コラム
健診で「コレステロールが高い」と言われたら ─ 放置しない。若い人でも要注意。
健診で「コレステロールが高い」と言われたら ─ 放置しない。若い人でも要注意
LDLコレステロール(悪玉)が高い状態は、心筋梗塞・脳梗塞の最大級の“改変可能リスク”です。とくに家族に若くして心筋梗塞・脳梗塞の人がいる場合、 家族性高コレステロール血症(FH)など遺伝要因の可能性があります。放置は禁物──数値の“理由”を見極め、いまの自分に合う対策を始めましょう。
若い人でも起こる ─ 背景に「コレステロール異常」
20〜40代でも、LDL高値が長く続くと、動脈硬化は静かに進みます。家族性高コレステロール血症(FH)では、若年で心筋梗塞を起こすことも少なくありません。 またリポ蛋白(a):Lp(a)が高い体質も遺伝的リスクとして注目されています。
「絶対に放置しない」サイン
- 家族に若くして(男性55歳未満/女性65歳未満)心筋梗塞・脳梗塞の人がいる
- LDLが非常に高い(例:180mg/dL以上が続く)/健診で毎回「高い」
- アキレス腱肥厚・皮膚黄色腫を指摘された(FHの手がかり)
- 中性脂肪が極端に高い(例:500mg/dL以上)※膵炎リスク
脳梗塞は麻痺や言語障害が残ることがあり、若年でも社会・家庭へ影響が大きい疾患です。今すぐ相談を。
受診の目安(“今すぐ” or “1〜2週間以内”)
今すぐ受診(救急も検討)
- 突然の胸の圧迫感・痛み、冷や汗、息切れ(心筋梗塞の疑い)
- 顔や手足の片側の麻痺、ろれつが回らない、視野の異常(脳卒中の疑い)
- 中性脂肪が極端に高い+強い腹痛・嘔吐(膵炎の疑い)
1〜2週間以内に受診
- 健診でLDL高値、HDL低値、中性脂肪高値を指摘された
- 家族歴・喫煙・高血圧・糖尿病など複数のリスクがある
- 数値が前回より上昇している/増減が大きい
診断・治療は血液検査の反復や他のリスク評価(血圧・血糖・肥満度・家族歴)を合わせて行います。
初診〜精密検査の流れ
- 問診・診察:家族歴(若年の心筋梗塞・脳梗塞)、既往・喫煙、薬剤歴(避妊薬、ステロイドなど)
- 採血:LDL/HDL/中性脂肪/ノンHDL、血糖・HbA1c、肝腎機能、甲状腺、必要に応じてLp(a)
- FH評価:LDLの極端な高値、腱黄色腫、家族歴からFHの可能性を評価(必要に応じ専門施設と連携)
- 動脈硬化評価:頸動脈エコー、必要に応じ心電図・心エコー、リスク層別化
- 治療計画:生活習慣+薬物療法(段階的に強化)。合併症・禁忌を確認しながら個別化。
※中性脂肪が著明高値のときは、まず膵炎予防を最優先(食事指導・内服)し、並行してLDL管理を進めます。
受診までにできること
- 脂の質を見直す:バター・生クリーム・加工肉などの飽和脂肪酸を控え、魚・大豆・ナッツ・オリーブ油へ置換
- 揚げ物・菓子の頻度を減らす(トランス脂肪酸対策)
- アルコールは控えめ:中性脂肪を上げやすい
- 食物繊維(野菜・海藻・果物・全粒穀物)を増やす
- 運動:週150分目安の有酸素+軽い筋トレ/長時間座位を減らす
- 禁煙・睡眠:喫煙は血管リスクを加速。睡眠不足も食欲ホルモンを乱します
治療の選択肢(例)
LDL対策
- スタチン:第一選択。必要に応じエゼチミブ併用
- PCSK9阻害薬(注射):目標未達の高リスクやFHで検討
- LDLアフェレシス:ごく重症のFHで専門施設と連携
中性脂肪対策
- 食事・節酒・体重調整が基本
- 著明高値(例:500mg/dL以上)は膵炎予防を優先(フィブラート、n-3系脂肪酸などを検討)
※治療の開始基準・目標値は年齢・合併症・家族歴などで異なります。医師と個別にご相談ください。
よくある質問
若いのにコレステロールが高いです。大丈夫?
若年の家族性高コレステロール血症(FH)やLp(a)高値が隠れていることがあります。放置せず、家族歴も含めて評価しましょう。
食事だけで治りますか?
軽症なら食事・運動で十分下がることもありますが、リスクが高い(数値が大きい/家族歴あり/合併症あり)場合は薬物療法を併用します。
薬は一生ですか?
多くは長期継続が基本ですが、副作用・効果・妊娠計画などを見ながら総合的に調整します。中断よりも、正しく続けることが合併症予防につながります。
中性脂肪が高いのですが、心臓と膵臓どちらが心配?
値が非常に高ければまず膵炎リスクに注意します。同時に動脈硬化リスク対策としてLDL低下も並行します。
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本記事は一般的な情報提供を目的としています。診断・治療は、年齢・家族歴・他のリスクを含めて個別に判断します。胸痛や麻痺などの緊急症状がある場合は速やかに医療機関を受診してください。