コラム
CTやMRIは片頭痛で必要?受けるべきケースとは|医師視点の画像診断解説
CTやMRIは片頭痛で必要?受けるべきケースとは
片頭痛の多くは問診と診察で診断できますが、「例外」や「危険サイン(赤旗)」があるときは画像検査が必要です。ここでは、医師の視点で撮るべきケースとCT/MRIの使い分け、被ばく・造影剤・費用の考え方を整理します。
結論:いつ画像検査が必要?
- 典型的な片頭痛で、神経学的異常がなく、経過も安定 → 画像検査は原則不要
- 赤旗(危険サイン)がある、初発・最悪の頭痛、性状や頻度が急に変化、神経徴候を伴う → 画像検査を優先
- 既往・年齢・合併症、薬剤の影響(抗凝固療法など)でリスクが高い → 適応を低い閾値で検討
詳細な赤旗一覧は 診断ページ に整理しています。
受けるべきケース(赤旗の実用チェック)
突然発症・最悪の頭痛
- 雷鳴頭痛(数秒〜数分でピーク)
- 今までで最悪の頭痛
神経学的異常
- 麻痺・しびれ・ろれつ不良・視野欠損など
- 発熱や項部硬直を伴う(髄膜炎など)
発症状況・背景
- 頭部外傷後、妊娠・産褥、がん・免疫不全の既往
- 年齢が高い初発、性状が急に変化、進行性に悪化
- 抗凝固薬の内服、血圧異常・感染徴候
上記のいずれかに当てはまる場合、当日〜速やかに医療機関へ。必要に応じてCT/MRIを手配します。
CTとMRIの使い分け(何が得意?)
CT | MRI(±MRA/MRV) | |
---|---|---|
得意分野 | 急性の出血・骨病変の評価が迅速 | 腫瘍・炎症・脱髄・血管病変の精査に強い |
所要時間・緊急性 | 短時間で撮影、救急で有用 | やや時間がかかるが情報量が多い |
被ばく | あり(X線) | なし |
造影剤 | ヨード造影剤(腎機能・アレルギー配慮) | ガドリニウム系(腎機能・既往を確認) |
よくある使い方 | 雷鳴頭痛でまず出血除外、外傷直後 | 神経徴候あり、二次性頭痛の精査、反復する非典型例 |
どちらを選ぶかは症状の質・タイミング・安全性で決めます。
造影剤や金属の注意点
造影を使う場面
- 腫瘍・炎症・血管病変の精密評価が必要な時
- アレルギー歴・腎機能を事前チェック
MRIと金属
- 体内金属(ペースメーカー等)は可否を必ず事前確認
- カラーコンタクトや化粧品の金属成分にも注意
費用の考え方(保険診療の目安)
保険診療では、症状・必要性に応じて実施します。自己負担は3割でCT/MRIともに「1〜3万円台」程度が目安です(検査内容により上下)。詳細は 費用と保険適用 をご覧ください。
当院の検査フロー(提携機関で実施)
- 外来での問診・診察:赤旗の有無をチェック
- 必要性の判断:CT/MRIの選択、造影の要否を説明
- 近隣の提携医療機関で撮影(当日~後日)
- 当院で結果説明・治療方針の更新
よくある質問(FAQ)
Q. 片頭痛とわかっていてもMRIを撮ったほうが安心?
A. 典型的で赤旗がなければ必須ではありません。不必要な検査は費用・時間・偶発症の観点から避けます。
Q. 雷鳴頭痛が初めて起きました。どちらを受ける?
A. まずCTで出血を迅速に除外するのが一般的です。状況によりMRI等を追加します。
Q. 造影は怖いです。避けられますか?
A. 多くのケースでは非造影で評価可能です。必要時のみ、リスクとベネフィットを説明し選択します。
Q. 妊娠中です。画像検査は?
A. 状況次第でMRI(非造影)が検討されます。緊急性や胎児への影響を総合評価します。
まとめ
- 片頭痛で常に画像検査が必要なわけではない
- 赤旗がある時は迷わず実施(CT/MRIの使い分けを適切に)
- 費用・被ばく・造影剤は必要性と安全性を踏まえて判断
受けるべきか迷ったら、まずは診察で評価を受けましょう。