過敏性腸症候群(IBS)|“過剰検査を避けつつ、症状に効く”連携型アプローチ
過敏性腸症候群(IBS)|“過剰検査を避けつつ、症状に効く”連携型アプローチ
当院には内視鏡設備はありません。内視鏡や特殊検査(便検査・カルプロテクチン・食道/胃検査(必要時) 等)は連携医療機関で実施し、
当院は適応判断・紹介手配・結果の丁寧なご説明、低FODMAP/心理/薬物療法、骨盤底/呼吸トレーニングの調整まで一貫管理します。
体重減少・血便/黒色便・発熱・夜間症状・進行する嚥下困難などの警告徴候(Red Flags)があれば、有機疾患の除外を優先(連携先で検査)。
検査は連携先で実施/当院が紹介状作成・手配・結果説明・治療設計・フォローまで伴走
LINEで24時間受付 ※内視鏡・特殊検査は連携先で実施します
概要(過敏性腸症候群:IBS)
- 定義:構造的異常が乏しいのに、腹痛と排便に関連する便通の変化(便秘/下痢/混合)が慢性に続く状態。腸‐脳相関や知覚過敏・運動異常が関与。
- 主症状:腹痛、便秘/下痢、腹部膨満・ガス、残便感、粘液便など。
- 基本姿勢:不要な検査を避けつつRed Flagsは除外し、低FODMAP・心理療法・薬物を組み合わせて症状緩和とQOL改善を目指します。
受診/精査の目安(Red Flags)
- 体重減少・発熱・持続する血便/黒色便・貧血
- 夜間に目が覚めるほどの痛み/下痢、50歳以上の新規症状、消化器がん家族歴
- 炎症性腸疾患や胆膵疾患、セリアック病などの疑いがある場合
警告徴候があれば連携先での内視鏡・画像・便検査を優先します。
診断(Rome基準)・鑑別
- Rome IVの要点:過去3か月で週1日以上の腹痛があり、以下のうち2項目以上に関連:①排便で変化する、②便の頻度が変化、③便形状(Bristol)が変化(発症は少なくとも6か月前)。
- 当院で実施:詳細問診、身体診察、基本採血(貧血/炎症/甲状腺等)、便検査(潜血・病原体・便中カルプロテクチンの必要性評価)、食事/生活評価。
- 連携先で実施:上部/下部内視鏡(Red Flagsや年齢・家族歴で必要時)。
- 鑑別:炎症性腸疾患、胆汁酸性下痢、感染後腸炎後遺症、膵外分泌不全、薬剤性、甲状腺異常、セリアック病など。
治療(食事・心理・薬物の“合わせ技”)
- 食事療法:低FODMAPの段階的実施(4–6週の除去→再導入)、脂質/カフェイン/アルコール/炭酸の調整、可溶性食物繊維(サイリウム等)中心、不溶性繊維は過量に注意。
- 心理療法:GI認知行動療法・腸催眠療法など“腸‐脳相関”に働きかける介入(提携カウンセラーと連携)。
- 薬物療法(症状・タイプ別に選択):
- 鎮痙薬、整腸薬/プロバイオティクス(短期トライアル)、ペパーミントオイル(腸溶製剤が望ましい)。
- IBS-D:止瀉薬(ロペラミド)、5-HT3拮抗薬(ラモセトロン)(国内適応あり)、胆汁酸吸着薬(胆汁酸性下痢が疑わしいとき)。※リファキシミンは国内では他適応で保険適用、IBS-Dは適応外。
- IBS-C:浸透圧性下剤(マグネシウム製剤 等)、ルビプロストン、リナクロチド(国内は主に慢性便秘症の適応。IBS-Cは適応外の場合あり)、必要時刺激性下剤を短期。
- 痛み中心:低用量TCAを主体に中枢性神経調整薬(SNRI/SSRIを含む)を併用検討。
- 行動/理学療法:横隔膜呼吸(ゲップ/腹部膨満・反芻に有用)、骨盤底筋トレーニング(排出障害)を提携施設で実施。
- 再評価:3–8週で反応性を確認し、エビデンスと実感に基づき強化・減量(ステッピング/デスカレーション)。
薬剤の保険適用・適応は疾患・用量で異なります。適応外使用は十分な説明と文書同意のうえで検討します。
便通タイプ別の戦略
タイプ | 中心症状 | 主なアプローチ |
---|---|---|
IBS-D(下痢型) | 腹痛+軟便/水様便、切迫感 | 低FODMAP、ペパーミント、ロペラミド、ラモセトロン、胆汁酸吸着薬、低用量TCA、ストレスマネジメント |
IBS-C(便秘型) | 硬便・排便困難・残便感・膨満 | 低FODMAP、可溶性繊維、浸透圧性下剤、ルビプロストン、リナクロチド(適応要確認)、骨盤底評価、運動/水分/睡眠 |
IBS-M(混合型)/U | 下痢と便秘が交互、症状変動 | 食事の一貫性、症状主導の薬物切替、鎮痙薬、神経調整薬、心理療法、横隔膜呼吸 |
連携フロー(当院が窓口となり伴走します)
- ① 初診評価:病型推定・Red Flags確認・最小限検査・初期治療の開始
- ② 紹介手配:必要な内視鏡/便検査等を優先度順に調整
- ③ 結果統合(当院):検査結果の解説と治療計画の最適化(食事/心理/薬物/理学)
- ④ フォロー:症状・副作用・QOL指標をトラッキング、必要に応じ再紹介
よくある質問
IBSは内視鏡でわかりますか?
IBSは症状基準(Rome)で診断します。内視鏡は有機疾患の除外が必要な場合に実施します。
低FODMAPはどのくらい続けますか?
4–6週の除去→再導入で“合わない食品”を特定し、過度な制限を避けた持続可能な食事に調整します。
神経調整薬は依存が心配です
少量を痛み/知覚過敏の調整目的で用います。依存性は高くなく、効果・副作用を見ながら慎重に調整します。
どのくらいで良くなりますか?
個人差はありますが、3–8週で反応を評価し、効果のある介入を強化します。完全寛解だけでなくQOL改善もゴールにします。
関連ページ(詳しい解説はこちら)
IBS:外部エビデンスまとめ
Rome基準、IBS-D/IBS-Cの薬物選択、低FODMAP・ペパーミント・心理療法・神経調整薬の推奨。
📘 総論・診療ガイダンス
- Rome Foundation:DGBI/IBSの診断枠組み
- 国際ガイドライン(ACG/AGA など):タイプ別薬物療法・食事/心理介入の位置づけ
🧪 タイプ別の主要ポイント
- IBS-D:止瀉薬、5-HT3拮抗薬、胆汁酸関連の評価、TCAの痛み改善効果
- IBS-C:可溶性繊維、浸透圧性下剤、分泌促進薬(適応要確認)、骨盤底評価
- 共通:低FODMAP(除去→再導入)、ペパーミント、GI-CBT/腸催眠、運動/睡眠
👨⚕️ 医師からのコメント・監修(IBS/連携型)

「IBSは腸‐脳相関と知覚過敏・運動異常が鍵です。 低FODMAP・心理療法・薬物療法を患者さんのタイプに合わせて組み合わせることで、 多くの方が生活の質を取り戻せます。
当院は適応判断・紹介手配・結果説明に加え、 鎮痙薬/止瀉薬/便秘治療・神経調整薬・横隔膜呼吸/骨盤底トレーニングまで、 連携体制で一貫して伴走します。」
0th CLINICは“過剰検査を避けつつ、症状に効く”連携型で、最短距離の改善を目指します。
監修:黒田 揮志夫 医師(プライマリケア認定医/病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
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