コラム
手持ちの抗生剤は飲まないで。──やさしく分かる理由と正しい対処【医師監修】
手持ちの抗生剤は飲まないで。──やさしく分かる理由と正しい対処【医師監修】
結論:余っている抗生剤(抗菌薬)は飲まない・分けない・取っておかないが安全です。
叱るためではなく、“道具を正しく使って効きを残す”ための大切なルール。この記事では、なぜ危険なのか、代わりに何をすれば良いかを、やさしい言葉でまとめました。
なぜ“手持ちの抗生剤”が危険なの?(やさしく4つ)
- 合っていない可能性:風邪などウイルスには効きません。症状が似ていても原因はさまざまで、種類・量・日数が合わないと治らず、病気を長引かせます。
- 耐性菌を増やす:中途半端な量や合わない薬は、耐性菌(効きにくい菌)を選び出します。次に本当に必要になった時に効きにくくなるおそれがあります。
- 副作用・合併症:抗菌薬は腸内細菌を乱し、下痢・腸炎(C. difficileなど)やアレルギー、肝障害・腎障害などを起こすことがあります。
- 飲み合わせ・持病との相性:ワルファリン、一部の不整脈薬、抗うつ薬などと相互作用、一部は妊娠・授乳で注意が必要。自己判断は危険です。
ポイントは、あなたに合う“正しい薬を、正しい量と期間で”選ぶこと。これは診察と検査があって初めて可能になります。
代わりに、今日できる安全な行動
- 手持ちの抗生剤は飲まない/家族や友人と分けない。
- 症状があるときは受診(LINEで相談→受診予約)。必要ならその場で検査と適切な治療を行います。
- 残薬は薬局に相談:保管や廃棄方法は地域ルールに沿って。トイレ/シンクに流さない。
- 処方どおりに飲み切る(次回のために取っておかない)。
よくある質問(Q&A)
前に処方された抗生剤が残っています。同じ症状なら飲んでもいい?
症状が似ていても原因は毎回違うことがあります。自己判断は避けましょう。まずは受診して、合う薬・量・期間を決めます。
一度飲んだら楽になりました。このまま続けていい?
楽になる=治ったではありません。途中で止めると再燃・耐性化のリスク。処方どおり飲み切り、医師の指示に従いましょう。
海外で買った抗生剤が家にあります
成分・用量・品質管理が不明な場合があり、相互作用や副作用のリスクが上がります。使用は避けて受診してください。
すでに飲んでしまいました。どうすれば?
体調に変化がないか観察し、発疹・息苦しさ・強い下痢(血便)・腹痛・発熱などがあれば受診を。自己判断で増量・継続はしないでください。
医師監修
0th CLINIC 日本橋 医師(内科/感染症)
最終更新:
信頼できる根拠(公的機関中心)
- WHO:抗生剤は処方時のみ使用/余りを共有・使用しない、Never share leftover antibiotics。
- CDC:Do not share / Do not save for later。抗菌薬後はC. difficileリスク。
- 厚生労働省:抗微生物薬適正使用の手引き(不適切使用→耐性菌)。政府広報(途中でやめると耐性菌)。
- AMR臨床リファレンスセンター(国立国際医療研関連):一般向け解説(処方どおりに服用)。
- PMDA:患者向医薬品ガイド記載の手引(残薬・廃棄方法の記載、薬局へ相談)。
本文は上記の公的資料・公的機関関連の情報に基づいて作成しています。
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本記事は一般的な情報提供です。重症感がある場合は速やかに受診してください。研究・推奨にはCOI(利益相反)や出版バイアスの影響があり得ます。個別判断は診察のうえで行います。