アレルギー検査
🌿 アレルギー検査について
アレルギー検査は、体が特定の物質(アレルゲン)に過敏に反応するかどうかを調べる検査です。
自分では気づかないアレルギーの原因を突き止めることで、症状の予防・緩和や生活の質の向上につながります。
■ アレルギー検査でわかること
- ✅ 花粉(スギ・ヒノキ・ブタクサなど)による季節性アレルギー
- ✅ ダニ・ハウスダストなどの通年性アレルギー
- ✅ 食物アレルギー(卵・牛乳・小麦・甲殻類・ナッツなど)
- ✅ ペット(犬・猫)の毛やフケに対する反応
- ✅ 金属やラテックス、薬剤などに対する接触アレルギー
■ こんな方におすすめです
- ● くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどが季節や環境でひどくなる方
- ● 原因不明のじんましんや湿疹が出ることがある方
- ● 食後に腹痛・かゆみ・発疹が起こることがある方
- ● アトピー性皮膚炎・喘息などがある方
- ● 家族にアレルギー体質の方がいる方
💡 アレルギー検査を行うことで、生活習慣の見直しや対策がしやすくなります。
「何が原因か分からない」という不安を取り除くためにも、気になる症状がある方は一度ご相談ください。
🔍 アレルギー検査の種類と比較
アレルギーの原因(アレルゲン)を特定するための検査には、いくつかの種類があります。
検査の方法や対象、所要時間、保険適用の有無などに違いがあります。以下に代表的な検査方法を解説し、それぞれの特徴を表で比較します。
■ 主なアレルギー検査の種類
- RAST検査:血液を採取し、特定のアレルゲンに対するIgE抗体を測定する検査。少数のアレルゲンに限定して検査。
- View39:一度の採血で39種類のアレルゲンを一括測定できるパネル検査。保険適用。
- スクラッチ(皮膚プリック)テスト:皮膚にアレルゲンを直接接触させて反応を見る検査。即時型アレルギーに有効。
- パッチテスト:アレルゲンを皮膚に貼り、48〜72時間後の反応を観察。接触性皮膚炎などに使用。
- IgE抗体の総量測定:体全体のアレルギー傾向を見るためのスクリーニング的検査。原因までは特定できません。
■ 検査方法の比較表
検査名 | 対象アレルゲン | 検査方法 | 保険適用 | 結果までの時間 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
RAST検査 | 数項目まで選択可 | 血液検査(特異的IgE) | ○ | 2~5日 | 特定のアレルゲンに絞って検査 |
View39 | 39項目(食物・吸入系) | 血液検査(パネル方式) | ○(条件あり) | 約1週間 | 幅広い項目を一度に検査 |
プリックテスト | 10~20種類程度 | 皮膚にアレルゲン滴下+穿刺 | ○ | 20~30分 | 即時反応をリアルタイムで確認 |
パッチテスト | 金属・化学物質など | 皮膚貼付後48〜72時間観察 | ○ | 2~3日 | 遅延型アレルギーに対応 |
総IgE検査 | 全体的な傾向のみ | 血液検査 | ○ | 数日 | スクリーニング目的 |
🩸 RAST検査・View39・非特異的IgE検査とは?
アレルギーの原因を探るために行う特殊な血液検査が「RAST検査」「View39」「非特異的IgE検査」です。
通常の血液検査ではわからないアレルギー反応の体質や原因物質を、より正確に把握できます。
■ 検査の方法と流れ
- 採血(約3〜5ml):腕からの通常の採血です。食事制限は不要です。
- 血清分離と検査実施:アレルゲンに対するIgE抗体の有無を専用試薬で測定します。
- 検査期間:RAST検査は2〜5日、View39は約1週間で結果が返送されます。
■ 各検査の特徴と結果例
検査名 | 主な特徴 | 結果例 |
---|---|---|
RAST検査 (特異的IgE) |
項目を個別選択し、 特定のアレルゲンを検出 |
卵白:0.35 UA/mL(クラス1) ダニ:3.52 UA/mL(クラス3) |
View39 (アレルゲンパネル) |
吸入系・食物系合わせて 39項目を一括検査 |
各項目が陽性・陰性で一覧表示 |
非特異的IgE (総IgE) |
IgE抗体の総量を測定。 体質的アレルギー傾向の目安 |
総IgE:480 IU/mL(基準上限170) |
🔍 RASTやView39は原因アレルゲンの特定に、非特異的IgEは体質的なアレルギー傾向を把握するのに役立ちます。
検査選定は医師の判断により、ご希望や症状に応じてご提案いたします。
🩸 採血によるアレルギー検査
~結果判定時の注意点~
採血による特異的IgE検査はアレルギー診断に役立ちますが、結果の読み取りには注意が必要です。
■ 判定時の注意点
- IgE陽性=症状ありとは限らない
数値が高くても、症状が出ない「感作のみ」の状態もあります。 - 陰性でも症状が出ることがある
非IgE依存性アレルギーなど、IgE検査では検出できないタイプも存在します。 - 年齢による解釈の違い
乳児や小児では免疫系の未熟さにより、結果の見方が異なることがあります。 - 総IgE値はアレルギーの確定診断にならない
アトピーや寄生虫感染でも高値となり得ます。 - 症状・経過とセットで評価する
問診や他の検査とあわせて総合的に診断します。
■ 判定のポイント早見表
特徴 | 内容 |
---|---|
感作とアレルギーの違い | IgE陽性は感作、症状を伴えばアレルギー |
数値の目安 | 0.35 UA/mL以上を陽性とする施設が多い |
疾患による差 | アトピー、喘息、食物アレルギーなどで解釈が異なる |
他の検査との併用 | プリックテスト、パッチテスト、負荷試験と併用で精度向上 |
🔗 関連リンク(別タブで開きます)
💉 プリックテストとは?
~アレルギーを皮膚で調べる簡単な検査~
プリックテストは、即時型アレルギー反応(I型)の有無を調べるための皮膚検査です。
特定のアレルゲンにアレルギー反応を起こす体質かどうかを、皮膚に微量のアレルゲンを接触させて調べます。
■ 検査の流れ
- 検査部位(通常は前腕)を消毒
- 専用のアレルゲン液を皮膚に1滴ずつ垂らす
- プリッ
💉 プリックテストとは?
~アレルギーを皮膚で調べる簡単な検査~プリックテストは、即時型アレルギー反応(I型)の有無を調べるための皮膚検査です。
特定のアレルゲンにアレルギー反応を起こす体質かどうかを、皮膚に微量のアレルゲンを接触させて調べます。■ 検査の流れ
- 検査部位(通常は前腕)を消毒
- 専用のアレルゲン液を皮膚に1滴ずつ垂らす
- カー(先端の細い針)で皮膚を軽く刺激(出血しない程度)
- 約15分後に膨疹(ふくらみ)や赤みの出方を測定
▲ プリックテストを行っている実際の様子(イメージ)
■ 判定方法
判定は、膨疹の直径と赤みの大きさを基準に行います。
対照としてヒスタミン陽性対照と生理食塩水陰性対照も併用し、正確な結果が得られるよう調整されます。🕒 検査時間:約20~30分程度で完了します。
👶 小さなお子様にも実施可能で、痛みはほとんどありません。🔗 外部参考リンク(別タブで開きます)
🩹 パッチテストとは?
〜金属や化学物質による皮膚アレルギーを調べる検査〜パッチテストは、接触皮膚炎(かぶれ)の原因物質を特定するために行う皮膚テストです。
金属、香料、ゴム、染料、防腐剤など、日常的に触れる物質に対する遅延型アレルギー(Ⅳ型アレルギー)を調べることができます。■ 検査の流れ
- ① アレルゲンシートを背中に貼付
約20種類前後の検査パネルを、背中または上腕に貼ります。アレルゲンはパッチにしみ込ませてあり、肌に48時間密着させます。 - ② 48時間後に1回目の判定
医師が貼付部位を観察し、赤み・かぶれ・水疱の有無をチェックします。 - ③ 72~96時間後に2回目の判定
遅れて出現する反応もあるため、2回目の判定で最終的な評価を行います。
▲ 背中にパッチテストパネルを貼付している様子(イメージ)
■ 検査期間中の注意点
- ✅ 貼付部位を濡らさない(シャワー・汗・入浴NG)
- ✅ 貼った部分をこすらない・触らない
- ✅ 激しい運動・飲酒は控える
- ✅ ステロイド外用・内服薬の使用は事前に医師と相談
■ 判定結果について
判定結果は+(陽性)〜+++(強陽性)などの段階で記録され、
どのアレルゲンにどの程度の反応が出たかが一覧でわかるようになります。
治療方針や生活指導は、この結果に基づいて行います。🕒 検査期間:約3〜4日間かかります。
🎯 通院は最低3回(貼付・1回目判定・最終判定)が必要です。🔗 外部の信頼できる参考ページ(別タブで開きます)
❓ アレルギー検査 よくあるご質問
Q. 血液検査と皮膚テスト、どちらが正確ですか?
それぞれに特徴があり、血液検査は全身のIgE値を測定し、皮膚テストは実際の反応を見ることができます。
症状や目的によって、使い分けや併用が行われます。Q. 採血前に注意することはありますか?
基本的に食事制限などは不要ですが、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)を服用していると結果に影響する場合があります。
医師の指示に従い、必要に応じて中止してください。Q. 検査の結果が陰性でもアレルギーはありますか?
はい、非IgE型アレルギーや、特定の症状でのみ反応するタイプなど、検査で陽性が出ないケースもあります。
問診や経過観察も含めて総合的に判断します。Q. アレルギー検査は保険適用されますか?
医師が必要と判断した場合、特異的IgE検査(RAST)やパネル検査(View39)なども保険適用されます。
自費扱いになることもあるため、事前に医師とご相談ください。Q. 子どもでも検査できますか?
はい、乳児や小児でも血液検査・プリックテスト・パッチテストは可能です。
小さなお子様の場合は、医師と相談しながら適切な方法を選びましょう。📚 アレルギー検査の参考文献とエビデンス
アレルギー検査に関する医学的な裏付けのある情報源をご紹介します。
公的機関・大学・検査会社・国際的医療情報サイトなど、信頼性の高いページを掲載しています。- 日本アレルギー学会|一般向け情報
- 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会|接触アレルゲンや検査解説
- 協和キリン|アレルギー検査の基礎知識
- 健栄製薬|アレルギーと検査・治療について
- BML(ビー・エム・エル)|アレルギー検査一覧と解説
- SRL|アレルゲン検査パネルやView39の紹介
- AAAAI(米国アレルギー・喘息・免疫学会)|アレルギー全般
- NHS(英国)|アレルギー検査の種類と流れ
- Mayo Clinic|Allergy tests overview
- MedlinePlus(米国NIH)|Allergy Tests
- Mindsガイドラインセンター|アレルギー診療ガイドライン
- UpToDate|アレルギー検査の臨床解説(要ログイン)
- PubMed Central|アレルギー検査に関する査読論文
👨⚕️ 医師からのコメント・監修
「検査データは“病気のサイン”を読み解くための重要なヒントです。
健診や症状に応じた血液検査・画像検査は、早期発見や予防、治療効果の判定に欠かせません。
ただし、検査数値は体の状態やタイミングで変動するため、総合的に読み解くことが大切です。」私は長年にわたり、病理診断と内科・救急領域の診療に携わってきました。
検査結果の「背景にある意味」まで解釈できるよう、このページではなるべくわかりやすく検査の意義をお伝えしています。
気になる数値があった場合でも、ひとつひとつを丁寧に見ていくことが必要です。
ご自身の健康状態を把握するきっかけとして、ぜひ役立てていただければと思います。監修:黒田揮志夫 医師(病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長
日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急診療歴10年以上
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