クローン病(Crohn’s disease)|“診断精度と増悪予防”連携型アプローチ
クローン病(Crohn’s disease)|“診断精度と増悪予防”連携型アプローチ
当院には内視鏡設備はありません。大腸内視鏡・小腸カプセル・MRE/CTEは連携医療機関で実施し、
当院は適応判断・紹介手配・結果の丁寧なご説明、感染スクリーニング、薬物/栄養療法の設計、ワクチン/再発予防・TDMまで一貫管理します。
発熱・激しい腹痛・腫脹(膿瘍疑い)・腸閉塞症状・大量出血は救急連携を優先します(緊急検査/入院は連携先で実施)。
検査は連携先で実施/当院が紹介状作成・手配・結果説明・治療設計・再発予防まで伴走
LINEで24時間受付 ※内視鏡・画像は連携先で実施します
概要(クローン病の要点)
- 病態:口腔から肛門まで全消化管に起こりうる慢性炎症性腸疾患。小腸(回腸末端)優位が多く、全層性炎症により狭窄・瘻孔・膿瘍を形成。
- 症状:腹痛・下痢・体重減少・倦怠感・発熱、肛門病変(痔瘻/裂肛/膿瘍)、関節痛・皮疹・眼症状などの腸管外所見。
- 治療目標:症状改善に加え、粘膜治癒や炎症バイオマーカー正常化を狙うTreat-to-Target(STRIDE II)が主流。
受診/救急の目安(Red Flags)
- 持続する発熱・激しい腹痛・反跳痛(膿瘍/穿孔の疑い)
- 嘔吐を伴う腹部膨満(狭窄/腸閉塞)
- 大量下血・黒色便、急速な貧血
- 重度脱水、全身状態の急速な悪化
赤旗症状では救急連携→連携先で緊急画像/内視鏡/ドレナージ・入院治療を優先します。
評価・検査(当院/連携先の役割)
- 当院で実施:詳細問診・身体所見、血液(血算・CRP・肝腎機能・鉄/フェリチン・B12・亜鉛・ビタミンD)、便中カルプロテクチン、感染除外(便培養/C. difficileトキシン)。生物学的製剤前のスクリーニング(B型/ C型肝炎、HIV、潜在性結核(IGRA+胸部画像)、帯状疱疹既往/抗体確認)、ワクチン計画、治療方針の設計とTDM導入。
- 連携先で実施:大腸内視鏡(回腸末端まで)+生検、MRE/CTE(壁肥厚・瘻孔/膿瘍評価)、肛門疾患評価(骨盤MRI/超音波)、小腸カプセル内視鏡(狭窄疑い時はパテンシーカプセル先行)。
- 病勢/重症度:症状+カルプロテクチン/CRP+画像/内視鏡で総合判定。治療反応性のモニタリングに活用。
治療(寛解導入/維持・肛門病変・栄養の“合わせ技”)
- 寛解導入:
- ブデソニド(回盲部軽〜中等症)/ 全身ステロイド(中等症以上)※長期維持には不適。
- 栄養療法(経腸:EEN/部分栄養)は炎症制御と栄養改善に有効(特に小腸病変や若年)。
- 生物学的製剤/分子標的薬:抗TNF(インフリキシマブ/アダリムマブ)、抗IL-12/23(ウステキヌマブ)、抗α4β7(ベドリズマブ)、抗IL-23(リサンキズマブ)やJAK阻害薬(ウパダシチニブ)などから病型・既往薬剤に応じ選択。
- 維持療法:生物学的製剤/分子標的薬の継続、必要に応じイムノモジュレーター(アザチオプリン/6-MP、メトトレキサート)。TDMで薬剤濃度・抗体を確認し最適化。
- 肛門病変:抗菌薬(メトロニダゾール/シプロフロキサシン)+ドレナージ/シートン+抗TNF等を組み合わせ。骨盤MRIで評価。
- 膿瘍/狭窄/瘻孔:膿瘍はまずドレナージ+抗菌薬、炎症が収まれば生物学的製剤を導入。線維性狭窄は内視鏡的拡張や手術(狭窄形成/切除)を外科と連携。
- 栄養・欠乏補正:鉄/B12/葉酸/亜鉛/ビタミンDの補正、低脂肪・高エネルギー、少量頻回食、活動期は食物繊維の調整。
- ステロイド対策:骨粗鬆症予防(Ca/ビタミンD、必要時ビスホスホネート、骨密度測定)。
再発予防(ワクチン/禁煙/栄養・TDM)
- 禁煙:喫煙は再燃・手術率を上げます。禁煙は最重要の非薬物療法です。
- ワクチン:不活化(インフルエンザ/肺炎球菌/肝炎/HPV等)は推奨。生ワクチンは免疫抑制前に検討(専門的に判断)。
- 感染対策:生物学的製剤導入前のB/C肝炎・結核の評価と必要な予防内服。
- TDMとTreat-to-Target:症状だけでなくカルプロテクチン/CRP/内視鏡・画像で客観的にコントロールを確認。
合併症とサーベイランス(長期管理)
- 大腸癌リスク:大腸に広範/長期炎症がある場合は定期サーベイランス内視鏡(色素内視鏡/ターゲット生検)。
- 胆道/腎・尿路/皮膚:胆石・尿路結石、皮膚感染/乾癬様変化などに注意。
- 妊娠・授乳:寛解維持での妊娠計画が基本。多くの薬剤は継続可能(個別に評価)。
連携フロー(当院が窓口となり伴走します)
- ① 初診評価:症状・既往薬・栄養評価・血液/便検査・感染スクリーニング
- ② 紹介手配:大腸内視鏡+MRE/CTE/カプセル等を連携先へ予約・紹介状作成
- ③ 確定診断/病勢評価(連携先):内視鏡/画像・病理
- ④ 結果説明(当院):妥当性チェックとTreat-to-Targetの治療設計(薬物/栄養/ワクチン・TDM)
- ⑤ フォロー:再燃予防・薬剤最適化・欠乏補正、必要に応じ外科/肛門科・妊孕性外来と連携
よくある質問
潰瘍性大腸炎との違いは?
クローン病は全消化管に起こり、小腸優位・全層性炎症で狭窄/瘻孔を来しやすいのが特徴です。潰瘍性大腸炎は大腸粘膜層主体の連続性炎症です。
手術は必要になりますか?
薬物で多くはコントロール可能ですが、線維性狭窄や膿瘍/瘻孔・穿孔では外科治療が必要になることがあります。再発を減らすため術後の再燃予防も計画します。
食事はどうすれば?
活動期は脂質や不溶性繊維を控え、高エネルギー・少量頻回を基本に。小腸病変では経腸栄養を併用することがあります。栄養士と個別設計します。
ワクチンは受けられますか?
多くの不活化ワクチンは接種推奨です。生ワクチンは免疫抑制前に計画的に検討します。個別に当院でスケジュール化します。
妊娠・授乳は可能?
寛解維持での妊娠が理想です。多くの薬剤は妊娠中も継続可能ですが、個別評価が必要です。産科と連携して安全にサポートします。
関連ページ(院内リソース)
クローン病:外部エビデンスまとめ
診断(内視鏡・MRE/CTE・カルプロテクチン)/治療(生物学的製剤・JAK阻害薬・栄養療法)/Treat-to-Target・TDM・ワクチン/感染対策の実務ポイント。
📘 総論・診療指針
- ECCO/ACG/JSIBD など主要ガイドライン(診断〜治療、手術・妊娠・感染対策)
- STRIDE II(Treat-to-Target:症状+客観的炎症指標+粘膜治癒)
🧪 診断・評価
- 大腸内視鏡+回腸末端生検、MRE/CTEでの小腸評価
- 便中カルプロテクチン・CRPで活動性をモニタリング
- カプセル内視鏡は狭窄除外後に(パテンシーカプセル)
💊 治療・長期管理
- 生物学的製剤/分子標的薬・JAK阻害薬、イムノモジュレーターの位置付け
- TDMによる用量最適化、術後再燃予防、肛門病変の集学的治療
- ワクチン/結核・肝炎スクリーニングと感染対策
👨⚕️ 医師からのコメント・監修(クローン病・連携型)
「クローン病は正確な病勢評価と早期の最適治療が鍵です。内視鏡・MREは連携医療機関で迅速に行い、当院は感染スクリーニング・治療設計・ワクチン計画・TDMまで伴走します。
禁煙とTreat-to-Target(粘膜治癒の可視化)で、長期予後の改善を目指します。」
0th CLINICは“診断精度と増悪予防”連携型で、必要な検査/治療を最短でつなぎます。
監修:黒田 揮志夫 医師(プライマリケア認定医/病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
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