ホスホマイシン(膀胱炎の抗菌薬)細胞壁合成阻害
急な排尿痛・頻尿の原因となる細菌に有効な抗菌薬です。海外では経口3g単回での急性単純性膀胱炎治療が広く用いられます。複雑性や合併症がある場合は培養と注射製剤などを含め、設計を変えます。
※当院の診療時間はお知らせをご確認ください。
1. 一般名・商品名・分類
- 一般名:ホスホマイシン(Fosfomycin)
- 国内の主な商品名:FOSMICIN®(ホスミシン:静注用ナトリウム塩、錠/カプセル 等|Meiji Seika Pharma)
- 海外商品名:Monurol® 3g(fosfomycin trometamol 顆粒/分包|Zambon ほか)
- 薬理分類:細胞壁合成阻害薬(MurA阻害)
- 主な適応:急性単純性膀胱炎 ※重症/合併症例では適応・投与経路が異なります
膀胱炎は症状・尿検査・(必要に応じて)培養で総合判断し、抗菌薬を選択します。
3. 飲み方(用法・用量)
- 経口(海外の一般的運用):3g を 単回(fosfomycin trometamol 顆粒/分包)。就寝前や空腹時の内服が推奨されることがあります。
- 国内:流通製剤・適応は剤形により異なります。診察で投与経路・量を決めます(例:複雑性UTIや腎盂腎炎などは静注ナトリウム塩を検討)。
- 飲み忘れ:単回投与の場合は再度の自己判断投与を避け、指示を確認してください。
※適応・投与量は年齢、腎機能、妊娠・授乳、併用薬で変わります。
4. 副作用
- 比較的多い:下痢、吐き気、腹部不快、頭痛
- ときに:皮疹、肝機能検査値上昇、めまい、味覚変化
- 静注時:高ナトリウム負荷・浮腫、血圧上昇などに注意(ナトリウム塩)
抗菌薬関連下痢・CDI(クロストリジオイデス・ディフィシル感染)に注意。重い下痢や血便は早めに受診を。
5. 使えない/注意が必要な方
- 重い腎機能障害:用量調整や代替薬を検討。
- ナトリウム制限:静注製剤ではNa負荷に注意。
- 妊娠・授乳中は主治医とリスク/ベネフィットを個別に検討。
当院では既往歴・妊娠可能性・腎機能・体液バランス・残尿を確認します。
6. 飲み合わせ(相互作用)・内服のコツ
- メトクロプラミド:ホスホマイシンの吸収が低下することがあります。
- 食事:同時摂取で吸収が遅れ、尿中濃度が下がることがあります。指示がある場合は空腹時に。
- その他の重篤なCYP相互作用は少ないとされていますが、お薬手帳をご提示ください。
7. 受診〜内服の流れ
- 問診・尿検査:白血球・亜硝酸・培養(必要時)。妊娠の可能性も確認。
- 薬の選択:単純性なら経口、合併症・男性・高齢・カテーテル等は設計変更。
- 48–72時間後:症状追跡。培養結果で必要なら抗菌薬をデエスカレート/スイッチ。
- 再発対策:水分・排尿習慣・性交後排尿、腟内環境、基礎疾患の是正。
8. よくある質問(FAQ)
単回で本当に大丈夫?
急性単純性膀胱炎では海外ガイドラインで3g単回が広く用いられます。状況により地域・製剤で運用が異なります。
男性や複雑性膀胱炎でも使えますか?
一般に単回経口療法は推奨されません。培養結果を踏まえた別設計や静注治療を検討します。
授乳中でも内服できますか?
母乳中に移行します。継続/中止は主治医と相談して個別に判断します。
再発を防ぐには?
水分摂取、我慢しすぎない排尿、性交後排尿、便秘対策、腟内のケアなど。再発性は基礎原因を評価します。
9. 費用の目安
保険診療の自己負担は目安です。剤形・日数・検査有無で変動します。
| 項目 | 内容 | 自己負担(目安) |
|---|---|---|
| 初再診・処方 | 診察+尿検査(必要時培養) | 保険適用 |
| 内服薬 | ホスホマイシン(剤形・日数により) | 保険適用 |
| 注射薬 | FOSMICIN®静注(重症・合併症例等) | 保険適用 |
※薬価改定・在庫状況で実額が変わります。会計時にご案内。
10. 併用すると良い対策
- 水分・排尿習慣:我慢しすぎない、こまめな水分で洗い流す。
- 会陰部ケア:温かく保ち、摩擦・香料の強い洗浄は控えめに。
- 性交後排尿・尿路の保温:再発予防に有効です。
医師監修
本ページは医師が最新情報を確認のうえ監修しています。個別の適応・用量は診察にて決定します。
ご相談・ご予約
症状・培養結果・合併症の有無に合わせて、内服単回から静注治療まで最適なプランをご提案します。
※この情報は一般向け解説です。治療は医師の診察に基づき個別に判断されます。
