コラム
【泌尿器科医師監修】梅毒の定量検査結果の見方|感染の有無・活動性・治療効果がわかる
判定が難しい、梅毒定量検査の結果
梅毒は、**Treponema pallidum(梅毒トレポネーマ)**という細菌が原因で起こる性感染症です。早期発見と治療が非常に重要ですが、その判断に欠かせないのが「定量検査」です。
今回は、実際の検査結果のどこを見れば、何がわかるのかを、医師監修のもと解説します。
梅毒の検査には2種類ある?
梅毒の血液検査は、主に以下の2つのタイプに分けられます。
検査名 | 種類 | 検査の意味 |
---|---|---|
非トレポネーマ検査(RPR定量など) | 活動性を調べる検査 | 現在、炎症や病原菌の活動があるかどうかをチェック |
トレポネーマ検査(TPHA定量など) | 梅毒菌そのものに対する抗体検査 | 梅毒に感染したことがあるかを判断 |
RPR定量とは?活動性の指標
RPR(Rapid Plasma Reagin)定量検査では、梅毒に対する体の反応(非特異的抗体)を測定します。
- 数値が高い=現在活動性が高い
- 治療により数値が下がっていくことで「効果あり」と判断
- 単位は「1:○○」と表記され、数値が大きいほど活動性が高いとされます。
🔍 例
- 治療前:RPR 1:64
- 治療後:RPR 1:4(→ 16倍低下)
これは治療が効果的だったことを示します。
TPHA定量とは?感染歴の確認
TPHA(Treponema pallidum Hemagglutination Assay)定量検査は、梅毒菌そのものに反応する抗体を測定します。
- 一度陽性になると、治療後も陽性のまま残ることが多い
- よって、現在の活動性を知るには不向き
- ただし、「感染歴があるかどうか」はこの検査でわかります
実際の検査結果の見方
以下は、よくある検査結果のパターンとその読み取り例です。
RPR定量 | TPHA定量 | 解釈 |
---|---|---|
陰性 | 陰性 | 梅毒感染歴なし |
陽性(高値) | 陽性(高値) | 現在、活動性のある梅毒(要治療) |
陽性(低値) | 陽性(高値) | 治療後の残存抗体 or 過去の感染。 再燃の可能性もあるため医師による判断が必要 |
陰性 | 陽性 | 過去に梅毒感染あり。現在は活動性なし |
治療効果の判定にも使われます
治療後の経過観察では、RPR定量値の4倍以上の低下が治療効果の目安とされます。
- 例)1:32 → 1:8(4倍低下) → 治療成功と評価
- 通常は、3〜6か月ごとの検査で経過を追います
当院では丁寧な解釈とアフターフォローを行います
梅毒の検査結果は、単に「陽性・陰性」だけでは判断できない奥深さがあります。当院では、数値の変化を正確に読み取り、再検査や治療の必要性を丁寧にご説明しています。
- 気になる症状がある方
- パートナーが梅毒と診断された方
- 治療後のフォローアップをご希望の方
よくあるご質問
Q:RPRが陽性でTPHAが陰性ですが?
→ 偽陽性の可能性があります。妊娠や膠原病、他の感染症でもRPRが一時的に陽性になることがあるため、再検査や別の検査が必要です。
Q:一度治ったら、もう検査は不要ですか?
→ 定期的なフォローアップをおすすめします。特に再感染リスクがある場合、RPRの再上昇を見逃さないために継続的な確認が重要です。
まとめ
梅毒の定量検査では、
- RPR定量:現在の活動性と治療効果を確認
- TPHA定量:感染歴を確認
というように、それぞれの役割があります。検査結果の正確な解釈には医師の判断が不可欠ですので、気になる方はお気軽に当院までご相談ください。