セリアック病(グルテン不耐)|“見逃さない・取り過ぎない”連携型アプローチ

セリアック病(グルテン不耐)|“見逃さない・取り過ぎない”連携型アプローチ|日本橋の消化器内科 0th CLINIC

セリアック病(グルテン関連小腸疾患)|“見逃さない・取り過ぎない”連携型アプローチ

当院には内視鏡設備はありません。小腸生検を含む内視鏡検査は連携医療機関で実施し、
当院は適応判断・紹介手配・結果の丁寧なご説明グルテンフリー食(GFD)指導栄養欠乏の補充/骨評価フォローと妥当性チェックまで一貫管理します。

重度脱水・電解質異常・意識障害などは救急連携を優先します(内視鏡は連携先で実施)。

小腸生検は連携医療機関で実施/紹介状作成・手配・結果説明まで当院が伴走
LINEで24時間受付 ※内視鏡は連携先で実施します

概要(セリアック病の要点)

  • 定義:グルテン(小麦・大麦・ライ麦)の摂取により自己免疫性の小腸粘膜障害を生じる疾患。
  • 遺伝背景HLA-DQ2/DQ8が多いが、保有のみでは発症しません。
  • 診断の柱血清抗体(tTG-IgA 等)小腸生検(Marsh分類)、必要に応じHLA
  • 治療の柱厳格な終生グルテンフリー食(GFD)栄養欠乏の補正合併症の管理

症状・所見(消化器症状/腸外症状)

  • 消化器:慢性下痢・腹部膨満・鼓腸・体重減少・脂肪便・便秘と下痢の反復。
  • 腸外:鉄欠乏性貧血・骨粗鬆症/骨減少・口内炎・末梢神経障害・不妊/流産歴・疱疹状皮膚炎など。
  • 随伴疾患:1型糖尿病・自己免疫性甲状腺疾患・ダウン症・ターナー症候群 等。

受診/救急の目安(Red Flags)

  • 重度の脱水・電解質異常、意識障害
  • 著明な体重減少・持続する嘔吐、脂肪便による栄養不良
  • 高度の貧血(息切れ・動悸)や骨折(骨粗鬆症疑い)

重篤例は救急連携→補正/評価を優先。安定後に計画的な診断を進めます。

評価・検査(当院/連携先の役割)

  • 当院で実施
    • 血清学的検査:tTG-IgA+総IgA(IgA欠損時はtTG/DGP-IgG等)、必要に応じEMA。
    • 栄養/合併評価:血算、鉄/フェリチン、葉酸/B12、Ca/ALP/25(OH)D、肝機能、甲状腺、HbA1c 等。
    • HLA-DQ2/DQ8:除外目的(陰性でセリアック病は極めてまれ)。
    • 食事聴取とGFD教育の準備(診断確定まではグルテン摂取を継続)。
    • 適応判断と紹介状作成:小腸生検が必要な場合は連携先へ。
  • 連携先で実施:上部内視鏡による十二指腸生検(複数部位)と病理(Marsh分類)、必要時は内視鏡的追加評価。
  • 注意自己判断でGFDを開始すると診断が難しくなります。検査までは通常食(グルテン含有)を維持してください。
  • 鑑別:非セリアックグルテン過敏症、IgE性小麦アレルギー、IBS/IBD、SIBO、膵外分泌不全、胆汁酸性下痢 等。

治療(GFD・欠乏補充・合併対策の“合わせ技”)

  • グルテンフリー食(GFD):小麦・大麦・ライ麦を除去。管理栄養士と具体的な食品/調理/外食/交差汚染対策を設計。
  • 栄養欠乏の補充:鉄・葉酸・B12・ビタミンD/カルシウム等を指標に沿って補正。
  • 骨健康DEXA(骨密度)を連携先で実施検討。ビタミンD/カルシウム最適化、運動指導。
  • ワクチン:状況により肺炎球菌等を検討(低栄養/脾機能低下の示唆がある場合など)。
  • 持続症状の評価:アドヒアランス・交差汚染・誤診鑑別、SIBO/膵不全/胆汁酸性下痢/顕微鏡的大腸炎の再評価。
  • 稀な合併難治性セリアック病やEATL(腸管T細胞リンパ腫)等を疑う所見では専門施設と連携。

フォローアップ(指標と時期)

  • 症状と体重:導入後の改善度を定期確認。
  • 血清抗体:tTG-IgAのトレンドを6–12か月で再評価(陰性化/低下を確認)。
  • 栄養/骨:鉄・ビタミンD等の再検、必要に応じDEXAの再評価。
  • 合併自己免疫:甲状腺・血糖等を適宜スクリーニング。
  • 生検の再評価:診断不確実・症状遷延・抗体非改善では連携先で再検討。

よくある質問

検査の前にグルテンをやめた方が良いですか?
いいえ。診断が確定するまではグルテンを含む通常食を続けてください。早期にGFDを始めると血清抗体や生検所見が正常化し、診断がつかなくなることがあります。
どのくらいグルテンを食べていれば検査できますか?
一般には数週間以上毎日パン数枚相当のグルテン摂取が推奨されます。個別状況で調整しますのでご相談ください。
オート麦(オーツ)は食べられますか?
純粋なグルテン不含オーツは多くの方で許容されますが、小麦交差混入が問題になることがあります。導入は医療者/管理栄養士と計画的に。
いつまでグルテンを避ける必要がありますか?
原則は終生です。症状や抗体が改善しても再摂取で再燃します。栄養バランスが偏らないよう食事設計をサポートします。
自己判断で“グルテン不耐”と感じています。検査は必要?
セリアック病・小麦アレルギー・非セリアックグルテン過敏症は治療方針が異なります。まずは適切な検査で原因を特定しましょう。

セリアック病:外部エビデンスまとめ

診断(血清抗体・生検)と治療(GFD・栄養/骨)の国際的な標準に基づき運用します。

📘 総論・診断

💊 治療・フォロー

👨‍⚕️ 医師からのコメント・監修(セリアック病・連携型)

セリアック病(グルテン不耐)|“見逃さない・取り過ぎない”連携型アプローチ
「当院には内視鏡設備がありませんが、適応判断・紹介手配・結果説明に加えて グルテンフリー食の実装と栄養欠乏/骨の管理まで一貫して伴走します。

検査前に自己判断でGFDを始めると診断が難しくなります。まずは血清抗体と必要時の小腸生検で確実に診断し、 その後は現実的で続けられる食事戦略を一緒に作っていきましょう。」

0th CLINICは“見逃さない・取り過ぎない”連携型で、必要なタイミングで最適な検査・治療につなぎます。

監修:黒田 揮志夫 医師(プライマリケア認定医/病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上

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