バレット食道(Barrett’s esophagus)|“前がん病変を見逃さない”監視と治療|日本橋の消化器内科 0th CLINIC

バレット食道(Barrett’s esophagus)|“前がん病変を見逃さない”監視と治療|日本橋の消化器内科 0th CLINIC

バレット食道(Barrett’s esophagus)|“前がん病変”を見逃さない監視と治療

バレット食道は慢性的な逆流に伴い、食道粘膜が円柱上皮化(腸上皮化生)した状態で、食道腺がんの前がん病変です。
当院ではリスク評価 → 内視鏡(Prague分類・Seattle生検) → 病理の異形成判定 → 酸抑制・監視 → 異形成への内視鏡治療まで一貫管理します。

当院で診察・薬物治療を行いつつ、内視鏡治療(EMR/RFA等)・外科治療が必要な場合は、消化器内視鏡/外科の連携病院に迅速紹介します。

概要(バレット食道の要点)

  • 定義:食道下部の扁平上皮が円柱上皮(腸上皮化生)に置換。
  • 背景:慢性GERD、食道裂孔ヘルニア、肥満、喫煙、男性、高齢、家族歴など。
  • 意義異形成の段階(なし/不確定/低異形成/高異形成)を踏まえ、監視と適切な介入で食道腺がんリスクを低減。

受診/救急の目安(Red Flags)

  • 嚥下障害・食物がつかえる、進行する胸痛
  • 体重減少、貧血/黒色便、吐血・下血
  • 繰り返す嘔吐、発熱を伴う強い胸痛

赤旗があれば早期に上部内視鏡をご検討ください。急激/重篤な場合は救急受診を。

リスクとスクリーニング

  • 主なリスク:慢性GERD(5年以上)、男性、50歳以上、肥満(腹囲)、喫煙、白人、人種/家族歴。
  • スクリーニングの目安ハイリスクの慢性GERD患者は一度は内視鏡を検討(連携施設で施行)。
  • 再スクリーニング:初回で陰性なら、症状やリスクに応じ医師と相談。

評価・検査(Prague/Seattle/病理)

  • 内視鏡NBI/拡大で病変を観察し、Prague C&Mで範囲を記載、裂孔ヘルニアや目立つ病変の有無を確認。
  • 生検Seattleプロトコル(4分割生検を1–2 cm間隔+狙撃生検)。可視病変は優先してEMRで切除/診断。
  • 病理非異形成/不確定(indefinite)/低異形成(LGD)/高異形成(HGD)専門家(GI病理)で二重読影を推奨。
  • 追加検査:EET前に必要に応じEUS/CTで深達度・リンパ節評価。酸暴露評価はGERD難治時に検討。

病型・重症度(目安)

病型ポイント基本方針
非異形成(NDBE) がん化リスクは低いがゼロではない 酸抑制(PPI/PCAB)、ガイドライン準拠の監視内視鏡
異形成不確定 炎症/逆流で過大評価のことあり 酸最適化後に再生検(6–12か月目安)
低異形成(LGD) 専門家で確認(セカンドオピニオン) 内視鏡的根治療法(EET)推奨を検討(RFA±EMR)
高異形成(HGD)/粘膜内がん(T1a) 進展リスク高い EETが第一選択(可視病変はEMR/ESD→残存はRFA/冷凍等)
T1b 以深/リンパ節疑い 外科/集学的治療の検討 食道切除/CRTなど専門治療へ

治療(酸抑制・EET・外科の“合わせ技”)

  • 酸抑制:PPI/PCABで逆流制御(びらん性食道炎の治療、EET後の再発抑制にも)。
  • 生活:減量、遅い夕食回避、頭側挙上、喫煙/飲酒の見直し、脂質過多の是正。
  • EET(内視鏡的根治療法)可視病変はEMR/ESDで局所切除し、平坦病変はRFA/冷凍療法で粘膜全体を根治(CE-D/CE-IMを目標)。
  • 外科:大きな裂孔ヘルニアや逆流制御が困難な場合に噴門形成術を検討(EETの補完)。
  • 術後/治療後再生上皮の監視と逆流コントロールを継続(再発は早期発見・再治療)。

監視スケジュールの目安(個別化します)

状況補足
非異形成(短〜中等度長) 3–5年ごと Prague長・リスクで調整
非異形成(長セグメント) より短い間隔 施設/ガイドラインに準拠
異形成不確定 6–12か月で再評価 酸最適化後に再生検
LGD/HGDにEET施行後 短期密な監視 ガイドライン既定の間隔で再発チェック

よくある質問

誰がスクリーニング(内視鏡)を受けるべきですか?
慢性GERDに複数のリスク因子(男性・50歳以上・肥満・喫煙・家族歴など)があれば内視鏡を検討します。
異形成がなければ治療は必要ありませんか?
多くは酸抑制+監視内視鏡で経過をみます。異形成が確認されたらEETを検討します。
EET(EMR/RFAなど)の後は再発しますか?
再発の可能性はあり、定期監視が重要です。再発しても多くは内視鏡で再治療可能です。
PPIは長期で大丈夫?
必要性と用量を定期的に見直し、最小有効量で継続します。心配事は診察でご相談ください。

バレット食道:外部エビデンスまとめ

学会ガイドライン・主要ジャーナルから、診断(Prague/Seattle)/監視/内視鏡的根治療法(EET)の一次情報を厳選しました。

📘 総論・枠組み

🔍 診断(Prague/Seattle/病理)

🗓 監視・薬物(酸抑制)

💡 内視鏡的根治療法(EET)

※ 各リンクは学会・主要ジャーナル・公的機関の一次情報です。Prague/Seattleに沿う標準化と病理の二重読影異形成にはEET優先治療後は監視継続を基本とし、最新ガイドライン本文のアルゴリズムに準拠して個別化してください。

👨‍⚕️ 医師からのコメント・監修(バレット食道:Barrett’s esophagus)

バレット食道(Barrett’s esophagus)|“前がん病変を見逃さない”監視と治療|日本橋の消化器内科 0th CLINIC
バレット食道食道腺がんの前がん病変で、診断と 標準化された生検病理二重読影ガイドライン準拠の監視が生命線です。 内視鏡ではPrague C&Mで範囲を記録し、Seattleプロトコルで 系統的に生検します。可視病変はEMR/ESDで切除してから、 残存の平坦病変にRFAや冷凍療法を組み合わせ、完全根治(CE-IM)を目指します。

基本は酸抑制(PPI/PCAB)で炎症を鎮め、逆流対策の生活指導を徹底します。 低/高異形成(LGD/HGD)T1aではEETが第一選択で、 裂孔ヘルニアが目立つ逆流制御が困難な場合は噴門形成術も併用を検討します。 治療後は再発監視を継続し、早期再治療で良好な長期成績を目指します。」

0th CLINICではリスク評価・薬物最適化に加え、提携施設での 上部内視鏡(NBI/拡大)EMR/ESD・RFAEUS/CTを手配。 Prague・Seattle準拠のレポート病理セカンドオピニオンまで含めて、 監視・内視鏡治療・外科適応を消化器チームでご提案します。

監修:黒田 揮志夫 医師(プライマリケア認定医/病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上

関連コラム

    ただいま準備中です。少々お待ちください。