胸痛・冷汗・息切れ…急性冠症候群(ACS)かも|症状・検査・治療|0th CLINIC 日本橋

胸の圧迫感冷汗息切れ…それ、急性冠症候群(ACS)かもしれません

急性冠症候群(ACS)は、冠動脈のプラーク破綻や血栓で血流が急低下/閉塞し、心筋梗塞(STEMI/NSTEMI)不安定狭心症として発症する病態です。
診断にECG(可能なら10分以内)高感度トロポニンを用い、STEMIは一次PCIによる迅速再灌流NSTEMI/不安定狭心症は早期侵襲的戦略+薬物療法を基本に、退院後は二次予防(薬物・心臓リハ)を行います。

⚠️ 10分以上続く強い胸痛/圧迫感安静でも改善しない痛み冷汗・吐き気突然の息切れ/失神救急受診を検討してください

関連ページ(虚血性心疾患の全体像/病型)

目次

  1. 急性冠症候群(ACS)とは
  2. 主な症状・危険サイン
  3. 検査の流れ(ECG→高感度トロポニン→CAG/PCI)
  4. 病型(STEMI/NSTEMI/不安定狭心症)
  5. 治療の全体像(再灌流・薬物・心リハ)
  6. 退院後ケア・生活の工夫(QOL)
  7. フォローアップと緊急受診の目安
  8. 当院でできること
  9. よくある質問

🔍 急性冠症候群(ACS)とは

冠動脈のプラーク破綻/びらんに伴う血栓形成や著明な狭窄で、心筋への血流が急激に途絶/低下し発症します。
STEMIは冠動脈の急閉塞で広範な虚血・壊死を生じ、NSTEMIは非ST上昇でも心筋障害(トロポニン上昇)を伴います。不安定狭心症はトロポニン陰性でも臨床的にACSとして扱い、早期方針決定が必要です。

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左前下行枝(LAD)・回旋枝(LCx)・右冠動脈(RCA)などの血栓性急閉塞が典型です。

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🩺 主な症状・危険サイン

  • 10分以上続く胸部圧迫感/絞扼感: あご・肩・背部・左腕に放散、冷汗・吐き気を伴うことが多い
  • 急な息切れ・呼吸困難: 心不全やショックのサインに注意
  • 非典型症状: 高齢者・糖尿病・女性では倦怠感/胃部不快のみの場合も
🚩 危険サイン: 安静でも改善しない強い胸痛、冷汗・蒼白、突然の息切れ/失神救急受診を検討

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🧪 検査の流れ(ECG→高感度トロポニン→CAG/PCI)

  1. 12誘導ECG:胸痛時10分以内が目安。ST上昇/虚血所見/新規脚ブロックを確認し連続記録。
  2. 高感度トロポニン:0h→1–2hで変化を評価(臨床像と併せて解釈)。
  3. リスク層別化:HEART/TIMI/GRACE等で重症度評価し、方針を迅速決定。
  4. 画像/侵襲検査冠動脈造影(CAG)で解剖を評価し、多くは同座でPCIを実施。
  5. 合併症評価:心エコーで壁運動・駆出率・機械的合併症(腱索/乳頭筋・VSP・破裂)を確認。
🧭 院内フローの目安: ECG→トロポニン→STEMIは一次PCINSTEMI/不安定狭心症は早期侵襲的戦略(リスクに応じて)。
🔗 併せて 心筋梗塞狭心症 もご参照ください。

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📊 病型(STEMI/NSTEMI/不安定狭心症)

  • STEMI: ST上昇+臨床的心筋壊死。一次PCIで迅速再灌流が原則。
  • NSTEMI: ST上昇なしでもトロポニン上昇。早期侵襲的戦略とDAPTを検討。
  • 不安定狭心症: トロポニン陰性でも臨床的にACS。NSTEMIに準じ、リスクで方針決定。

病型により再灌流の緊急度抗血栓療法の強度が異なるため、正確な初期評価が鍵です。

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💊 治療の全体像(再灌流・薬物・心リハ)

再灌流療法

  • 一次PCI(ステント): STEMIの標準治療。遅延最小化が最重要。
  • 血栓溶解療法: PCIが著しく遅れる場合に選択(適応・禁忌に厳密対応)。

抗血栓・抗虚血・心保護

  • DAPT: アスピリン+P2Y12阻害薬(クロピドグレル等)を一定期間。
  • 抗凝固: 急性期にヘパリン等を併用。
  • 抗虚血薬: 硝酸薬・β遮断薬・Ca拮抗薬を血行動態に応じて。
  • 予後改善薬: 高強度スタチン±エゼチミブ/PCSK9、ACE阻害薬/ARB、MR拮抗薬、SGLT2阻害薬(適応例)。
  • 補足: 低酸素でなければ酸素の常用は不要、PDE5阻害薬内服や右室梗塞疑いでは硝酸薬に注意、モルヒネは疼痛コントロールに限定的に。

心臓リハビリ・二次予防

  • 段階的運動療法、禁煙、栄養・体重管理、血圧/脂質/糖代謝の最適化、心理支援。
📌 意思決定の要点: 発症時刻、解剖学的重症度、血行動態、出血リスク、併存症、仕事/生活への影響を総合評価。
🔗 参考: 虚血性心疾患(親)心筋梗塞狭心症

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🌱 退院後ケア・生活の工夫(QOL)

  • 禁煙: 再発予防の最重要事項。家族の受動喫煙も回避。
  • 運動: 心リハに基づき漸増(有酸素+レジスタンス)。
  • 食事: 地中海食・減塩・飽和脂肪/超加工食品の制限。
  • 内科的管理: 血圧・脂質・血糖・腎機能・睡眠時無呼吸の最適化。
  • 服薬アドヒアランス: DAPT/スタチン等は自己判断で中止しない。相互作用に注意。
🧑‍⚕️ 多職種チーム(医師・看護・リハ・栄養・心理)が再発予防と生活の質向上を支援します。

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🔄 フォローアップと緊急受診の目安

  • 再診頻度: 退院後早期(1–2週)→以降は症状・治療に応じて。PCI後はプロトコルに準拠。
  • 再評価: 症状・ECG・脂質/肝腎機能、必要時は心エコー(駆出率・壁運動)。
  • 薬剤管理: DAPT期間・出血リスク・相互作用を点検、心保護薬を至適化。
🚩 要注意: 新規/増悪の胸痛、安静時持続痛、冷汗や吐き気を伴う圧迫感、突然の息切れ/失神 → 救急受診を検討

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🏥 当院でできること(0th CLINIC 日本橋)

  • 初期評価: 迅速ECG・高感度トロポニンの手配、既往・内服の確認。
  • 専門治療の連携: 冠動脈造影(CAG)/PCIの緊急紹介、必要に応じCABG評価。
  • 二次予防: DAPT・スタチン・ACE阻害薬/ARB等の最適化、禁煙支援、心臓リハのご案内。
  • 長期管理: 薬剤相互作用・出血リスク・腎機能の点検、職場復帰や運動計画の調整。
📅 完全予約制・Web予約対応。わかりやすい説明と、専門施設とのスムーズな連携を大切にしています。

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❓ よくある質問(Q&A)

Q:救急へ行くべき目安は?

10分以上続く強い胸痛/圧迫感、安静でも改善しない痛み、冷汗・吐き気・呼吸困難・失神を伴う場合は救急受診を検討してください。

Q:搬送中にアスピリンを飲むべき?

有用な場合がありますが、アレルギーや既往内服により禁忌もあります。自己判断は避け、医療者の指示に従ってください。

Q:退院後、運動再開のタイミングは?

心臓リハの評価に基づき段階的に再開します。病型・治療・心機能で異なるため、担当医の指示に従ってください。

ほかにも気になる点があれば、ご受診時にお気軽にお尋ねください。
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📚 急性冠症候群(Acute Coronary Syndromes / ACS)・診断と治療に関する科学的根拠と外部リンク集

🔬 公的機関・国際機関

🏛 学会・専門団体ガイドライン

📖 学術レビュー・教科書

🇯🇵 日本の公的情報・ガイドライン

🤝 参考:患者支援・心臓リハ(退院後の自己管理)

これらのリンクは、急性冠症候群(ACS:STEMI/NSTEMI/不安定狭心症)の診療—ECG・高感度トロポニンによる迅速トリアージ再灌流戦略(一次PCI/状況により溶解療法)抗血栓療法(DAPT/抗凝固)予後改善薬(スタチン/ACE阻害薬/ARB/MR拮抗薬/SGLT2阻害薬など)、および心臓リハ・二次予防までを体系的にカバーします。
実際の方針は発症からの時間・解剖学的重症度・血行動態・出血リスク・併存症・患者さんの価値観で異なります。 最新ガイドラインと専門医の判断に基づき決定してください。

👨‍⚕️ 医師からのコメント・監修(急性冠症候群)

胸痛・冷汗・息切れ…急性冠症候群(ACS)かも|症状・検査・治療|0th CLINIC 日本橋
胸痛のすべてが心筋梗塞とは限りませんが、10分以上続く圧迫感・灼熱感安静でも改善しない痛み冷汗・吐き気・著しい息切れ・失神急性冠症候群(ACS)を強く疑います。まずは救急要請を検討してください。
初期対応は12誘導心電図(可能なら10分以内)高感度トロポニン(0h/1–2h)で迅速に診断し、 臨床像に基づくリスク層別化(GRACE/TIMI/HEART等)を行います。 ST上昇型(STEMI)一次PCIによる即時再灌流が原則で、著しい遅延が見込まれる場合は 血栓溶解療法→早期PCI(ファーマコインベーシブ戦略)を検討します。
非ST上昇型(NSTEMI/不安定狭心症)では、血行動態不安定・持続虚血・重症不整脈などがあれば緊急〜早期侵襲的戦略を、 それ以外でもリスクに応じ24〜72時間以内のカテーテル検査を検討します。
薬物治療はDAPT(アスピリン+P2Y12阻害薬)抗凝固薬(急性期)を基本に、 高強度スタチンβ遮断薬(ショック・重度心不全・徐脈では慎重に)、ACE阻害薬/ARB、 心機能低下例ではMRASGLT2阻害薬などの予後改善薬を適切に組み合わせます。 退院後の心臓リハビリは再発・再入院・死亡リスクの低減に有効で、禁煙・食事・運動を 継続可能な形で設計することが重要です。
年齢・合併症・解剖学的病変・出血リスク・職業/生活背景を踏まえ、過不足のない治療強度着実な二次予防を目指します。」

0th CLINICでは疑い例の初期トリアージ(症状聴取・ECG・必要時の迅速紹介)と、 入院後/退院後の外来フォロー(薬剤最適化・相互作用/腎機能/出血リスクの点検)を行い、 脂質管理・血圧/糖代謝の是正・禁煙支援心臓リハビリのご案内まで包括的に支援します。
緊急症状がある場合は救急要請を最優先とし、PCI/CABG等の専門治療は連携病院と速やかに調整します。

監修:黒田 揮志夫 医師(病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上

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