タムスロシン(ハルナール®)|前立腺肥大症による排尿障害の治療薬
タムスロシン(ハルナール®)
前立腺肥大症に伴う排尿障害(尿の勢い低下・途切れる・残尿感・夜間頻尿など)を改善する
選択的α1受容体遮断薬です。
効果の出方・副作用・飲み方・注意点を、0th CLINICがわかりやすくまとめました。
適応
前立腺肥大症に伴う排尿障害
作用
前立腺・尿道平滑筋の緊張を和らげ、尿道抵抗を低下
用法(日本)
0.2mg 1日1回(通常夕食後〜就寝前/医師指示に従う)
よくある副作用
立ちくらみ・めまい・倦怠感・逆行性射精 など
このような症状でお困りの方に
- 尿の勢いが弱い・出始めに時間がかかる・途中で途切れる
- 排尿後もスッキリしない(残尿感)/トイレが近い・夜間に何度も起きる
- 前立腺肥大症と診断され、まず内服で改善を図りたい
※急性尿閉や肉眼的血尿+凝血塊などは、速やかな受診が必要です。
作用機序:選択的α1遮断で尿道抵抗を下げる
タムスロシンは、前立腺・膀胱頸部・尿道のα1A受容体に選択的に作用し、平滑筋の緊張を緩めます。
その結果、尿道の抵抗が低下し、排尿がスムーズになります。前立腺のサイズそのものを縮小する薬ではないため、
必要に応じて5α還元酵素阻害薬(例:デュタステリド)との併用で中長期の改善を図る場合があります。
効果の出方と評価の目安
- 内服数日〜1〜2週間で自覚症状の改善を感じることが多い
- IPSS(国際前立腺症状スコア)や残尿量を定期的にチェック
- 夜間頻尿が強い場合:生活習慣・睡眠・合併症(心・腎)も合わせて評価
飲み方・注意
- 通常、0.2mgを1日1回内服(夕食後〜就寝前など、医師の指示に従ってください)
- 途中で自己判断の中止・増減はしない(めまい・血圧変動のリスク)
- 初回・増量時は立ちくらみに注意し、急に立ち上がらない・飲酒は控えめに
※海外情報では0.4mg製剤が一般的な地域もありますが、日本では0.2mg規格が基本です。
副作用・リスク
- 立ちくらみ・めまい・ふらつき(起立性低血圧)
- 逆行性射精・射精障害、軽い倦怠感・頭痛・むくみ など
- まれに:動悸・息切れ・発疹/重い症状は内服を中止してご連絡ください
眼科手術(白内障/緑内障)予定のある方は、IFIS(術中虹彩緊張低下)への配慮が必要です。必ず眼科・泌尿器科双方へ事前申告を。
併用注意・禁忌(例)
血圧関連
降圧薬・PDE5阻害薬(ED薬)との併用で過度の血圧低下に注意。開始・タイミングは医師と相談。
代謝
CYP3A4阻害/誘導薬で血中濃度が変動する可能性。サプリ含め併用薬を申告。
基礎疾患
重い肝・腎疾患、起立性低血圧の既往、眼科手術予定などは事前に必ず相談。
他のお薬との役割分担(要点)
- シロドシン/ナフトピジル:同系統(α遮断薬)。副作用プロファイルや症状特性で使い分け。
- デュタステリド:前立腺体積の縮小に寄与(効果発現は数か月)。タムスロシンと併用で短中期の両輪。
- タダラフィル5mg:ED合併、または日中の尿意切迫などに併用を検討。
※個別最適の選択は診察と検査(残尿量・体積・血圧など)で決めます。
よくある質問
- Q. どれくらいで効きますか?
- A. 早い方で数日、多くは1〜2週間で体感が出ます。評価はIPSSや残尿量で行います。
- Q. 逆行性射精は元に戻りますか?
- A. 薬剤性の場合は中止・切替で改善することが多いです。気になる方はご相談ください。
- Q. ED治療薬と併用できますか?
- A. 併用自体は可能なケースもありますが、血圧低下に注意が必要です。服用タイミング・開始量は医師と調整します。
- Q. 尿路結石の“排石促進”にも使いますか?
- A. 小さめの遠位尿管結石で自然排石を促す目的に用いることがあります(適応・可否は診察で判断)。
【保険診療】本薬は医師の診察・適応判断のもと保険診療で処方されます。価格は薬価や調剤料等により異なります。
【安全性】ここに記載の用法・副作用は一般的な情報であり、自己判断での服用・中止・変更はしないでください。必ず診察・検査に基づき医師が個別にご説明します。