猫ひっかき病(バルトネラ)|症状・検査・治療と受診の目安
猫ひっかき病(バルトネラ)|症状・検査・治療と受診の目安
猫にひっかかれた/噛まれた後に、リンパ節(脇・首・顎の下など)が腫れて痛い。
それは猫ひっかき病(Cat Scratch Disease)のことがあります。
多くは自然に軽快しますが、膿んでいる、高熱が続く、目の症状、免疫が弱い状態などでは
早めの評価が大切です。
猫ひっかき病とは
猫ひっかき病は、主に猫のひっかき傷・咬傷などをきっかけに、 Bartonella henselae という細菌が体内に入り起こる感染症です。 猫(特に子猫)が無症状で菌を保有し、ノミが関与することもあります。
- 典型の経過 受傷部の小さな発疹 → 1–2 週間後に近くのリンパ節が腫れる
- よく腫れる場所 脇の下/首・顎の下/鼠径部 など(傷の場所に対応)
- 多くは自然軽快 ただし膿や合併症があると対応が必要
ポイント:「猫にひっかかれた」ことを忘れているケースもあります。 いつ・どこを・どんな猫に、という情報が診断の手がかりになります。
症状(典型例と注意すべきサイン)
よくある症状(典型)
- 傷の近くのリンパ節が腫れて痛い(片側のことが多い)
- だるさ、食欲低下、軽い発熱
- リンパ節が長引く(数週間〜数か月)ことがある
※リンパ節は腫れたあとに柔らかくなり、膿がたまる(化膿)こともあります。
注意が必要なサイン
- 高熱が続く/強い倦怠感
- リンパ節の腫れが急に増大、強い発赤・熱感
- 目の痛み・充血・見えにくい
- 頭痛・意識の変化など神経症状
- 免疫低下(ステロイド・免疫抑制薬、抗がん治療中、HIV など)
これらがある場合は、早めの受診をおすすめします。
他の病気との見分け(鑑別)
片側のリンパ節腫脹は、猫ひっかき病以外にも原因があります。 例:ウイルス感染(EBV等)、化膿性リンパ節炎、結核・非結核性抗酸菌、トキソプラズマ、悪性腫瘍(リンパ腫など)。 長引く・硬い・全身症状が強い場合は、必要に応じて追加検査を行います。
受診の目安
受診をおすすめ
- 猫にひっかかれた後、リンパ節が腫れて痛い
- 1 週間以上腫れが続く/大きくなる
- 発熱や強いだるさがある
早めに受診(当日〜数日)
- リンパ節の皮膚が赤い・熱い・ズキズキする
- 膿の気配(波動)や、強い痛み
- 目・神経症状がある
特に要注意
- 免疫が弱い状態
- 妊娠中(別の感染症も含め評価)
- 小児で元気がない/食べない
受診の際は、猫との接触(子猫/野良猫)、受傷の日時、傷の部位、発熱の有無をメモしておくとスムーズです。
検査(何を調べる?)
まず行うこと
- 問診・診察(傷の部位、リンパ節の場所・大きさ・痛み、全身状態)
- 必要に応じて血液検査(炎症反応など)
- リンパ節が大きい場合は超音波で「膿があるか」を確認
原因を確かめる検査(状況により)
- 抗体検査(B. henselae の抗体)
- PCR(リンパ節穿刺液などで遺伝子検出:必要時)
- 長引く場合や非典型例では、他疾患の除外検査
※培養は難しいため、一般に最初の選択になりにくいことがあります。
治療(自然軽快/抗菌薬/穿刺)
軽症:経過観察+対症療法
- 多くは自然に軽快します
- 痛みが強い場合:鎮痛薬、冷却など
- リンパ節は「腫れ→ゆっくり縮む」ことがあり、焦らず経過を見ます
※腫れが数週間以上続く場合は、経過確認をおすすめします。
抗菌薬が検討されるケース
- 腫れが強い/つらい症状がある
- 合併症が疑われる
- 免疫低下がある
抗菌薬としては、状況に応じてアジスロマイシンなどが選択肢になります。
(薬剤・期間は、年齢、妊娠、併用薬、重症度で個別に決めます)
膿(化膿)がある場合
- 超音波で確認し、必要に応じて穿刺排膿
- 排膿後のケア(清潔・ガーゼなど)と、必要時に抗菌薬
- 自己判断でつぶさない(炎症悪化・瘢痕の原因)
重要:このページは一般的な情報です。実際の診断・治療は、診察所見と検査結果により最適化します。 特に「硬くて増大する」「全身症状が強い」「長期間改善しない」場合は、他疾患の評価も含めて行います。
予防・日常生活の注意
猫にひっかかれた/噛まれた直後
- 傷は流水と石けんで洗う(できれば早めに)
- 腫れ・痛み・赤みが強い、深い咬傷は早めに相談
- 破傷風ワクチン歴や、感染予防が必要なケースもあります
猫との暮らしでできること
- ノミ対策(猫・室内環境)
- 子猫との荒い遊びを避ける(ひっかき傷を減らす)
- 免疫が弱い方は、ひっかき傷・咬傷のリスクを下げる工夫を
※人から人へ通常うつる病気ではありません。心配があれば状況に応じてご案内します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 猫にひっかかれたら必ず猫ひっかき病になりますか?
必ずではありません。多くは発症せず、発症しても軽症で自然軽快することが多いです。ただし、傷の後にリンパ節が腫れる場合は評価をおすすめします。
Q2. どれくらいで症状が出ますか?
典型的には、傷の部位の変化の後、1〜2週間程度で近くのリンパ節が腫れてきます。
Q3. どんな検査をしますか?
まず診察でリンパ節の所見を確認し、必要に応じて血液検査、超音波、抗体検査、状況によってはPCRを検討します。
Q4. 抗菌薬(抗生物質)は必要ですか?
多くは対症療法で経過を見ます。症状が強い、長引く、合併症が疑われる、免疫低下がある場合などで抗菌薬を検討します。
Q5. 人にうつりますか?家族は隔離が必要?
通常、日常生活で人から人へ広がる感染症ではありません。傷のケアと手洗いを基本に、心配があれば受診時にご相談ください。
Q6. リンパ節が膿んだらどうしますか?
超音波で確認し、必要に応じて針で穿刺して排膿します。自己判断でつぶしたりせず、早めに相談してください。
Q7. 免疫が弱い人(治療中・基礎疾患あり)はどう注意すべき?
重症化や合併症のリスクが上がることがあります。猫のひっかき傷・咬傷は避け、症状があれば早めに医療機関で評価を受けてください。
監修・免責
0th CLINIC 日本橋 院長 黒田 揮志夫
本ページは、猫ひっかき病について一般の方向けに整理した医療情報です。症状や治療方針は個々の状態で異なります。 気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関での診察を受けてください。
※医療広告ガイドラインに基づき、効果には個人差があり、診療(検査・投薬等)には費用と副作用リスクが伴います。最終的な診療方針は診察時の医師判断で決定します。
