コラム
血糖値スパイクとは?—検査の選び方と毎日の対策
血糖値スパイクとは?—検査の選び方と毎日の対策
血糖値スパイクは、食後に急上昇→急降下する“乱高下”のこと。HbA1cが一見よくても起きていることがあり、動脈硬化・眠気・だるさ・過食の一因になります。本記事では、CGM/TIRの活用と、今日からできる食後10分歩行・順番食などの実践をまとめます。
要点まとめ(まずここだけ)
- HbA1cは“平均値”。スパイクの有無はCGMや食後2時間血糖で確認。
- TIR(70–180mg/dL)は70%以上を目標に(個別化)。
- 対策は少量多頻度の活動:食後10分歩行/階段/立ち仕事を足す。
- 食事は順番食+主食の量調整+飲料の砂糖ゼロが最優先。
血糖値スパイクとは?(“平均”の影に隠れる乱高下)
食後に血糖が急上昇し、その後急降下する現象。眠気・集中力低下・空腹感のリバウンドが起きやすく、長期的には動脈硬化・合併症リスクに関わります。

検査の選び方(HbA1cだけに頼らない)
1) まずは“いま”見える化
方法 | ポイント |
---|---|
食後2時間血糖 | 自宅/院内で簡便。スパイクの“ピーク”を把握。 |
連続血糖測定(CGM) | 1〜2週間で日内パターンを記録。TIR/Time-Above/Belowが分かる。 |
OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験) | 耐糖能の全体像。診断や治療方針の見直しに。 |
▶ 詳細は 検査セット早見表
2) 目標指標の目安(個別化)
- TIR(70–180mg/dL):70%以上(可能なら80%)
- Time-Above-Range(>180mg/dL):25%未満
- Time-Below-Range(<70mg/dL):4%未満
※ 年齢・低血糖リスク・妊娠などにより目標は調整します。詳細は CGM/TIRガイド へ。
今日からできる対策(“少量多頻度”と“順番食”)
A. 活動:食後10分歩行のやり方
- 食後15分以内に歩き始め、10分を目安に。
- 家の周り・オフィスの廊下・階段でOK(時速約4〜5km)。
- 転倒リスクがある場合は、立ち作業や座り足踏みでも可。
- 可能なら朝昼夕の合計30分を目指す(分割でOK)。
小さな筋収縮がブドウ糖の取り込みを促し、スパイクを“なだらか”にします。
B. 食事:順番食+主食の量調整
- ①野菜・たんぱく → ②主食 の順に食べる。
- 主食は“こぶし1つ分”を目安(丼物はご飯少なめ)。
- 飲み物は無糖(お茶/水/無糖コーヒー)。
- 甘いスイーツは食後に半分量+短い散歩をセット。
C. 主食の選び方(置き換えより“量×組合せ”)
シーン | より良い選択 |
---|---|
白ごはん | 小盛+納豆/豆腐/鶏胸などを先に。 |
麺類 | 汁少なめ・具多め・麺半分/ゆで卵追加。 |
パン | 全粒粉+卵/チキン+サラダ→最後に半分だけ。 |
D. 生活習慣のコツ
- 睡眠:就寝・起床時刻を固定。寝不足はスパイク増悪。
- ストレス:深呼吸1分×3回/短時間の散歩で切替。
- アルコール:空腹で飲まない。つまみはたんぱく+野菜。
受診の目安
- 食後2時間血糖が200mg/dL以上が続く/強い眠気やだるさが頻回
- めまい・冷汗・手の震えなど低血糖症状が出る
- 妊娠希望・妊娠中/心腎疾患の既往がある
よくある質問
HbA1cが良くてもスパイク対策は必要?
はい。平均が同じでも“乱高下が大きいほど”体への負担は増えます。まずはCGMや食後2時間血糖で状況を確認しましょう。
果物は食べてもいい?
量とタイミングを管理すればOK。食後に80kcal目安(みかん小2個/りんご小1/2 など)。単独の空腹時は避けましょう。
運動は何分がベスト?
食後10分×3回(朝昼夕)の分割が続けやすく効果的。まとまった運動が難しい日は、こまめに立つ・階段を使うなど“細切れ”で。
👨⚕️ 監修・免責
本記事は一般的な情報提供を目的とします。治療方針は年齢・合併症・内服薬により異なります。症状が強い/妊娠中/多剤併用の方は自己判断せず受診をご相談ください。
監修:0th CLINIC 日本橋 院長 黒田 紀史(病理専門医/総合診療)|更新日: