インフルエンザ|症状と「予防接種・予防内服」
インフルエンザ|症状と「予防接種・予防内服」
38℃以上の発熱や関節痛・筋肉痛、咳・鼻水などが急にあらわれる感染症です。
迷ったらご相談ください 重症化リスクのある方は予防接種を、受験・家庭内発生などの場面では予防内服の選択肢もあります。
インフルエンザの基礎知識
主な原因はA型(H1N1pdm09、H3N2など)とB型(ビクトリア系統など)。
「高熱+全身の痛み」が出やすく、一般的な風邪よりも急激で強い症状が特徴です。
よくある症状
- 38℃以上の発熱、寒気
- 関節痛・筋肉痛、頭痛、全身倦怠感
- 咳・鼻水・咽頭痛 など
診断の目安
- 迅速抗原検査(状況に応じ核酸増幅法)
- 流行状況・症状の出方・接触歴を総合判断
インフルエンザ予防:ワクチンと予防内服
当院では、感染予防のためのインフルエンザワクチン接種に加え、 家族内・職場内での発症を防ぐ予防内服(オセルタミビル)にも対応しています。
目的・対象・時期によって適応が異なります。詳しくは下記をご覧ください。
インフルエンザ予防接種(ワクチン)
——「かからないため」「重くならないため」。毎シーズンの接種が基本です。
接種の意義と効果
- 発症予防:その年に流行する株と一致すると効果が高まります。
- 重症化予防:かかった場合でも、入院や重症化のリスクを下げます。
- 周囲への拡大防止:家族・学校・職場などの伝播抑制にもつながります。
接種時期と回数
抗体は接種後約2週間で上昇し、効果は数か月持続します。
目安は10〜12月上旬。流行中も接種可能です。
13歳以上は通常1回接種です。
- 料金:4,400円(税込・診察料込)
- 所要時間:来院〜会計まで 10–15分目安(混雑時は前後します)
- 予約:LINEで24時間予約(当日枠があれば当日も可)
ワクチンの「成分」と「製造方法」
現在主流は不活化ワクチン。ウイルス表面のHA(ヘマグルチニン)などの抗原を含み、接種で発症することはありません。
- 卵培養(エッグベース):受精卵で増やしたウイルスを精製・不活化し、スプリット/サブユニットとして使用(国内では一般的)。
- 細胞培養:哺乳類細胞で増殖させる方式。卵由来の影響を受けにくいとされます。
- 組換えタンパク:昆虫細胞などで HA を産生する方式(海外製品で普及)。
「昔はAとBを予測」→「現在の組成」
以前は3価(A×2+B×1)が一般的でしたが、B型が2系統(ビクトリア/山形)あるため、現在は4価(A×2+B×2)が基本です。
年ごとに国内外のデータを基に推奨株が更新されます(シーズン開始前に決定)。
安全性・同時接種の考え方
- 接種部位の痛み・発赤、軽い発熱・倦怠感などが出ることがあります(多くは数日で軽快)。
- 新型コロナワクチンなど、ほかのワクチンとの同時接種も可能です(個別にご相談ください)。
経鼻の生ワクチン(LAIV:フルミスト®)について
——当院では現在取り扱いがありません。特徴のみご案内します。
- 接種方法:鼻にスプレーするだけ。注射が苦手な方にメリット。
- 対象:国内では原則2歳以上〜19歳未満。喘息重症・妊婦などは禁忌/注意があります。
- 種類:「生ワクチン」のため、基礎疾患・服薬状況により可否が分かれます。
※導入を希望される場合は、取扱い医療機関で適応をご確認ください。
予防内服(化学予防)
予防内服は、ワクチン接種+日常の感染対策(手指衛生・咳エチケット等)を補う手段です。
家庭や施設で患者さんと濃厚接触があったとき、あるいはハイリスクの方が流行期に曝露する可能性が高いときに検討します。
適応になりやすい場面(例)
- 暴露後の短期予防:家族・施設で患者と接触。ワクチン未接種、または接種直後で抗体がまだ上がっていないとき等。
- 流行期間の長期予防:ハイリスク者が流行開始後に接種した場合の「抗体上昇までのつなぎ」や、ワクチン効果が得にくい方などで個別に判断。
薬剤と飲み方(成人の目安)
第一選択(院内一般):オセルタミビル(経口)
- 暴露後の短期予防:75mgを1日1回、7〜10日間内服(家庭内は10日を選ぶ場面が多め)。腎機能低下では調整あり。小児は体重別。
- 流行期間の長期予防:曝露が続く場合に6〜8週間など個別設定(副作用・耐性化の観点から適応は慎重に)。
代替選択:ザナミビル(吸入)— 10mgを1日1回、家庭内10日、集団流行28日の目安(5歳以上)。気道過敏のある方は注意。
補足:アマンタジンはA型のみ有効で中枢副作用・耐性の問題から適応は限定的。バロキサビルは基本的に治療目的で使用され、予防は状況限定(最新の添付文書をご確認ください)。
当院での処方フロー(自費)
- 一般内科で診察(暴露状況・基礎疾患・服薬歴・妊娠可能性・腎機能などを確認)
- 適応があれば処方(例:診察+オセルタミビル10錠 8,800円/診察+吸入薬2キット 13,200円)
- 内服(または吸入)開始。副作用や注意点、並行して行う感染対策・接種の案内
よくある質問
ワクチンで「かかる」ことはありますか?
不活化ワクチンは病気を発症させません。接種後の発熱・だるさは免疫反応による一時的なことがあります。
接種と予防内服、どちらを優先すべき?併用はできますか?
まず接種を優先し、暴露直後や受験など事情がある場合に補完的に予防内服を検討します(併用可)。
今シーズンのワクチン株は?
毎シーズン開始前に国内外のデータから推奨株が決まり、4価(A×2+B×2)を基本に更新されます。詳細は院内掲示でご案内します。
経鼻の生ワクチンは誰でも受けられますか?
国内は原則2〜19歳が対象で、喘息重症・妊婦などは禁忌/注意があります。当院では現時点で取り扱いがありません。
本ページは一般向け情報です。具体的な可否・用量・期間は診察で個別に判断します。薬剤名の記載は解説目的であり、宣伝を意図するものではありません。
