コラム
洗濯洗剤・柔軟剤で肌が荒れる?原因と対処|皮膚科医が教える“衣類ルーティン”
洗濯洗剤・柔軟剤で肌が荒れる?
原因(Why)と対処(How)を皮膚科がやさしく解説
「顔や首、背中に細かいブツブツ」「タオルを替えるとヒリヒリ」——。洗濯の“やり方”や“選び方”で、
肌負担は大きく変わります。ここでは、残留成分・香料・柔軟剤・素材の4視点から原因を分解し、今日からできる実践手順をまとめました。
※診療や薬のご相談は 皮膚科 へ。
要点まとめ(30秒)
- 柔軟剤は“顔まわり(枕カバー/フェイスタオル/マスク/運動インナー)には原則使わない”。
- 洗剤は無香料・着色料フリー・適正量が基本。すすぎは2回+必要に応じて1回追加。
- 部屋干しは“洗いと脱水”を強化。抗菌頼みより速乾環境を整える。
- ぶつぶつが均一で痒み強め→接触皮膚炎/毛包炎の可能性。皮膚科で鑑別を。
Why:なぜ洗剤・柔軟剤で肌が荒れるの?
1) 残留成分(界面活性剤/酵素/蛍光増白など)
すすぎ不足・濃度過多・節水モードで、成分が繊維に残りやすくなります。汗や皮脂で再溶出して刺激となり、 赤み・チクチク・ニキビ様のぶつぶつを誘発します。
2) 香料
香料は接触皮膚炎の原因になり得ます。無香料/低刺激を選ぶだけで症状が軽くなる例は少なくありません。
3) 柔軟剤(カチオン界面活性剤)
柔軟成分は繊維に意図的に残す設計です。顔周りや汗をかく衣類では、 毛穴閉塞・刺激・吸湿性低下に繋がることがあります。
4) 繊維とフィット感
合成繊維や密着ウェアは汗・摩擦・熱がこもりやすく、 マラセチア毛包炎や“にきび様皮疹”を助長します。
Point:「何を使うか」よりも「どう洗って、どこに使わないか」の設計で大半は改善します。
How:今日からの“正しい洗い方”チェックリスト
洗剤の選び方
- 無香料・着色料フリー・中性〜弱アルカリの液体を基本に。
- 酵素配合は皮脂汚れに有効。ただし適正量厳守(多すぎは残留)。
- スポーツウェア/機能性インナーは柔軟剤なし(吸汗拡散低下)。
量・コース・すすぎ
- 計量スプーン必須。“多いほどよく落ちる”は誤り。
- 節水/時短コースは避け、標準~ためすすぎコースを選択。
- 基本2回すすぎ。肌荒れが続く時は+1回。柔軟剤を使う日も追加推奨。
柔軟剤の使い分け
- 使わない:枕カバー・フェイスタオル・マスク・運動インナー
- 使う場合は半量にし、別洗いで。香り強め製品は避ける。
干し方・部屋干し対策
- “洗い”と長めの脱水、干す前のはたき出しで繊維を立てる。
- 風+除湿(サーキュレーター/除湿機)で2–3時間以内に乾燥域へ。
- 生乾き臭は“抗菌剤”より乾燥スピードの見直しが近道。
素材選び
- 枕カバー:綿 or 竹繊維系の低摩擦素材。週2–3回交換。
- 運動インナー:吸汗速乾+柔軟剤なし。洗濯ネットで型崩れ対策。
- タオル:パイルの毛羽落ち少ないもの。柔軟重ねがけはNG。
セルフ鑑別:それ、にきび?それとも接触皮膚炎?
にきび寄りのサイン
- 白/黒の面皰が混在、中心に角栓
- 摩擦部(顎ライン/頬/背中)で反復
- 時間帯で増減(汗・運動後に悪化)
接触皮膚炎寄りのサイン
- 均一な赤い小丘疹が面で出る/痒み強め
- 新しい洗剤/柔軟剤・香りを変えた直後から悪化
- タオル/枕の接触部に一致
迷ったら:皮膚科で鑑別を。必要に応じ外用調整、
生活導線・洗濯設計を一緒に見直します。
1週間プラン:寝具・タオル・衣類の交換頻度
毎日
- フェイスタオル(朝/夜)
- 運動インナー/マスク
2–3日に1回
- 枕カバー(柔軟剤なし)
- ハンカチ/フェイスマスク用カバー
週1回
- シーツ/パジャマ
- 洗濯槽クリーナー(月1)
よくある質問(抜粋)
- Q. 粉末と液体、どちらが肌にやさしい?
- A. どちらも適正量とすすぎが大切。溶け残りが心配なら液体が無難です。
- Q. オシャレ着洗いは弱すぎて皮脂が残りませんか?
- A. 汗の強い日は標準洗い、デリケート素材のみオシャレ着洗いを併用しましょう。
- Q. 洗濯ボールや香り付けビーズは?
- A. 香料増量につながるため、肌荒れ中は控えめが安全です。
監修
黒田 揮志夫 医師(病理専門医/皮膚病理医)|0th CLINIC 日本橋 院長