リベルサス(経口セマグルチド)| 0th CLINIC
GLP-1 受容体作動薬(経口)
リベルサス®(経口セマグルチド)
週1回注射のセマグルチドと同系統の経口GLP-1受容体作動薬。
日本国内適応は「2型糖尿病の血糖コントロール」です。体重減少は期待できますが、体重管理の単独適応はありません。
体重への影響
小〜中等度
※個人差あり
投与頻度
1日1回
起床時 空腹で
国内適応
2型糖尿病
肥満単独は適応外
アクセス
東京都中央区日本橋二丁目16番9号 CAMCO日本橋ビル4階(東京駅八重洲口・日本橋駅から徒歩3分)
作用機序
リベルサス錠剤(経口GLP-1受容体作動薬)
GLP-1(インクレチン)受容体を刺激し、食欲の低下・満腹感の増強・胃排出遅延を介して摂取量を減らします。
さらに膵β細胞からのインスリン分泌促進(高血糖時)、α細胞からのグルカゴン分泌抑制により、血糖を改善します。
経口製剤のため、空腹時・水少量での正しい服用が吸収に重要です。
血糖改善が主目的:体重減少はあくまで二次的効果。減量のみを目的とした使用は原則推奨しません。
どのくらい効く?
2型糖尿病患者でHbA1cの低下とともに、体重の減少(目安:数%)がみられます。体重効果は注射用セマグルチド(週1回2.4mg)ほど大きくはありません。
用法・用量(外来での標準的な漸増)
| 期間 |
用量 |
目的/備考 |
| 開始〜4週 |
3mg 1日1回 |
忍容性確認。起床時に空腹で水120mL以下、服用後30分は飲食・他薬を避ける。 |
| 5〜8週 |
7mg 1日1回 |
効果と副作用を見ながら漸増。 |
| 9週以降 |
14mg 1日1回(最大) |
十分な効果が得られない場合に検討。 消化器症状が強い場合は漸増を遅らせる/据え置き。 |
吸収を最大化するコツ:①起床直後に内服 ②水は120mL以下 ③服用後30分は何も摂らない ④その後に朝食や他の内服を行ってください。
主な副作用
- 消化器症状:吐き気、嘔吐、下痢、便秘、胃もたれ
- 稀:胆嚢疾患、膵炎、腸閉塞・胃不全麻痺など
- 低血糖:単独では稀ですが、インスリンやSU薬と併用時は注意
すぐ受診:持続する激しい腹痛・繰り返す嘔吐、黒色便/血便、黄疸や濃い尿、意識が遠のく低血糖症状など。
禁忌・注意
- 禁忌:妊娠中、重篤な胃腸障害(例:重い胃排出遅延)、過去の重い過敏症
- 慎重投与:膵炎既往、胆石/胆嚢疾患、重度の胃腸運動障害、腎機能障害(脱水時の増悪に注意)
- 手術/全身麻酔予定:1週間前から休薬を検討(遅延胃排出による誤嚥リスク対策)
併用薬との関係
- インスリン/SU薬:低血糖リスク↑ → 用量調整を検討
- 消化管運動に影響する薬剤:吸収に影響する可能性(要個別判断)
- 他の朝の内服:本剤の30分後以降に回すと安全
生活・フォロー
- 開始後4〜6週で副作用と体重/血糖を確認、その後は2〜3か月ごと
- 食事・運動・睡眠などの行動療法を必ず併用
- 体重狙いなら:減量薬の選び方でGLP-1注射/チルゼ等を比較検討
肥満外来での位置づけ(当院方針)
リベルサスは糖尿病治療薬としては有力な選択肢ですが、肥満単独の体重管理に対する国内適応はありません。
減量自体を主目的とする場合、効果・適応・費用の観点からは
週1回セマグルチド(2.4mg)や
チルゼパチドなどを第一選択にします。
- 適応が合う方:2型糖尿病で注射に抵抗がある/経口を希望する場合
- 見直し目安:最大耐用量で12週前後の体重変化が乏しい、消化器症状で継続困難 など
【重要】承認状況(FDA・肥満症)
リベルサスは肥満症(体重管理)を適応としてFDA承認されていません。
現在の承認は2型糖尿病の血糖コントロールです。肥満症目的の使用は未承認治療となります。
体重減少に関する研究結果(要約)
用量や対象集団により減量効果は大きく異なります。代表的なデータを整理します。
| 試験/用量・期間 |
対象 |
主要結果(体重) |
備考 |
オーラルSemaglutide 50 mg/日(漸増)
約68週間
|
肥満/過体重の非糖尿病成人 |
平均−15.1%(プラセボ −2.4%)
≥5%: 85%/≥10%: 69%/≥15%: 54%/≥20%: 34%
|
ランダム化比較試験。高用量で大きな減量が示唆。
PubMed 37385278
|
PIONEER 1:14 mg/日
26週間など
|
2型糖尿病成人 |
体重約 −4 kg、
≥5%減量達成41%(プラセボ 15%)
|
低〜中用量域では減量幅は中等度。
PMC 12158668(レビュー)
|
実臨床(2型糖尿病) 各種報告 |
2型糖尿病成人 |
おおむね−2〜5 kg程度の報告 |
用量・併用療法・生活介入で幅あり。
Rybelsus® 公式
|
解釈と臨床での注意点
- リベルサスは肥満症の適応外であり、体重減少目的の投与はオフラベルです。
- 体重減少効果は用量依存的で、高用量(50 mg)では注射製剤に匹敵する減量が報告も、実臨床での忍容性・副作用管理(消化器症状など)に留意。
- 低〜中用量(3/7/14 mg、糖尿病適応用量)では、減量は数kg程度にとどまる報告が多いです。
- 減量目標や併用療法(食事・運動、他の肥満薬)を含め、総合プランで検討してください。
服用方法(参考:糖尿病適応での基本ルール)
起床時の空腹に少量の水(120mL以下)で内服し、30分以上は飲食・他薬を避ける。その後に朝食や他剤を服用。
参考文献・出典
- Oral semaglutide 50 mg in adults with overweight/obesity: 68-week RCT
- Oral semaglutide:作用/有効性レビュー(PIONEERデータ要約)
- Rybelsus® 公式:臨床試験結果
※本セクションは学術情報提供を目的としています。各薬剤の承認条件・用法用量は国/地域で異なります。適応外使用の可否や投与は、患者さんの状態を踏まえ医師の裁量でご判断ください。
解釈と臨床での注意点
- リベルサスは肥満症の適応外であり、体重減少目的の投与はオフラベルです。
- 体重減少効果は用量依存的で、高用量(50 mg)では注射製剤に匹敵する減量が報告されていますが、実臨床での忍容性・副作用管理(消化器症状など)に留意が必要です。
- 低〜中用量(3/7/14 mg、糖尿病適応用量)では、減量は数kg程度にとどまる報告が多いです。
- 減量目標や併用療法(食事・運動、他の肥満薬)を含め、総合的なプランで検討してください。
服用方法(参考:糖尿病適応での基本ルール)
起床時の空腹に少量の水(120mL以下)で内服し、30分以上は飲食・他薬を避ける。その後に朝食や他剤を服用。
参考文献・出典
- Oral semaglutide 50 mg in adults with overweight/obesity: 68-week RCT
- Oral semaglutide:作用/有効性レビュー(PIONEERデータの要約含む)
- Rybelsus® 公式:臨床試験結果
※本コンテンツは学術情報の提供を目的としたもので、各薬剤の承認条件・用法用量は国・地域で異なります。適応外使用の可否や投与は、患者さんの状態を踏まえ医師の裁量でご判断ください。
解釈と臨床での注意点
- リベルサスは肥満症の適応外であり、体重減少目的の投与はオフラベルです。
- 体重減少効果は用量依存的で、高用量(50 mg)では注射製剤に匹敵する減量が報告されていますが、実臨床での忍容性・副作用管理(消化器症状など)に留意が必要です。
- 低〜中用量(3/7/14 mg、糖尿病適応用量)では、減量は数kg程度にとどまる報告が多いです。
- 減量目標や併用療法(食事・運動、他の肥満薬)を含め、総合的なプランで検討してください。
服用方法(参考:糖尿病適応での基本ルール)
起床時の空腹に少量の水(120mL以下)で内服し、30分以上は飲食・他薬を避ける。その後に朝食や他剤を服用。
参考文献・出典
- Oral semaglutide 50 mg in adults with overweight/obesity: 68-week RCT
- Oral semaglutide:作用/有効性レビュー(PIONEERデータの要約含む)
- Rybelsus® 公式:臨床試験結果
※本コンテンツは学術情報の提供を目的としたもので、各薬剤の承認条件・用法用量は国・地域で異なります。適応外使用の可否や投与は、患者さんの状態を踏まえ医師の裁量でご判断ください。
よくある質問
朝に水をたくさん飲んで服用しても大丈夫?
吸収が落ちるため、水は120mL以下で服用してください。服用後30分は飲食・他薬を避けるのがコツです。
体重はどれくらい落ちますか?
個人差がありますが、2型糖尿病の方で数%程度の減少が目安です。減量最優先なら注射GLP-1やチルゼパチドをご案内します。
吐き気が強いときは?
食事量を小分けにする・脂質を控える・漸増を一段階戻す/据え置くなどで緩和することがあります。改善しない場合はご相談ください。
手術の予定があります。
遅延胃排出により誤嚥リスクが上がるため、1週間前からの休薬を含め、術前指示に従ってください。
肥満だけでも処方できますか?
国内適応は2型糖尿病です。肥満単独の体重管理は適応外のため、当院では原則第一選択としません(他の選択肢をご提案します)。
次の一歩:目的に合う治療を一緒に選びましょう。初回はオンライン可、生活支援とセットでご提案します。
💊 リベルサスの薬価と自己負担について
リベルサス(一般名:セマグルチド)は、GLP-1受容体作動薬としては初の経口剤で、2型糖尿病の治療に使用されます。
以下は、各用量ごとの薬価と3割・1割負担時の自己負担額の目安です(2024年時点)。
■ 保険診療での薬価(2024年改定時点)
| 製剤名 |
薬価(1錠) |
3割負担 |
1割負担 |
| リベルサス錠 3mg |
139.6円 |
約42円 |
約14円 |
| リベルサス錠 7mg |
325.7円 |
約98円 |
約33円 |
| リベルサス錠 14mg |
488.5円 |
約147円 |
約49円 |
■ 自己負担の目安(1日1錠使用時)
- ● 3割負担の方: 約42〜147円/日
- ● 1割負担(高齢者など): 約14〜49円/日
- ※ 診察料・血液検査・指導料などは別途かかります
✅ リベルサスは注射を使わずにGLP-1製剤の効果を得られる革新的な治療薬です。
ただし、服用方法(空腹時に飲水量制限付き)が厳格であり、医師の指導のもと正しく継続することが重要です。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修
「リベルサス(セマグルチド経口剤)は、GLP-1受容体作動薬として初の内服可能な治療薬です。
注射が苦手な方や、より手軽に始めたい患者様にとって、画期的な選択肢となります。」
GLP-1製剤はもともと注射剤として発展してきましたが、リベルサスの登場により、服薬アドヒアランスや心理的ハードルの低下が期待できるようになりました。
正しい服薬タイミングを守ることが重要ですが、科学的根拠に基づく体重・血糖の改善効果は注射製剤と同等レベルに近づきつつあります。
監修:黒田揮志夫 医師(病理専門医/元外科専門医)
0th CLINIC 日本橋 院長
日本病理学会認定 病理専門医/元外科専門医/慢性疾患・代謝疾患に関する診療経験多数