コラム
胃カメラは痛い?──それは古い話。いまは“気づいたら終わっている”。【医師監修】
胃カメラは痛い?──それは古い話。いまは“気づいたら終わっている”。【医師監修】
結論:鎮静(静脈麻酔)や経鼻の細径スコープ、CO2送気などの進歩で、検査はぐっと楽になりました。
「オエッ」が苦手な方、過去に嫌な経験がある方でも、“寝ている間に終わる”方法が選べます。
なぜ“いまは楽”なの?(技術の進歩)
- 鎮静(静脈麻酔):点滴でうとうと〜入眠。多くの方が「気づいたら終わっていた」と感じます。
- 経鼻・細径スコープ:舌根に触れにくく咽頭反射が起きにくい。経口でも細径(5〜6mm)なら負担が小。
- CO2送気:体内で速く吸収され、検査後のお腹のハリが少ない。
- 画像強調(例:NBI等)と拡大観察:表面微細血管まで見やすく、見逃し低減に貢献。
※鎮静の有無・方式は施設により異なります。「寝ている間に」をご希望の方は、鎮静対応の有無を事前にご確認ください。
選べる方法:鎮静・経鼻・経口(比較表)
方式 | 楽さ(主観) | 特徴 | 向く人 | 注意 |
---|---|---|---|---|
鎮静あり(静脈麻酔) | ★★★★★ | 寝ている間に終了。 前投薬+酸素・モニター管理。 |
嘔吐反射が強い/過去に辛かった/検査が不安 | 当日車の運転不可。持病や薬で使えない場合あり。 |
経鼻(細径スコープ) | ★★★★☆ | 鼻から挿入で「オエッ」が起きにくい。 | 鎮静を避けたい/当日仕事・車の運転が必要 | 鼻出血のリスク(少数)。鼻腔が狭いと不可。 |
経口(細径スコープ) | ★★★☆☆ | 咽頭麻酔で負担軽減。 拡大観察・処置がしやすい場合あり。 |
鎮静なしで短時間で終えたい | 嘔吐反射が強いと辛いことも。 |
当日の流れと注意(準備〜食事再開)
- 前日夜9時以降は絶食(少量の水・お茶は可)。服薬は指示どおり。
- 来院→問診→同意:鎮静の希望、薬・持病(睡眠時無呼吸、喘息、腎・肝疾患等)を確認。
- 前処置:泡消し薬、咽頭麻酔、経鼻なら血管収縮薬スプレー。
- 検査10〜15分:必要に応じ色素散布・生検。
- リカバリー:鎮静ありは30〜60分休憩。説明を受けて帰宅。
- 当日は運転・重要決定を避ける(鎮静あり)。飲酒は翌日から。
安全性とリスク(チェックリスト)
- よくある副作用:のどの違和感・鼻出血(少数)・軽いふらつき。
- 鎮静の注意:呼吸抑制・低血圧のリスク。酸素・モニター・蘇生薬を備えた体制で実施。
- 鎮静を避ける/慎重:重い呼吸器疾患、重度の睡眠時無呼吸、透析中、重い肝腎疾患、重症筋無力症、妊娠後期など。
- 服薬の相談:糖尿病薬(低血糖)、抗凝固薬・抗血小板薬(生検時の出血)。
不安がある方は、事前にLINE相談で適切な方法をご提案します。
紹介ポリシー(必要時にご案内)
当院では、まず診察のうえで症状・既往・ご希望(鎮静の有無、英語対応、女性内視鏡医、早朝/土日の可否、入院・高度内視鏡治療の必要性 等)を確認し、最適な医療機関を<紹介状付き>でご案内します。営業的な提携や金銭的インセンティブは一切なく、COI(利益相反)の分離を徹底しています。
- 鎮静(静脈麻酔)対応のクリニック/健診センター
- 入院や高度内視鏡治療が必要な可能性がある場合の基幹病院
- 英語対応/インターナショナルクリニック 等
※緊急の症状(吐血・黒色便・激しい腹痛・意識障害など)がある場合は、救急外来をご利用ください。
よくある質問(Q&A)
本当に“寝ている間に”終わりますか?
鎮静の深さは個人差があり、半分うとうと〜完全に眠るまで幅があります。酸素・モニター管理のもとで安全に行います。
鎮静が使えない人は?
透析中、重症筋無力症、重い呼吸器疾患、妊娠後期などは慎重または不可。その場合は経鼻の細径スコープ等を提案します。
当日の運転は?仕事は?
鎮静ありは当日の運転不可。仕事は内容により可否が分かれます。判断に迷う場合は前もってご相談を。
医師監修
0th CLINIC 日本橋 医師(内科/消化器・内視鏡)
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本記事は一般的な情報提供です。研究・推奨にはCOI(利益相反)や出版バイアスの影響があり得ます。他院紹介は便宜上の情報提供であり、当院との資本・人的関係や金銭的インセンティブはありません。個別の可否は診察のうえで判断します。
信頼できる根拠(公的機関)
- 厚生労働省:有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン ─ 胃がん検診における内視鏡の有効性・不利益の整理。
- 厚生労働省:胃がん・乳がん検診に関する指針の改正 ─ 内視鏡検査の導入と偶発症対策・体制整備の明記。
- 厚生労働省:胃内視鏡検診を実施するにあたっての留意点 ─ 標準化・安全管理のポイント。
- 厚生労働省:医療技術の評価(炭酸ガス送気加算) ─ CO2送気が保険上評価され標準化されている事実。
- 国立がん研究センター:内視鏡検査について ─ 必要に応じた鎮静・鎮痛の使用の説明。
※上記は学会・病院サイトではなく公的機関(厚生労働省・国立研究開発法人)の情報です。本文の主張(鎮静・細径スコープ・CO2送気で“楽に”受けられる/安全管理の重要性)は、これらの公的資料の範囲で裏づけています。