セマグルチド(オゼンピック)

セマグルチド(オゼンピック®/ウゴービ®/リベルサス®)|0th Clinic

セマグルチド(オゼンピック®/ウゴービ®/リベルサス®)

GLP-1受容体作動薬|肥満症・糖尿病の薬物療法における中核選択肢

アクセス

東京都中央区日本橋二丁目16番9号 CAMCO日本橋ビル4階(東京駅八重洲口・日本橋駅から徒歩3分)

セマグルチド(オゼンピック)

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要点(30秒で)
  • 減量効果は大きめ:生活介入併用で5〜15%超の体重減少が期待(個人差あり)。
  • 第一選択の候補:肥満症の薬物療法ではGLP-1/GIP系が基本。セマグルチドは効果と通院負担のバランスが良い
  • 心血管・代謝面のメリット:一部集団で主要心血管イベント低下のエビデンス。
  • 主な副作用:吐き気・嘔吐・下痢・便秘などの消化器症状。用量はゆっくり増量
  • 手術や絶食を伴う前は休薬7日前を目安(医師の指示を優先)。
製品と剤形

週1回 皮下注 オゼンピック®(糖尿病用量)/ ウゴービ®(肥満用量)

毎日 内服 リベルサス®(経口セマグルチド)

※国や保険制度により適応・用量・流通状況が異なります。当院では保険適用・費用・供給状況を踏まえて個別に選択します。

概要と作用機序

セマグルチド(オゼンピック)
オゼンピック皮下注ペン型製剤

セマグルチドはGLP-1受容体作動薬で、視床下部への作用で食欲を抑え、満腹感を高め、さらに胃排出を遅らせることで摂取カロリーを減らします。膵β細胞でのインスリン分泌促進(グルコース依存性)と、α細胞でのグルカゴン抑制により血糖も改善します。

ポイント:食欲の制御が主軸。SGLT2阻害薬のような“カロリー排泄”型ではありません。

用量・用法(当院の標準)

皮下注(週1回)
期間推奨用量備考
導入4週0.25 mg 週1回慣らし:有効用量ではなく副作用軽減目的
次の4週0.5 mg 週1回胃腸症状が強ければ延長可
以降段階的1.0 → 1.7 → 2.4 mg目標は1.7〜2.4 mg。最小有効量で維持

※ウゴービ®の肥満用量、オゼンピック®は糖尿病用量が基本。国の承認範囲に従います。

経口(毎日)
  • 空腹時にコップ半分程度の水で服用、服後30分は飲食・他薬回避
  • 用量段階は供給状況・忍容性に合わせて個別調整。
  • 皮下注に比べ減量効果は控えめの傾向。血糖目的での選択が中心。
増量は最低4週間単位で。吐き気が強ければ据え置き/減量し、少量頻回食・脂っこい食事回避を指導します。

オゼンピックの使い方

セマグルチド(オゼンピック)

出典: ノボ ノルディスク ファーマ株式会社「オゼンピック®2mgの正しい使い方」PDF

用量(概要:医師の指示に従ってください)

段階目安期間の目安目的
開始 0.25 mg 週1回 約4週間 胃腸症状を抑えつつ慣らす
維持1 0.5 mg 週1回 以後継続 血糖コントロールの基本用量
維持2(必要時) 1.0 mg 週1回(~2.0 mgまで調整あり) 個別に調整 効果不足時に段階的増量を検討

※ 実際の用量・増量タイミングは最新の添付文書と医師の判断に従ってください。

週1回の打ち方(基本手順)

  1. 準備: 新しい針を取り付け、空打ち(初回/ペン交換時は指示どおり排気)で薬液の出を確認。
  2. 用量設定: ペンのダイヤルで指示された用量に合わせます。
  3. 注射部位: 腹部・大腿・上腕のうち1か所を選び、毎回場所をローテーション
  4. 消毒: 皮膚を清潔にし、アルコール綿で軽く消毒。
  5. 注射: 皮膚に対して直角に刺入し、ボタンを最後まで押し切る
  6. 保持: 押し切った状態で数秒保持(指示秒数に従う)してから抜針。
  7. 後処理: 針を外して安全容器へ。ペンのキャップを閉め保管。
  8. 記録: 投与日・用量・体調をメモ。次回の投与日をカレンダーで管理。

※ 具体的な保持秒数・空打ち手順などは、上記PDFおよび院内指導資料に準拠してください。

打ち忘れ・体調不良時(シックデイ)

  • 打ち忘れ: 気づいてからできるだけ早く1回分を投与。ただし次回予定日が近い場合は、無理に詰めずスキップし通常スケジュールへ戻します(詳細は医師指示に従う)。
  • 体調不良・絶食・嘔吐下痢: 無理に投与せず、事前に医師の指示どおり対応(低血糖/脱水/膵・胆道症状に留意)。
  • 手術・内視鏡・長時間絶食: 事前に計画を共有し、一時中止の可否を主治医と決めます。

よくある副作用と対策

  • 開始初期の胃腸症状: 吐き気・胃のムカつき・便秘・下痢など。
    少量からゆっくり増量、食べ過ぎ/脂質過多を避け、少量をゆっくり食べる。水分と食物繊維も意識。
  • 低血糖(まれ): インスリンやSU薬(例:グリメピリド)併用時は注意。
    → ふらつき・空腹感・冷汗などがあれば、速やかにブドウ糖(または砂糖飲料)で対処し、必要に応じ受診。
  • 稀な合併症: 強い腹痛・持続する悪心/嘔吐、発熱や黄疸などがあれば早めに受診(膵・胆道系のトラブルの鑑別が必要)。

生活上のポイント

  • 食事: 脂っこい食事・大盛りを避け、少量をゆっくり。飲酒は控えめに。
  • 併用薬: 低血糖を起こしやすい薬と併用時は用量調整の検討。
  • 保管: 保管条件は添付文書に従い、直射日光・高温を避ける。針は毎回交換し、安全容器で廃棄
  • 記録とフォロー: 体重・食事・症状を記録し、4~6週で忍容性と効果を確認。

期待できる効果

  • 体重:生活介入と併用で5〜15%以上の減量例が多数(個人差あり、頭打ちあり)。
  • 代謝:空腹時血糖・HbA1c・脂質プロフィールの改善が見込めます。
  • 心血管:既往のある一部集団で主要心血管イベントの低下が確認されています。
  • QOL:膝痛・睡眠時無呼吸・脂肪肝などに良影響が期待されます。

12週間(最大耐量)でベースライン比4〜5%以上の減量が得られない場合は方針を見直します。

安全性・禁忌

よくある副作用
  • 消化器症状:吐き気・嘔吐・下痢・便秘・胸やけ
  • 食事量減少に伴う一過性の倦怠感、便通変化
対処:小分け食、脂っこい/甘いものを控える、増量を遅らせる。持続悪化は受診。
まれだが重篤なリスク
  • 胆嚢・膵臓のトラブル(上腹部激痛、発熱、黄疸は至急受診)
  • 腸閉塞様症状(持続的な激しい腹痛・嘔吐)
  • 低血糖(インスリン/スルホニル尿素併用時)
  • 抑うつ・自殺念慮のモニタリング(報告は限定的だが注意)
禁忌・注意が強いケース
  • 妊娠・授乳/妊娠希望
  • 膵炎の既往、重度の胃腸疾患
  • 甲状腺髄様がん(MTC)/MEN2の個人または家族歴
  • 重度腎障害・肝障害は個別判断

手術・処置前後(必読)

絶食や麻酔を伴う予定のある方は必ずご相談を。
胃排出遅延により誤嚥リスクが上がるため、概ね7日前から休薬を検討します。再開は食事再開後、主治医の指示に従ってください。

オゼンピック(セマグルチド皮下注)の使いどころと特徴

週1回のGLP-1受容体作動薬。患者さんの背景に応じて高齢の方や体重が少ない方で選択することがある一方、体重減少・消化器症状には丁寧なモニタリングが必要です。

当院の使い分け(要点)
  • 高齢/低体重で選ぶことがある:週1回で負担が少なく、単剤・非SU/非インスリン併用では低血糖リスクは比較的低め(とはいえ個別評価は必須)。
  • やせ・フレイル傾向では体重減少に配慮:低用量開始+緩徐増量、栄養評価とサルコペニア予防を併走。
  • 腎機能低下例でも使いやすい:一般に腎機能での減量は不要。ただし嘔気→脱水→腎機能悪化の連鎖に注意。

※「体重が少ない方」では過度の体重減少を避ける方針で、食事量・体重・フレイル指標を定期モニタリングします。

オゼンピックの“特徴的な使い方”

① 週1回・同曜日投与

食事と無関係に週1回。同じ曜日で継続性を確保。自己注が難しければ外来看護師サポート可。

② 低用量開始・段階的増量

消化器症状回避のため0.25mg → 0.5mg → 1mg → 2mgへ緩徐増量。高齢・やせ型は各段階を長めに。

③ 併用薬の見直し

SU/インスリン併用時は低血糖回避のため事前減量を検討。SGLT2併用時は体液管理に留意。

④ 眼症・急速改善への配慮

急速なHbA1c改善で網膜症の一過性悪化に配慮。高リスクは眼科フォローを前倒し

⑤ CKD合併例でも使いやすい

一般に用量調整不要。嘔気・下痢→脱水回避、腎機能・電解質を定期チェック。

⑥ 生活介入とセット

やせ/フレイルでは減量を目標にしない設計。たんぱく質摂取・レジスタンス&バランス運動を必須セットで。

実践Tips(安全性と運用)

  • 増量は症状優先:強い悪心/食欲低下があれば増量を遅らせる/一段階戻す。我慢させて増やさない
  • ミスドーズ:予定日から5日以内は気づいた時に投与、5日超は次回予定日に再開。
  • 胆嚢・膵の症状に注意:上腹部痛/背部放散・発熱・黄疸は早期受診指示。
  • 注射部位ローテーション:腹部・大腿・上腕でローテーション、皮下組織が薄い場合は部位選択に配慮。
向いているケース(例)
  • 高齢で服薬負担を減らしたい(週1回)
  • 低血糖を避けたい(SU/インスリン見直しの余地がある)
  • CKD合併で用量調整を避けたい
注意が必要(例)
  • やせ/フレイルでさらなる体重減少が懸念
  • 持続する強い悪心・嘔吐など消化器症状
  • 膵炎既往、胆石症状、甲状腺C細胞腫瘍/MEN2の既往・家族歴

当院での運用

  • 生活介入とセット:食事・運動・睡眠・行動療法を同時実施(やせ/フレイルでは増量より栄養介入を優先)。
  • フォロー:開始後4〜6週で副作用/体重推移、その後2〜3か月ごとに調整。
  • 糖尿病合併:低血糖回避のため、SU/インスリンを先に減量することがあります。
  • 評価線:12週で4〜5%以上の減量を一つの評価線(やせ/フレイルは例外設計)。
  • 長期維持:中止で体重は戻りやすく、維持目的での継続を基本とします。

国際的なエビデンス(肥満症領域)

  • STEP-1(NEJM, 2021)非糖尿病の肥満者で平均−14.9%の体重減少。
  • STEP-22型糖尿病合併でも−9.6〜−10.6%の体重減少。
  • Wegovy(2.4mg/週)では高用量での減量が報告。国内適応や供給状況は別途確認が必要。

投与・モニタリング(周術期の扱いを含む)

  • 漸増:0.25mg/週 → 0.5mg → 1.0mg(→ 2.0mg)※増量は症状優先で無理をしない。
  • モニタリング:体重・食事量・脱水所見、消化器症状、血糖(併用薬に応じて)。
  • 周術期:胃内容停滞リスクを考慮し、1週間前中止の可否を麻酔科と事前に計画(施設方針に従う)。

副作用と禁忌

  • よくある副作用:吐き気・便秘・下痢・食欲低下・膨満感など(多くは漸増と食事調整で軽減)。
  • まれだが重要:胆嚢/膵イベント、重度の脱水、網膜症の一過性悪化など。
  • 禁忌(例):妊娠・授乳、甲状腺C細胞腫瘍/MEN2の既往・家族歴、重篤な過敏症。

他薬との使い分け(要点)

論点セマグルチドチルゼパチドSGLT2(例:ダパグリフロジン)
主作用食欲↓・満腹↑・胃排出遅延GLP-1+GIPの二重作用糖排泄↑+軽い利尿
体重減少(5〜15%+)最大級(約15〜20%報告あり)小〜中(約2〜3%)
通院負担週1回注射/経口もあり週1回注射毎日内服
付加価値一部で主要CVイベント↓有効性高いがCV転帰は検証継続心腎保護が強み

結論:減量を最優先ならセマグルチド/チルゼパチド。心腎保護を優先する合併症例ではSGLT2を併用・優先する戦略も。

よくある質問

どれくらいで効き始めますか?
食欲は導入数週で変化を感じる方が多いです。体重は12週を一つの評価時点にします。
吐き気が強いです。どうすれば?
少量頻回食・脂っこい/甘いものを控える・増量を遅らせるが基本。改善しなければ受診してください。
やめたらリバウンドしますか?
中止後は体重が戻りやすくなります。目標到達後は維持目的での継続や、生活介入の強化を検討します。
糖質制限と併用は?
極端な糖質制限や断食はおすすめしません。体調を崩しやすく、処置・手術時の管理も難しくなります。
手術予定があります。
麻酔や絶食を伴う場合、概ね7日前から休薬し、食事再開後に医師の指示で再開します。

免責・監修

本ページは0th Clinicの診療方針に基づく一般情報であり、個別診療の代替ではありません。適応・用量・費用・供給は国や保険制度で異なります。自己判断での開始・中止・増減量はおやめください。緊急症状(激しい腹痛、黒色便、黄疸、意識障害など)がある場合は至急受診してください。
© 0th Clinic. All rights reserved.

💉 オゼンピックの薬価と自己負担について

オゼンピック(一般名:セマグルチド)は、週1回注射の2型糖尿病治療薬で、血糖コントロールと体重減少の双方に効果があります。
以下は、保険診療における薬価と3割・1割負担時の自己負担額の目安です(2024年時点)。

■ 保険診療での薬価(2024年改定時点)

製剤名 製造元 薬価(1キット) 3割負担 1割負担
オゼンピック皮下注 2mg ノボ ノルディスク ファーマ 11,151円 約3,345円 約1,115円

■ 自己負担の目安(外来使用)

  • 3割負担の方: 約3,345円/回
  • 1割負担(高齢者など): 約1,115円/回
  • ※ 初診料・管理料・血液検査料・指導料などは別途かかります

✅ オゼンピックはGLP-1受容体作動薬として、血糖値の改善と体重減少を同時にサポートします。
保険診療では原則として2型糖尿病患者への処方が対象となります。
肥満治療を目的とした使用は自費診療となるため、詳細は医師にご相談ください。

👨‍⚕️ 医師からのコメント・監修

セマグルチド(オゼンピック)
「オゼンピック(セマグルチド)は、週1回の自己注射で血糖と体重の双方にアプローチできるGLP-1受容体作動薬です。
とくに、生活習慣病・肥満を抱える2型糖尿病患者において、心血管予防効果も含めた全人的な管理に貢献します。」

私はこれまで外科・総合診療・病理学の立場から、慢性疾患と生活習慣の関連性を重視して診療にあたってきました。
オゼンピックは、保険診療下でも使用できるため、幅広い患者層に対して科学的根拠に基づく減量・血糖管理が可能です。

監修:黒田揮志夫 医師(病理専門医/元外科専門医)
0th CLINIC 日本橋 院長
日本病理学会認定 病理専門医/元外科専門医/慢性疾患・代謝疾患に関する診療経験多数

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