機能性ディスペプシア(FD)|“胃もたれ・みぞおち痛”を根本から改善|日本橋の消化器内科 0th CLINIC
機能性ディスペプシア(FD)|“胃もたれ・みぞおち痛”を根本から改善
FDは内視鏡で明らかな病変がないのに、食後の早期飽満・胃もたれや 心窩部痛/灼熱感が続く疾患です。
当院では病型の仕分け(PDS/EPS) → ピロリ検査/内視鏡の要否判断 → 生活/薬物/心理的介入まで 段階的に最適化します。
当院で診察・薬物治療を行い、必要に応じて内視鏡検査を連携施設で実施します。 ピロリ陽性時は除菌治療を行い、難治例は専門科と連携して包括管理します。
概要(機能性ディスペプシアの要点)
- 定義:内視鏡で器質疾患がないのに、食後の膨満/早期飽満や心窩部痛/灼熱感が持続。
- 機序:胃排出遅延、胃適応不全、十二指腸粘膜炎症/知覚過敏、中枢感作、心理社会的因子など。
- 重なり:GERDやIBSと合併しやすく、食事やストレスで増悪。
受診/内視鏡の目安(Red Flags)
- 体重減少、貧血/黒色便・吐血、持続する嘔吐
- 嚥下障害、家族歴(胃食道がん)、発熱を伴う強い腹痛
- 年齢やリスクにより初回から上部内視鏡を検討
赤旗があれば内視鏡を前倒しします。急激/重篤な場合は救急受診を。
病型(Rome基準)と鑑別
病型/特徴 | 症状の要点 | 治療の例 |
---|---|---|
PDS(食後愁訴症候群) | 食後の早期飽満感・膨満感、少量で苦しい | 運動機能改善薬(アコチアミド/モサプリド等)、少量頻回・低脂肪食、必要に応じ低用量TCA/ミルタザピン |
EPS(心窩部痛症候群) | 心窩部痛/灼熱感(空腹時/食後) | 酸分泌抑制(PPI/PCAB/H2RA)、神経修飾薬(低用量TCA等)、バスピロンの併用を検討 |
重なり(GERD/IBS など) | 胸やけ/下痢・便秘/ガス/腹痛が併存 | それぞれの診療指針に沿って併行管理(低FODMAPの試行など) |
評価・検査(段階的アプローチ)
- 問診/診察:症状パターン(食後/空腹時)、体重変化、薬剤/NSAIDs、アルコール、ストレス・睡眠。
- H. pylori:尿素呼気/便中抗原/血清で評価し、陽性なら除菌を基本。
- 上部内視鏡:赤旗あり、年齢・リスクに応じて実施(胃/十二指腸潰瘍、悪性、びらん性胃炎の除外)。
- 必要に応じて:血液(貧血/炎症/甲状腺)、腹部超音波、胃排出能評価(持続する重度PDSなど)。
治療(生活・薬物・心理の“合わせ技”)
- 生活/食事:少量頻回・低脂肪、アルコール/カフェイン/辛味の調整、夜食回避、ストレス・睡眠ケア、適度な運動。
- ピロリ除菌:陽性なら優先。除菌後もしばらく症状が続くことがあり評価を継続。
- 薬物:
- 酸分泌抑制:PPI/PCAB/H2RA(EPS優位・GERD重なりに)。
- 運動機能改善:アコチアミド、モサプリド等(PDS優位)。
- 神経修飾薬:低用量TCA、ミルタザピン(体重減少/食思不振に)、SSRI/SNRIを個別に検討。
- その他:バスピロン(胃適応改善の報告)、漢方などは症例に応じて。
- 心理的介入:認知行動療法・ストレスマネジメント、リラクゼーション。
- 難治例:病型/内服/アドヒアランス/合併症を再点検し、検査(内視鏡の再評価・機能検査)や併存症(GERD/IBS/胆膵)の再検討。
フォローの目安(個別化します)
フェーズ | 目安 | 主なチェック |
---|---|---|
初期治療(PPI/運動改善薬など) | 4–8週 | 症状変化、食事・睡眠、薬の副作用、次の選択肢(切替/併用) |
ピロリ除菌後 | 4–8週 | 除菌判定、症状の残存/再発、追加治療の選択 |
維持/再発予防 | 1–3か月 | 最小有効量への漸減、生活・心理介入の継続、重なり病態の管理 |
よくある質問
胃カメラは必ず必要ですか?
赤旗症状や年齢・リスクによっては初回から内視鏡をお勧めします。若年で赤旗がなければ、ピロリ検査→除菌/経験的治療から始めることもあります。
ピロリ菌を除菌すれば治りますか?
除菌で改善する方がいますが、全員ではありません。残る症状は運動改善薬や神経修飾薬、生活・心理介入で調整します。
市販の胃薬で様子を見ても良い?
軽症なら一時的に楽になることもあります。ただし反復・長期化・赤旗があれば受診し、適切な評価/治療を受けましょう。
FDはがんの前ぶれですか?
FD自体は前がん病変ではありません。ただし年齢や赤旗があれば内視鏡で器質疾患を除外します。
関連ページ(院内リソース)
機能性ディスペプシア:外部エビデンスまとめ
学会ガイドライン・主要ジャーナルから、診断(Rome基準/除外診断)/治療(除菌・酸抑制・運動改善・神経修飾・心理)の一次情報を厳選しました。
📘 総論・枠組み
- 【ACG/CAG】ディスペプシア診療ガイドライン(検査/除菌/薬物の段階的戦略)
- 【Rome基準】FDの定義と病型(PDS/EPS)
💊 治療(一次・二次選択)
- 【H. pylori】検査→陽性なら除菌が第一選択
- 【酸分泌抑制】PPI/PCAB/H2RA(特にEPSやGERD重なり)
- 【運動改善】アコチアミド、モサプリド等(PDS優位)
- 【神経修飾】低用量TCA、ミルタザピン、SSRI/SNRI(症例に応じて)
- 【心理介入】認知行動療法・ストレスマネジメント
🥗 生活・食事
- 少量頻回・低脂肪、夜食回避、アルコール/カフェイン/辛味の調整
- IBS重なりでは低FODMAPの試行
※ 赤旗所見は内視鏡を前倒し。除菌後は反応を評価し、PPI/PCAB・運動改善薬・神経修飾薬・心理介入を病型と患者背景に合わせて段階的に組み合わせてください。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修(機能性ディスペプシア:FD)

「機能性ディスペプシアは、PDS(食後愁訴)と EPS(心窩部痛)の病型を見極めることが治療成功の鍵です。 初診では赤旗の有無とピロリ検査を確認し、必要に応じて内視鏡を行います。 ピロリ陽性なら除菌、PDSには運動改善薬、EPSには酸抑制を軸に、 反応をみて神経修飾薬(低用量TCA/ミルタザピン等)や 心理的介入を組み合わせます。
食事は少量頻回・低脂肪を基本に、夜食やアルコールを控え、睡眠/ストレス環境を整えるだけでも症状が軽くなる方が多いです。 GERD/IBSなどの重なり病態がある場合は、それぞれを並行して最適化します。」
0th CLINICでは病型の丁寧な仕分けと段階的な治療計画を重視し、 提携施設での上部内視鏡や必要な機能検査を円滑に手配。 除菌後の評価や薬物の最小有効量への調整、生活・心理的支援まで 継続してフォローします。
監修:黒田 揮志夫 医師(プライマリケア認定医/病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
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