妊娠と炎症性腸疾患(IBD)|“安全第一・連携最優先”出産計画の伴走
妊娠と炎症性腸疾患(IBD)|“安全第一・連携最優先”出産計画の伴走
当院では直接の薬剤調整の機会は多くありません。重症度や病勢に応じて、産科を有する総合病院へ迅速にご紹介します。
当院は適応判断・紹介手配・結果の丁寧なご説明、貧血/栄養補正、薬剤の妥当性チェック、授乳・乳児ワクチン計画の連携まで一貫して伴走します。
激しい腹痛・血便が増える・発熱/脱水・動悸/息切れ(高度貧血)は救急連携を優先します(入院/内視鏡や静注治療は連携先で実施)。
重症度で産科併設の総合病院へ連携/当院が紹介状作成・手配・結果説明・栄養/貧血フォローまで伴走
LINEで24時間受付 ※入院/内視鏡・分娩管理は連携先で実施します
概要(妊娠とIBDの要点)
- 最重要は寛解維持:妊娠前から寛解であれば妊娠経過は概ね良好。活動性のまま妊娠すると流早産や低出生体重のリスクが上がります。
- 薬は“やめない”が基本:多くのIBD薬は妊娠/授乳で継続可能。中断による再燃の方が母児リスクが高いことが知られています。
- 当院の役割:重症度に応じ産科併設の総合病院へ紹介し、当院は適応判断・紹介手配・結果説明、栄養/貧血の補正、薬剤妥当性の確認、産科/小児科と連携した計画立案を担います。
妊娠前カウンセリング(できれば3–6か月前から)
- 寛解で計画妊娠:可能なら臨床寛解+炎症マーカー安定で妊娠へ。
- 栄養・補充:葉酸0.4–0.8mg/日(スルファサラジン内服なら2mg/日)、鉄/ビタミンD/B12の不足補正。
- 禁忌薬の洗い替え:メトトレキサート、JAK阻害薬(例:トファシチニブ/ウパダシチニブ)、サリドマイドは禁忌。中止時期や代替は総合病院で設計。
- ワクチン確認:風疹/麻疹/水痘など妊娠前に。不活化ワクチンは妊娠中も可(例:インフルエンザ)。
- 手術歴/肛門病変:IPAA(回腸嚢)や活動性肛門病変は分娩方針に影響→産科/大腸肛門外科と事前協議。
薬剤の妊娠・授乳安全性(総論)
- 5-ASA(メサラジン/スルファサラジン):妊娠/授乳で概ね安全。スルファサラジン時は葉酸増量(2mg/日)。
- ステロイド(プレドニゾロン/ブデソニド):再燃時に使用可。高血圧・糖代謝・骨量へ留意。
- チオプリン(アザチオプリン/6-MP):継続可(新規開始は原則総合病院で)。
- 生物学的製剤:抗TNF(インフリキシマブ/アダリムマブ)は継続可。ベドリズマブ/ウステキヌマブも多くのガイドラインで許容。妊娠後期は胎盤移行↑のため、小児の生後早期の生ワクチン接種(ロタ/BCG)計画を小児科と調整。
- 禁忌/原則回避:メトトレキサート、JAK阻害薬、サリドマイド(妊娠/授乳とも不可)。
- 当院の方針:直接の薬剤調整は原則少なく、産科併設の総合病院での治療設計を基本に、当院が継続可否や安全性の妥当性チェックと説明、貧血/栄養の補正を担当します。
妊娠中の評価・検査(被曝/侵襲を最小に)
- 血液/便検査:血算・鉄/フェリチン、CRP、便性状/便潜血、便中カルプロテクチン(非侵襲)が有用。
- 画像:超音波・MRI(ガドリニウム原則回避)を選択。CTは原則回避。
- 内視鏡:必要時は下部短縮やシグモイドで最小限に(鎮静/胎児モニタは総合病院で)。
- 栄養/貧血:当院で経口/静注鉄、ビタミンD/B12/葉酸の補正、低栄養なら栄養士と連携。
分娩計画・産科連携(重症度で紹介先選定)
- 分娩様式:原則は産科判断。活動性の重度肛門病変や直腸切除/回腸嚢では帝王切開を検討。
- 周産期管理:ステロイド使用例の血糖/血圧、抗TNF最終投与時期の調整などは総合病院で管理。
- 当院の役割:紹介状作成・手配、結果/方針の解説、産科・小児科・IBD専門医との橋渡し。
新生児・乳児のワクチン(生物学的製剤曝露時)
- 胎内曝露あり(妊娠後期の抗TNF/ベドリズマブ/ウステキヌマブ):生後早期の生ワクチン(ロタ、BCGなど)を延期する選択肢。具体的な時期は小児科と連携し個別調整。
- 不活化ワクチン:通常スケジュール可。
- 当院の役割:産科/小児科と連携し、接種スケジュールの説明と調整をサポート。
よくある質問
薬は妊娠がわかったら中止すべき?
多くは継続が推奨です。再燃は母児リスクを高めます。禁忌薬(メトトレキサート、JAK阻害薬など)は総合病院と相談の上で計画的に切替/中止します。
授乳はできますか?
5-ASA・ステロイド・チオプリン・抗TNF・ベドリズマブ・ウステキヌマブは多くのガイドラインで授乳許容です(個別最終判断は連携先)。禁忌薬は授乳も不可。
再燃したらどうする?
重症度で総合病院へ緊急連携します。当院は血液/便検査・補液/鉄補充、必要な画像/内視鏡の手配を行い、産科と協調して安全に評価します。
出産様式の希望は伝えられますか?
はい。肛門病変や手術歴によって推奨が変わるため、当院で情報整理のうえ産科へ共有し、最終判断を支援します。
関連ページ(院内リソース)
妊娠とIBD:外部エビデンスまとめ
寛解維持の重要性、薬剤の妊娠/授乳安全性、妊娠後期の生物学的製剤曝露と乳児ワクチン、分娩・授乳の実務ポイント。
📘 総論・ガイドライン
- ECCO/ACG/AGAの「IBDと妊娠」ガイドライン(寛解維持・薬剤安全性・出産/授乳)
- IBD治療薬の妊娠/授乳での取扱い(5-ASA/チオプリン/抗TNF/VDZ/UST/禁忌薬)
🧪 評価と検査
- 非侵襲マーカー(便中カルプロテクチン、CRP)の活用
- 超音波・MRI中心、CT回避の原則
💊 周産期管理
- 妊娠後期のIgG製剤胎盤移行と乳児の生ワクチン時期の調整
- 肛門病変/手術歴と分娩様式の選択
👨⚕️ 医師からのコメント・監修(妊娠とIBD・連携型)

「IBDは寛解維持が母児の安全につながります。薬を止める判断は要注意で、禁忌薬の回避と許容薬の継続が基本です。
当院は重症度に応じた産科併設の総合病院への連携を軸に、適応判断・紹介手配・結果説明、貧血/栄養補正、授乳・乳児ワクチン計画の連携まで安全第一で伴走します。」
0th CLINICは“安全第一・連携最優先”で、必要な検査/治療に最短でつなぎます。
監修:黒田 揮志夫 医師(プライマリケア認定医/病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
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