吸収不良症候群(Malabsorption)|“原因から逆算する”連携型アプローチ

吸収不良症候群(Malabsorption)|“原因から逆算する”連携型アプローチ|日本橋の消化器内科 0th CLINIC

吸収不良症候群(Malabsorption)|“原因から逆算する”連携型アプローチ

当院には内視鏡設備はありません。内視鏡・画像検査は連携医療機関で実施し、
当院は適応判断・紹介手配・結果の丁寧なご説明栄養欠乏の補正原因治療(除菌/酵素補充/食事指導/薬物療法)とフォローまで一貫管理します。

重度脱水・意識障害・持続する血便/黒色便・高度貧血などは救急連携を優先します(内視鏡/入院は連携先で実施)。

検査は連携先で実施/当院が紹介状作成・手配・結果説明・栄養/治療フォローまで伴走
LINEで24時間受付 ※内視鏡・画像は連携先で実施します

概要(吸収不良症候群の要点)

  • 定義:小腸での栄養素(脂肪・糖質・蛋白・ビタミン/ミネラル)の消化/吸収障害により、慢性下痢・脂肪便・体重減少・貧血・栄養欠乏などが生じる状態。
  • 代表的症状:脂っぽい便・膨満・ガス・倦怠感、鉄/葉酸/ビタミンB12欠乏による貧血、ビタミンD/K欠乏による骨量低下/易出血など。
  • 鑑別の考え方粘膜障害型(セリアック病、炎症性腸疾患)消化不全型(膵外分泌不全)腸内過剰発酵型(SIBO)胆汁酸関連炭水化物不耐(乳糖/果糖)術後・短腸などに層別化して評価します。

受診/救急の目安(Red Flags)

  • 重度脱水・意識障害・尿量著減
  • 進行性の体重減少・高度栄養失調・浮腫(蛋白低下)
  • 持続する血便/黒色便・胸痛を伴う高度貧血/動悸
  • 発熱や激しい腹痛(感染/炎症性腸疾患・虚血などの鑑別が必要)

赤旗症状では救急連携→連携先で緊急検査/入院治療を優先します。

主な原因(層別化)

  • 粘膜障害:セリアック病(グルテン関連)、クローン病小腸型、薬剤性/放射線性腸炎、寄生虫(Giardia)ほか。
  • 消化不全(消化液不足)膵外分泌不全(EPI)、胆道疾患に伴う胆汁不足。
  • 腸内細菌異常小腸内細菌異常増殖(SIBO)、盲係蹄症候群、強皮症など。
  • 胆汁酸関連胆汁酸下痢(BAD/BAM)、回腸疾患/切除後。
  • 糖質不耐乳糖不耐症、果糖不耐など。
  • 解剖/術後:短腸症候群、バイパス術後。
  • その他:甲状腺機能異常、アルコール性膵障害、薬剤(オルリスタット等)。

評価・検査(当院/連携先の役割)

  • 当院で実施:詳細問診(食歴/薬歴/手術歴)・身体診察、血液(血算、電解質/腎肝機能、鉄/フェリチン、B12/葉酸、ビタミンD、亜鉛/マグネシウム、PT-INR 等)、便検査(便性状・潜血、Giardia抗原/虫卵、便中エラスターゼ(EPI))、呼気試験(乳糖、SIBOの水素/メタン)を選択。セリアック抗体(tTG-IgA+総IgA)も外来で実施。
  • 連携先で実施上部内視鏡+十二指腸生検(セリアック確定)、大腸内視鏡(炎症/出血精査)、小腸カプセル/バルーン内視鏡MRエンテログラフィ、膵・胆道の画像(CT/MRCP)、必要に応じ入院下での栄養評価。
  • 胆汁酸下痢の評価:SeHCAT/C4が利用困難な場合、胆汁酸吸着薬の治療的試験を検討。
  • 注意:セリアック抗体はグルテン摂取継続中に測定する(自己判断の除去は診断を不明瞭にします)。

治療(原因治療と栄養補正の“合わせ技”)

  • 膵外分泌不全(EPI)膵酵素補充療法(食事と同時投与)を基本に、脂溶性ビタミン欠乏の補正。
  • SIBO:ガイドラインに沿った抗菌薬を選択、解剖学的要因/運動低下の是正、食事調整を併用。
  • セリアック病グルテンフリー食(栄養士と連携)、補助的に鉄/B12/葉酸/ビタミンDなどを補正。
  • 胆汁酸下痢(BAD/BAM)胆汁酸吸着薬(例:コレスチラミン等)を治療的試験。
  • 乳糖不耐乳糖制限ラクターゼ補充を症状に応じて。
  • 栄養サポート:欠乏に応じた鉄/B12/葉酸/亜鉛/マグネシウム/脂溶性ビタミン(A・D・E・K)補充、MCT油の活用、少量頻回食、水分/電解質補正。
  • 短腸・重症例:連携先での入院下栄養(経腸/静脈)や専門的管理を調整。

連携フロー(当院が窓口となり伴走します)

  • 初診評価:症状・食歴/薬歴・基本検査・原因仮説の層別化
  • 紹介手配:連携医療機関へ内視鏡/画像・特殊検査の予約・紹介状作成
  • 検査/入院(連携先):内視鏡・生検・画像・入院下栄養評価
  • 結果説明(当院):画像/病理の解説、妥当性チェック、原因別治療と栄養戦略の提示
  • フォロー:欠乏補正の再評価、再発予防、必要に応じ再紹介

よくある質問

まず何から検査しますか?
当院では血液(貧血・電解質・ビタミン/微量元素)と便(便中エラスターゼ、感染症)、必要に応じ呼気試験(乳糖・SIBO)とセリアック抗体を実施し、結果に応じて連携先での内視鏡/画像を手配します。
内視鏡はどこで受けますか?
当院が連携医療機関へ紹介し、上部/下部内視鏡・小腸検査はそちらで実施します。結果は当院で丁寧にご説明し、方針の妥当性もチェックします。
食事はどうすれば?
原因により異なります。例:セリアックはグルテンフリー、乳糖不耐は乳糖制限/酵素補充、脂肪吸収不良はMCT活用。栄養士と連携して個別設計します。
原因が見つからない場合は?
段階的に鑑別を見直し、胆汁酸下痢の治療的試験や小腸の精密評価(カプセル/画像)を連携して進めます。
サプリは飲んだ方が良い?
盲目的補充ではなく、検査で足りない栄養素を狙って補うのが安全です。鉄・B12・葉酸・ビタミンD・亜鉛などを必要量・期間で処方します。

吸収不良症候群:外部エビデンスまとめ

原因の層別化、検査の要点(便中エラスターゼ・呼気試験・セリアック抗体/生検・胆汁酸評価)、治療(PERT/抗菌薬/食事療法/胆汁酸吸着薬・栄養補正)。

📘 総論・鑑別

🧪 診断(各原因の要点)

💊 治療(原因治療と栄養補正)

※ セリアック抗体はグルテン摂取を継続した状態で測定。EPIの一次検査は便中エラスターゼが推奨。SIBOはACG 2020の基準に準拠して検査/治療を選択します。

👨‍⚕️ 医師からのコメント・監修(吸収不良症候群・連携型)

吸収不良症候群(Malabsorption)|“原因から逆算する”連携型アプローチ
「吸収不良は原因の層(粘膜・消化液・腸内細菌・胆汁酸・糖質不耐・解剖)で考えると道筋が明確になります。 当院は適応判断・紹介手配・結果説明に加え、栄養補正膵酵素補充・抗菌薬・グルテンフリー・胆汁酸吸着薬などの治療設計とフォローまで伴走します。」

0th CLINICは“原因から逆算する”連携型で、必要な検査/治療を最短距離でご提案します。

監修:黒田 揮志夫 医師(プライマリケア認定医/病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上

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