脂肪肝(NAFLD/NASH)と糖尿病|肝臓を守る食事と運動の最適解
脂肪肝(NAFLD/NASH)と糖尿病
— 肝臓を守る「食事と運動」の最適解
糖尿病と脂肪肝は表裏一体。放置すると肝硬変・肝がん、心血管病リスクも高まります。
本コラムは、“今日からできる”食事・運動・検査の優先順位を医師監修でまとめました。
東京メトロ「日本橋」「茅場町」徒歩圏/東京駅八重洲口からもアクセス良好
1. なぜ糖尿病と脂肪肝は一緒に語るのか
- インスリン抵抗性が共通基盤:内臓脂肪の蓄積→肝臓への脂肪流入・脂肪合成↑→肝細胞の炎症・線維化。
- 糖尿病があるとNASH・線維化の進行リスクが高く、心血管イベントの独立したリスクにも。
- 一方で、脂肪肝を是正すると血糖・脂質・血圧など代謝全体が改善しやすい=“肝から攻める”価値が大きい。
2. まず何をチェックする?(採血・スコア・画像)
優先順位(初診〜3か月でやること)
- 採血+FIB-4:AST/ALT/血小板/年齢から推定線維化を評価(例:低リスク <約1.3、中間 1.3–2.67、高リスク >2.67の目安)。
- 腹部エコー:脂肪肝の有無、他疾患の除外。
- 必要に応じて非侵襲的評価:CAP・硬度(FibroScan等)。
- 合併症スクリーニング:糖尿病の眼・腎・神経、心血管リスク。
※FIB-4は年齢で閾値の解釈が変わります。個別には医師が補正して評価します。
検査の流れは 「糖尿病の検査|何をいつ受ける?」 に一覧化しています。
3. 肝臓を守る食事:量・質・タイミングの最適化
目標体重:まずは−5%〜7%、可能なら−10%
体重減少は線維化以外の指標(脂肪量・炎症)を着実に改善します。無理のないペース(0.5–1.0kg/月)で。
① 量:総エネルギーの設定
- 普段の摂取量から−300〜−500kcal/日を目安に微調整。
- たんぱく質は1.0–1.2 g/kg/日を確保(筋量維持)。
② 質:食べる“中身”の入れ替え
- 地中海食寄り:魚・オリーブ油・ナッツ・豆・全粒穀物・野菜を増やす。
- 果糖負荷を減らす:清涼飲料・菓子・果汁飲料は段階的に半減→置き換え。
- アルコール:禁酒が最優先。少なくとも減酒(量・頻度)を徹底。
- 主食は“量より質”:白→全粒・雑穀、小盛+野菜先行。
③ タイミング:血糖スパイクと夜遅食を減らす
- ベジ→主菜→主食の順番食。
- 就寝2–3時間前の重食は避ける(夜間脂肪合成↑を抑える)。
- 食後は10分歩行でトリグリセリドと血糖の上昇をやわらげる。
- 清涼飲料・菓子を水/無糖茶/ナッツ/ヨーグルトに置き換え。
- 主食は小盛+全粒に替え、野菜を先に。
- 食後10分歩行を毎食後の習慣に。
4. 効く運動:週150分の分解&食後10分ウォーク
- “少量×高頻度”が続く:食後10分×1日2–3回+通勤・階段。
- 週150分の有酸素(速歩・自転車)+週2–3回のレジスタンス(下半身中心)。
- 膝・腰が不安な方はエリプティカル/水中ウォークなど関節に優しい代替を。
5. 薬物療法の考え方(位置づけと注意点)
まずは生活習慣の再設計が中心です。そのうえで糖尿病治療薬の中には、肝・代謝に好影響が期待できるものがあります(適応・用法は医師判断)。
- ピオグリタゾン:NASHの炎症・線維化改善データ。体重増加や浮腫に注意。
- SGLT2阻害薬:体重・肝脂肪低下、心腎保護も期待(例:ダパグリフロジン、エンパグリフロジン)。
- GLP-1受容体作動薬:減量・肝脂肪低下(セマグルチド、チルゼパチド等)。胃腸症状・胆道系イベントなど副作用に留意。
※肝疾患そのものへの適応は薬剤により異なります。「糖尿病治療薬の“地図”」で立ち位置を確認しつつ、個別ページで安全性・費用をご確認ください。
6. フォロー頻度・受診の目安(地域連携も含めて)
- 3か月ごと:体重/腹囲、採血(AST/ALT、脂質、HbA1c)、FIB-4の見直し。
- 6–12か月ごと:腹部エコー(必要に応じてCAP/硬度)。
- 右上腹部痛・黄疸・黒色便・著明な倦怠など異常時は早めに受診。
日本橋で、検査・生活調整・薬物療法まで一貫サポート。まずはお気軽にご相談ください。
LINEで予約・相談7. よくある質問(FAQ)
Q. ALTやASTが正常でも脂肪肝はありますか?
A. あります。採血が正常でも画像や肝硬度で進行が見つかることがあるため、糖尿病の方は定期的な評価が大切です。
Q. どのくらいの減量で効果が出ますか?
A. −5〜7%で脂肪量・炎症の改善、−10%到達で線維化の改善が期待できます(個人差あり)。
Q. お酒は完全にやめるべき?
A. まずは禁酒が基本方針です。難しい場合は量・頻度の削減から。主治医と相談してください。
Q. 食事と運動、どちらを優先?
A. 体重を減らす観点では食事が“効率的”、脂肪肝・血糖スパイク抑制には“食後の短時間歩行”が即効性。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修

黒田 揮志夫(Kishio Kuroda, MD, PhD)|0th CLINIC 日本橋 院長(病理学/総合診療)
脂肪肝は「沈黙の臓器」の典型です。採血が正常でも進行は起こり得ます。
“完全無欠な食事”を目指すより、清涼飲料をやめる・主食を小盛に・食後10分歩く—この3つをまず一緒に習慣化しましょう。
日本橋・茅場町・人形町エリアで、検査から生活実装、必要な薬物療法まで伴走します。
※本コラムは一般向け情報です。最終的な診断・治療は個別の診察および検査結果に基づきます。薬剤の適応は添付文書・ガイドラインに従います。