コラム
家族が糖尿病です。自分もなりますか?【医師監修】
家族が糖尿病です。自分もなりますか?【医師監修】
結論:家族(親・きょうだい)に糖尿病があると、あなたのリスクは上がります。ただし“必ずなる”わけではありません。
体重・食事・運動・睡眠などの生活習慣を整え、定期的に血糖チェックをすることで、発症を遅らせる/防ぐことが可能です。気になる方はクリニックで検査しましょう。
家族歴でなぜリスクが上がる?(やさしく解説)
- 遺伝の体質:血糖を調整するホルモン(インスリン)の効きにくさ/出にくさを生まれつき持つことがあります。
- 生活習慣の“似かた”:食事の傾向、活動量、睡眠、ストレスの抱え方が家族で似やすく、環境要因も重なります。
- つまり「遺伝+生活」が合わさってリスクが上がる——でも生活は変えられます。
厚生労働省・WHO・CDC/NIDDKなどでも家族歴は主要なリスク因子として挙げられています。
1型と2型、妊娠糖尿病の違い
2型糖尿病:日本で最も多いタイプ。家族歴・加齢・体重・運動不足などが関わります。
生活改善で予防・先延ばしが期待できます。
生活改善で予防・先延ばしが期待できます。
1型糖尿病:自己免疫が関与。家族歴もリスクになりますが、予防法は確立していません。症状(多飲・多尿・体重減少など)があれば早急に受診を。
妊娠糖尿病:妊娠中に血糖が上がる状態。家族歴や体重増加などでなりやすく、出産後に将来の2型糖尿病リスクも上がるため、産後も定期チェックが大切。
早めの受診が安心:検査で分かること
- 問診・身体計測(体重・腹囲・血圧・生活習慣)
- 血液検査:HbA1c(過去約3か月の平均血糖)、空腹時血糖、必要に応じ75gOGTT(ブドウ糖負荷試験)
- 尿検査:糖・蛋白(合併症の早期発見)
- 結果説明とプラン:境界(前糖尿病)なら生活改善を中心に、必要時は薬物療法の選択肢も相談します。
※検査の基準や解釈は診療ガイドライン/施設の方針で異なることがあります。担当医とご相談ください。
今日からできる予防(できる所からでOK)
- 体重管理:少しの減量でも血糖が改善することがあります。
- 身体活動:まずは速歩30分×週5日を目安に(細切れ合計でもOK)。
- 食事:野菜・たんぱく質・全粒穀物を増やし、砂糖飲料や精製穀物・加工肉は控えめ。
- 睡眠・ストレス:睡眠不足は食欲や血糖に影響。就寝・起床のリズムを整える。
- 禁煙・節酒:喫煙はインスリン抵抗性を悪化、過度の飲酒もリスク。
大規模研究では、生活習慣プログラムで将来の糖尿病発症が大幅に減少したことが報告されています(詳細は下記「根拠」)。
よくある質問(Q&A)
親が糖尿病だと、何%くらいで自分もなりますか?
数字は研究や集団で幅があります。「家族歴でリスクは上がる」のは確かですが、生活次第で下げられます。心配なら検査で現状を確認しましょう。
健診で血糖が“やや高め”でした。受診の目安は?
家族歴がある方は早めの再検査をおすすめします。HbA1c・空腹時血糖の再確認、必要に応じ75gOGTTで詳しく評価します。
薬はすぐ必要?
多くはまず生活改善から。前糖尿病でリスクが高い場合などは、メトホルミン等の選択肢を主治医と相談します。
医師監修
0th CLINIC 日本橋 医師(内科/糖尿病・代謝)
最終更新:
信頼できる根拠(公的機関中心)
- 厚生労働省:日本人の糖尿病発症危険因子に家族歴・肥満・運動不足等。こちら。
- WHO:2型糖尿病の主なリスクに家族歴・過体重・運動不足など。Diabetes Fact Sheet。
- CDC:家族歴は主要リスク。1型でも家族歴が既知のリスク。Risk Factors。
- NIDDK(NIH):2型のリスク要因と、A1C/空腹時血糖/OGTT等の検査。Risk factors/A1C test/Diabetes & Prediabetes Tests。
- CDC/NIDDK(DPP):生活改善で発症リスクが大幅減、メトホルミンは高リスク群で有効。National DPP/DPP。
本文は上記の公的資料に基づいて作成しています。研究・推奨にはCOI(利益相反)や出版バイアスの影響があり得ます。個別の判断は診察と検査結果に基づきます。
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本記事は一般的な情報提供です。口渇・多尿・体重減少・だるさ・視力低下などがある場合は、早めに受診してください。個別判断は診察・検査結果に基づきます。