トリアムシノロンアセトニド(ケナコルト)

💉 ケナコルト注射とは(ニキビ注射)

トリアムシノロンアセトニド(ケナコルト) ▲ ケナコルト-A注(トリアムシノロン)

ケナコルト注射(成分名:トリアムシノロン)は、赤く腫れた炎症性ニキビやしこり状の硬結性ニキビに対し、局所的に強力な抗炎症効果を発揮する注射治療です。

項目 内容
一般名 トリアムシノロンアセトニド(Triamcinolone Acetonide)
剤形 注射用懸濁液(皮内・皮下・筋注)
適応症 ニキビ(炎症性膿疱、硬結性ニキビ)、ケロイド、アトピー性皮膚炎など
保険適用 ○(医師が必要と判断した場合)
特徴
  • 注射後、翌日〜数日でニキビの腫れや痛みが改善
  • 炎症性ニキビの治癒期間を短縮
  • 適応があれば保険診療で実施可能

しこり状のニキビや繰り返す炎症性病変に対して、局所注射が有効な場合があります。
● 使用量・濃度は個々に調整し、副作用(皮膚萎縮・色素変化)を避けるよう慎重に管理されます。

✅ ケナコルト注射は、イベント前や即効性を求める方にも有効な治療です。
医師の診察のうえで必要と判断された場合に保険での処置が可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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💡 ケナコルト注射の作用と使い方

■ 局所ステロイド注射による強力な抗炎症作用

ケナコルト(成分名:トリアムシノロンアセトニド)は、長時間作用型の副腎皮質ステロイド製剤です。
炎症を抑える力が強く、関節炎や腱鞘炎、アトピー性皮膚炎、ニキビなどの腫れ・痛みを即効的に和らげます。

■ ニキビ注射としての使用(美容目的)

炎症性ニキビや硬結性ニキビに対し、極微量のケナコルトを皮内注射することで、数日以内に赤みや腫れが軽減します。
特に大切な予定の直前などにニキビを早く引かせたい場合に有効です。

■ 関節や腱への注射(整形外科領域)

肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)、関節リウマチ、腱鞘炎などに対しては、関節内または腱周囲に直接注射します。
持続的な抗炎症作用により、痛みの改善・可動域の回復が期待されます。

■ その他の適応例

  • ケロイド・肥厚性瘢痕への局所注射
  • アレルギー性鼻炎(鼻粘膜への注射)
  • 円形脱毛症の病変部皮内注射

いずれも限局した病変に対して用いられ、全身への影響を最小限に抑える治療法です。

■ 使用時の注意点と副作用

● 皮膚への注射では、まれに皮膚の陥凹(脂肪萎縮)や色素脱失が起こることがあります。
● 関節注射では、頻回の使用や感染リスクに注意が必要です。
● 投与量は最小限に抑えるのが基本で、医師の判断と熟練した技術が重要です。

✅ ケナコルト注射は、ニキビ治療から関節炎・皮膚疾患まで幅広く活用される局所ステロイド療法です。
即効性と局所集中治療が必要な方にとって、非常に有効な選択肢となります。副作用を避けつつ安全に使用するため、医師による判断のもとで行われます

⚠ ケナコルト注射(トリアムシノロン)の注意点

ケナコルト注射は、炎症性疾患や皮膚疾患、ニキビ、関節痛などに広く使われる長時間作用型ステロイドです。
高い効果が期待できる一方で、注射部位や投与方法により副作用リスクが伴うため、慎重な管理が求められます。

🟠 重要な注意点:
皮膚や関節などに局所注射した場合、まれに注射部位の皮膚萎縮や色素脱失、脂肪萎縮がみられることがあります。
特に顔面など皮膚の薄い部位や頻回投与は注意が必要です。

  • 皮内・皮下注射ではごく少量を使用し、部位と深さを適切に調整する
  • 関節内注射は過度に繰り返さない(軟骨障害や感染性関節炎リスク)
  • 妊娠中の局所注射は必要最小限にとどめる(胎児への影響は報告されていないが慎重投与)
  • 投与後に腫れや痛みが強い場合は、感染やステロイド反応の可能性に注意
  • 糖尿病の方は血糖値上昇の可能性があるため、経過観察が重要

❓ ケナコルト注射のQ&A(よくある質問)

Q. ケナコルトとはどんな薬ですか?

A. ケナコルトはトリアムシノロンアセトニドを有効成分とする長時間作用型ステロイド注射薬です。
関節内注射、皮膚への局所注射、ニキビ注射など様々な用途で使用されます。

Q. どんな症状に使われますか?

A. 主に関節リウマチや変形性関節症の関節内注射湿疹・アトピー・円形脱毛症・ケロイドの皮内注射炎症性ニキビ(しこり・赤ニキビ)の局所注射に用いられます。

Q. 注射後に副作用はありますか?

A. 注射部位に皮膚の萎縮や色素脱失が出ることがあります。関節内投与を繰り返すと、軟骨障害や関節感染のリスクがあるため、投与間隔や回数を管理します。

Q. 顔への注射でも大丈夫ですか?

A. 医師の適切な判断と技術で行えば安全ですが、皮膚が薄い部位では萎縮や凹みが出ることもあるため、適量・深さ・頻度の調整が必要です。

Q. 妊娠中に使っても大丈夫ですか?

A. 必要性がある場合には使用されることもありますが、妊娠中は全身性ステロイドの影響を考慮して、最小限の使用に留めるべきです。主治医と相談してください。

Q. 糖尿病でも使えますか?

A. ステロイドの影響で一時的に血糖値が上がることがあるため、糖尿病の方は特に注意が必要です。
血糖コントロールの状況によって使用の可否を判断します。

💉 ケナコルト注射の国際的使用とエビデンス

■ 国際的な使用状況

ケナコルト(トリアムシノロンアセトニド)は、長時間作用型の合成副腎皮質ステロイドで、世界各国の医療現場で広く使用されている注射剤です。

  • ● 米国FDAおよびWHOが承認している重要なステロイド製剤の一つです。
  • 関節炎、アレルギー性疾患、皮膚疾患、ニキビの炎症注射など、多岐にわたる適応があります。
  • ● 局所注射による抗炎症効果により、全身への影響を最小限に抑えながら即効性を発揮します。

■ 臨床応用と注意点

  • 関節内注射ではリウマチ性疾患や変形性関節症に対して即効的な痛みの軽減が得られます。
  • ケロイド・ニキビ・脱毛症などの皮膚疾患に対する皮内注射も、治療効果が高く評価されています。
  • ● 長期連用や過度の局所使用では、皮膚萎縮・色素脱失・関節軟骨障害のリスクがあるため、適切な間隔での使用が重要です。

■ エビデンスの出典(代表例)

  • ・FDA Drug Label for Triamcinolone Acetonide – FDA公式PDF
  • ・Habib GS. “Systemic effects of intra-articular corticosteroids.” Clin Rheumatol. 2009 – PubMedリンク
  • ・日本皮膚科学会「尋常性ざ瘡治療ガイドライン 2023年版」 – 公式PDF
  • ・British Association of Dermatologists’ guidelines for the management of acne vulgaris 2021 – BJDオンライン

✅ ケナコルト注射は、抗炎症作用と長時間効果を両立した注射治療として、皮膚科・整形外科・アレルギー領域で信頼されています。
適切な用量・間隔での使用が安全性と効果を最大限に引き出す鍵となります。

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💉 ケナコルト注射の薬価と自己負担額の比較

ケナコルト(トリアムシノロンアセトニド)は、長時間作用型のステロイド注射剤で、皮膚疾患・関節炎・ケロイド・重症ニキビなどに用いられます。
保険適用となるケースが多く、費用は比較的抑えられています。

■ 保険診療での薬価(2024年時点)

製剤名 薬価 用法例 薬剤費(3割負担)
ケナコルト-A筋注用関節腔内用水懸注 40mg/1mL
(KENACORT-A INTRAMUSCULAR INTRAARTICULAR)
785円/瓶 関節内注射・筋肉注射 約236円/回
ケナコルト-A皮内用関節腔内用水懸注 50mg/5mL
(約200円/mL)
1,000円/5mL(約200円/mL) 皮内注射(ニキビ・ケロイドなど) 約300円/1.5mL使用時

■ 比較と考慮点

  • 注射費用は低コストですが、再診料や処置料が別途かかる場合があります。
  • 美容目的(ニキビ・ケロイド)での使用は自費診療になる可能性があり、施設により価格に幅があります。
  • 適用疾患・注射部位によって保険適用可否が異なるため、事前確認が必要です。

保険適用外の場合は、1か所あたり1,500〜5,000円程度の自費費用になることがあります。
事前に治療内容・保険適用の有無・総額を医療機関でご確認ください。

👨‍⚕️ 医師からのコメント・監修

トリアムシノロンアセトニド(ケナコルト)
「ケナコルトは炎症を鎮める力が非常に高く、しこり状のニキビやケロイドに即効性のある治療です。
ただし、使い方を誤ると副作用のリスクもあるため、皮膚の状態を見極めたうえで適切に使用することが重要です。」

当院では、重症ニキビや難治性の皮膚トラブルに対しても、薬剤の特性を活かした安全な注射療法を提供しています。
美容目的から医療的ニーズまで柔軟に対応し、ダウンタイムや副作用を最小限に抑える治療を心がけています。

監修:黒田 揮志夫 医師(病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長
医学博士/日本病理学会認定 病理専門医
総合診療・救急科での診療歴10年以上

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