ディフェリンゲル0.1%(アダパレン)
💊 ディフェリンゲルとは(基本情報)

▲ ディフェリンゲルチューブ
ディフェリンゲルは、ニキビ治療に用いられるアダパレンという成分を含む外用薬です。
毛穴の詰まりを予防し、コメド(白ニキビ・黒ニキビ)を改善する効果があります。
項目 | 内容 |
---|---|
一般名 | アダパレン(Adapalene) |
開発元/承認年 | ガルデルマ社/2008年に日本国内で承認 |
国内外の承認状況 | 日本、アメリカ、欧州などで承認済 |
保険適用 | 保険診療で処方可能(ニキビ治療) |
市販薬との違い |
ディフェリンゲルは医師の診察が必要な処方薬です。 市販薬にはない、角化異常を改善するレチノイド外用薬であり、医学的な効果が証明されています。 |
初期刺激が出やすいため、医師の指導のもとでの使用が重要です。
当院では、保湿剤との併用や肌質に合わせた適切な処方を行っています。
⚙️ ディフェリンゲルの効果と作用機序
ディフェリンゲル(成分名:アダパレン)は、白ニキビ・黒ニキビ(面皰)に対して高い効果を発揮する、医療用外用薬です。 特に「毛穴の詰まり」を改善する点で、他のニキビ治療薬と異なる作用を持ちます。
■ コメド形成を抑える仕組み(角化異常の改善)
ニキビの初期段階である「コメド(角栓)」は、毛穴内部の角質が過剰に増えて剥がれ落ちずに詰まることで生じます。
アダパレンは、皮膚の角化サイクル(ターンオーバー)を正常化し、角栓ができにくい肌環境を整えます。
■ 毛穴の詰まりを防ぐ作用
ディフェリンは、毛穴周囲の皮膚細胞の成長・分化を整えることで、毛穴を詰まらせにくくします。
その結果、ニキビの「はじまり」を予防し、新しいニキビができにくくなる効果があります。
■ 赤ニキビではなく、白・黒ニキビに有効な理由
ディフェリンは抗炎症作用は弱く、殺菌効果もありません。そのため、炎症性の赤ニキビよりも、毛穴詰まりが主体の白ニキビ・黒ニキビ(面皰)に効果的です。
赤ニキビには、抗菌薬(ダラシン)や過酸化ベンゾイル(ベピオ)との併用が勧められます。
■ 効果が現れるまでの期間:4〜8週間が目安
ディフェリンは、使い始めてすぐに効果を実感できる薬ではありません。
皮膚のターンオーバーを整える性質上、効果が現れるまでに4〜8週間ほどかかるのが一般的です。
初期は「赤くなる・ヒリヒリする」といった刺激症状が出ることがありますが、多くの場合時間と共に軽快します。
✅ ディフェリンは継続的な使用で効果を発揮する薬です。初期の副作用に対応しながら、医師と相談しつつ続けていくことが大切です。
🧴 ディフェリンゲルの使い方・使用方法
ディフェリンゲルは毎日1回、夜に使用する医療用のニキビ治療薬です。
使用時のポイントを正しく理解し、肌への刺激を最小限に抑えながら継続することが大切です。
■ 使用する順番(スキンケアの流れ)
- 洗顔:ぬるま湯で優しく洗い、タオルで軽く押さえるように水分をふき取ります。
- 保湿:乾燥を防ぐため、化粧水や乳液で肌を整えます(目元・唇を避ける)。
- ディフェリンゲル塗布:肌が乾いてから、気になる部位または全顔に塗布します。
※ 洗顔後15〜30分ほど置いてから塗布すると、刺激を抑えやすくなります。
■ 使用回数と時間帯
使用は1日1回、夜のみです。朝に使用すると紫外線による刺激を受けやすくなるため、夜の洗顔後に使用しましょう。
■ 塗る量と範囲
- ● 顔全体に塗布する場合:1FTUを数か所に分けて、薄く均一に
- ● 刺激が強い場合:0.5FTUに減らすか、米粒大くらいのサイズを、1日おき・2日おきに使用
※ 厚く塗っても効果が高まるわけではなく、刺激が強くなるため注意が必要です。

▲ 1FTU(フィンガーチップユニット)のイメージ
■ 使用時の注意点とトラブル時の対応
- ⚠ 目元・口元・唇には使用しないように注意
- ⚠ 紫外線に敏感になるため、日中は必ず日焼け止めを使用しましょう
- ⚠ 刺激症状(赤み・ヒリヒリ・皮むけ)は、使用開始から3日目〜2週間で出やすい
- 💡 つらい場合は3日間休薬して、肌が落ち着いたら半量で再開してください
✅ ディフェリンは“継続してこそ効果が現れる薬”です。
一時的な刺激があっても、医師と相談しながら上手に付き合うことで、肌の改善につながります。
🌙 夜のスキンケアにおけるディフェリンゲルの塗布順とその根拠
ニキビ治療中の方にとって、日々のスキンケアと外用薬の使い方はとても重要です。以下は夜のケアの基本ステップと、ディフェリンゲルを塗る最適なタイミングを整理したものです。
-
クレンジング:
メイクや皮脂汚れをしっかり落とすことで、毛穴詰まりや酸化皮脂による炎症を防ぎます。
▶ 油分ベースよりもジェル・ミルクタイプなど低刺激性のものが推奨されます。 -
洗顔:
アクネ菌の増殖を抑えるには、弱酸性かつアミノ酸系の洗顔料が適しています。
▶ 日本皮膚科学会でも「適切な洗顔による皮脂と角質の除去」を推奨しています(推奨度A)。 -
化粧水:
肌の乾燥によるバリア機能の低下を防ぐために使用。
▶ ヘパリン類似物質やセラミド配合など、保湿力の高いタイプが好まれます。 -
美容液:
ビタミンC誘導体やナイアシンアミド配合の美容液は、炎症後色素沈着や皮脂抑制に役立ちます。
▶ ただし刺激のある成分(ピーリング系など)は避けるのがベターです。 -
乳液:
軽い油分で水分の蒸発を防ぎ、肌のバリア機能を保つ役割があります。
▶ 油分の多すぎる乳液は避け、ノンコメドジェニック表示のある製品が推奨されます。 -
クリーム:
乾燥が強い方は保湿クリームで蓋をするのも有効ですが、皮脂が多い方は不要なことも。
▶ 油分が少ない保湿重視型のクリームを選びましょう。 -
ディフェリンゲル(アダパレン)
最後に、しっかり肌が乾いてから、薄く全体に塗布します。
▶ 先に保湿を済ませておくことで、初期刺激(ヒリヒリ・赤み)を軽減できます。
✅ 洗顔→保湿→乾燥 → ディフェリンの順番が基本です。
✅ ディフェリンゲルは刺激が出やすいため、保湿剤を先に使う順番が大切です。
肌の状態や使用感に応じて、医師と相談しながらスキンケアを調整しましょう。
洗顔、化粧水、美容液、クリームが必要かという問題がありますので、それは別で説明します。
⚠️ ディフェリンゲル使用中の注意事項と併用禁忌・美容施術について
ディフェリンゲル(アダパレン)は効果の高い外用レチノイドですが、一部の薬剤やスキンケア製品、美容施術との併用には注意が必要です。誤った併用は肌への刺激を強めたり、トラブルを引き起こす可能性があります。
■ 併用に注意が必要な薬剤・スキンケア
- ● ピーリング剤(AHA・BHA):併用すると角質剥離が強くなり、刺激症状が悪化する可能性があります。
- ● スクラブ洗顔料:物理的刺激で炎症や皮むけを悪化させるリスクがあります。
- ● アルコール含有化粧水:乾燥や刺激を助長しやすく、バリア機能が弱まることがあります。
- ● 他のレチノイド(トレチノインなど):重複作用による刺激が強すぎるため基本的に併用不可です。
- ● ベピオとの同時塗布:刺激が強くなりやすいため、塗る時間帯をずらすか、医師の指示に従って併用してください。
■ 禁忌・使用を避けるべき状況
- ● 妊娠中:動物実験で催奇形性が報告されており、妊娠中は原則使用禁止です。
- ● 重度の皮膚炎や日焼け直後:バリア機能が著しく低下している場合は炎症を悪化させるリスクがあります。
- ● 唇・まぶたなど粘膜周辺:角層が薄く、刺激性皮膚炎を起こしやすい部位への塗布は避けてください。
■ 美容施術との組み合わせについて
ディフェリンゲルを使用中の美容施術には、ダウンタイムや肌の反応を考慮する必要があります。
施術名 | 併用の可否 | 備考 |
---|---|---|
ケミカルピーリング(グリコール酸・サリチル酸) | ⚠ 要中止 | 施術前後3~5日間は中止が推奨されます。 |
レーザー治療(フラクショナル・トーニング等) | ⚠ 要調整 | 照射後の赤みに対して刺激が強くなるため、医師の判断で一時中止。 |
イオン導入/エレクトロポレーション | ○ 併用可 | ただし刺激のある導入液(VC高濃度等)には注意が必要。 |
ハイドラフェイシャル | ⚠ 要調整 | 角質除去作用があるため、前後2〜3日は休薬するのが望ましい。 |
✅ ディフェリンゲルは正しく使えば効果的で安全性も高い薬剤です。
美容施術や他の薬剤との併用をご希望の場合は、必ず医師とご相談のうえで調整を行ってください。
📊 他のニキビ治療薬との違い・比較
それぞれの治療薬には特徴があり、ニキビの種類や肌質に応じて使い分けが必要です。
以下は、代表的な外用薬の比較表です。
項目 | ディフェリン | ベピオ | エピデュオ | トレチノイン |
---|---|---|---|---|
主な効果 | 毛穴詰まり防止 | 殺菌+角質除去 | 両者の組み合わせ | 肌再生促進(自費) |
初期刺激 | ややあり | 強め | やや強い | 強め(自費) |
保険適用 | ○ | ○ | ○ | ✕ |
ご自身の症状やニキビのタイプによって、どの薬が合っているかは異なります。
医師が診察のうえ、最適な薬剤をご提案いたします。
🧴 ディフェリンゲルと併用できる薬・スキンケア
■ ベピオ・ダラシンなどとの併用
ディフェリンは炎症性ニキビにはやや効果が弱いため、抗菌薬と併用されることが多いです。
代表的な併用例:
- ● ベピオ(過酸化ベンゾイル)との併用 → 毛穴詰まり+殺菌のWアプローチ
- ● ダラシンTゲル(クリンダマイシン)との併用 → 赤ニキビへの抗炎症作用
■ 保湿剤の併用は必須
ディフェリン使用中は一時的に肌のバリア機能が低下するため、保湿剤との併用が非常に重要です。
例:ヘパリン類似物質含有のローション、白色ワセリン、ヒアルロン酸配合化粧水など
■ 医師に相談すべきこと
- ● ニキビ跡(色素沈着・凹凸)がある場合 → 美容的アプローチの併用も検討
- ● 炎症性ニキビが多い → 抗菌薬や内服治療も視野に
- ● 敏感肌・乾燥肌・アトピー体質 → 保湿剤の選び方や塗布方法を調整
✅ ディフェリンゲルは単独使用よりも、他の治療薬やスキンケアとの組み合わせによって、より効果を発揮します。
ご自身に合った治療方法を一緒に見つけましょう。
📚 ディフェリンゲルの効果に関するエビデンス
ディフェリンゲル(一般名:アダパレン)は、レチノイド様外用薬として、世界中で広く使用されており、 尋常性ざ瘡(にきび)治療の第一選択肢の一つです。 数多くの臨床研究やガイドラインにおいて、その有効性と安全性が科学的に確認されています。
■ 日本国内の推奨
- ● 厚生労働省により2008年に承認され、保険診療で処方可能。
- ● 日本皮膚科学会の 「尋常性ざ瘡治療ガイドライン2023(PDF)」では、面皰型ニキビに対する第一選択薬(推奨度A)と明記。
■ 国際的な評価
アダパレンは欧米でも高く評価され、以下の国際ガイドラインでも推奨されています。
- ● American Academy of Dermatology(AAD)ガイドライン:レチノイド系外用薬として標準治療に位置づけ
- ● 欧州皮膚科学会(EDF):長期使用による安全性と再発予防効果が評価され、維持療法としても有用
■ 臨床試験からの知見
- ● 12週間の治療で面皰の数が40〜60%減少(国際多施設二重盲検試験)
- ● Draelos ZDらの報告(1997年)では、他のレチノイドに比べて刺激が少なく、長期継続しやすいとされる
✅ ディフェリンゲルは、国内外のガイドラインや臨床試験で確立された信頼性の高い治療薬です。 初期の白ニキビ・黒ニキビを中心に、根本から改善を目指す治療として推奨されています。
🗣️ ディフェリンゲルを使った患者さんの声・体験談
使用開始から3日目くらいで赤みやヒリヒリを感じましたが、保湿と併用しながら3ヶ月使い続けたところ、ニキビの再発が減って肌が安定しました。
※これはあくまで個人の感想であり、効果には個人差があります。
最初は刺激が強く感じられたので心配でしたが、保湿をしっかりしてから塗るようにしたらヒリつきが軽減され、続けられるようになりました。
※これはあくまで個人の感想であり、効果には個人差があります。
❓ よくある質問(FAQ)
1日1回、夜の洗顔・保湿後に塗布するのが基本です。朝は紫外線の影響を受けやすいため使用は避けましょう。
一般的に4〜8週間ほどで効果が実感され始めます。焦らず継続することが大切です。
ディフェリン使用中は紫外線に敏感になるため、日焼け止めを必ず使用し、屋外活動時は帽子などで保護しましょう。
妊娠中は原則使用を避ける必要があります。授乳中は医師と相談の上、乳首や乳輪への使用を避ければ使用可能です。
初期には赤み・かさつき・皮むけなどが起きることがありますが、これは薬が効き始めているサインです。
保湿剤の併用や、回数・量の調整で対応できますので、無理に中止せず医師にご相談ください。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修

「ディフェリンゲルは“コメド(毛穴詰まり)を予防する薬”です。
即効性を期待するよりも、毎日のケアとして継続していくことが改善への近道となります。」
当院では、患者さま一人ひとりの肌状態やライフスタイルに合わせて、ディフェリンゲルの適応や使用方法を丁寧にご説明した上で処方しています。
副作用や他の治療薬との併用についても、医師がしっかりとサポートいたしますので、ご不安な点があればお気軽にご相談ください。
0th CLINIC 日本橋 院長
日本病理学会認定 病理専門医/総合診療、救急科での診療歴10年以上
🔗 ディフェリンゲルに関する公的情報・エビデンスリンク
当院では、ディフェリンゲル(アダパレン)を含む外用レチノイド治療を、国内外の医学的エビデンスに基づいて提供しています。
以下は、医療機関・学術団体による信頼できる外部リンクです。
- ▶ 日本皮膚科学会|尋常性ざ瘡(ニキビ)の治療指針
- ▶ PMDA(医薬品医療機器総合機構)|アダパレン製剤の添付文書
- ▶ American Academy of Dermatology(米国皮膚科学会)|外用薬によるニキビ治療
- ▶ PubMed(NCBI)|Adapalene in acne vulgaris: an evidence-based review(英文論文)
✅ 信頼できる情報源に基づいた治療方針で、患者様の肌に合わせた安全・安心な処方を行っています。
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