む健康維持に重要。健康づくりのための睡眠ガイド2023。
- 運動:週150〜300分の中強度等のWHO推奨。WHO 2020ガイドライン。
- 禁煙:禁煙で呼吸器症状・感染症リスクが低下。e-ヘルスネット。
- 飲酒:大量飲酒は呼吸器感染リスク増。NIAAA。
- サプリ:鼻用亜鉛は嗅覚障害の報告、高用量サプリは慎重に。eJIM(厚労省)。
- 遷延性咳嗽:3〜8週間は感冒後咳嗽を考慮。日本の総説。
本文は上記の公的資料・政府系サイトおよび一次文献に基づいて作成しています。解釈は施設の診療方針により差が出るため、最終判断は主治医と行いましょう。
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本記事は一般的な情報提供です。高熱・息苦しさ・意識の変化・脱水、3週間以上の咳などがあれば速やかに受診してください。研究・推奨にはCOI(利益相反)や出版バイアスの影響があり得ます。個別判断は診察・検査結果に基づきます。