嚥下障害・食道通過障害(Dysphagia)|“つかえる・のみ込みにくい”を原因から解決|日本橋の消化器内科 0th CLINIC
嚥下障害・食道通過障害(Dysphagia)|“つかえる・のみ込みにくい”を原因から解決
嚥下障害は口腔・咽頭(嚥下の開始の問題)と食道(通過の問題)に大別されます。
当院では症状から病型を推定 → 内視鏡・造影・内圧検査で確定 → 拡張術/薬物/嚥下リハ・栄養まで、一貫して最適化します。
当院で初期評価・薬物治療を行い、必要に応じて内視鏡拡張術・POEM/外科・嚥下リハ(耳鼻咽喉科/リハ科)へ速やかに連携します。
概要(嚥下障害の要点)
- 咽頭期(口腔・咽頭):むせ・誤嚥・飲みはじめの詰まり。脳血管疾患・神経筋疾患・加齢・頸部術後など。
- 食道期:胸の“つかえ”・固形物優位/液体も・胸骨後部の停滞感。機械的狭窄と運動障害に大別。
- 代表原因:逆流性狭窄、好酸球性食道炎(EoE)、Schatzki輪、アカラシア/食道運動障害、薬剤性/放射線性狭窄、腫瘍、感染性(免疫不全)。
救急の目安(Red Flags)
- 唾液すら飲み込めない(完全閉塞・食物栓塞)
- 進行する嚥下障害+体重減少/貧血(腫瘍疑い)
- 呼吸困難・反復誤嚥性肺炎、激痛を伴う嚥下困難
- ボタン電池・鋭利物の誤飲
緊急内視鏡の適応となることがあります。迷わずご相談ください。
主な病型と“見分け方(要点)”
病型 | 臨床のヒント | 初期対応の例 |
---|---|---|
機械的狭窄 (逆流性狭窄・Schatzki輪・術後/放射線性・腫瘍) | 固形物から徐々に悪化、局在が明確。体重減少あれば腫瘍疑い | 上部内視鏡で診断・拡張(ブジー/バルーン)、PPI/PCAB、腫瘍は専門治療へ |
好酸球性食道炎(EoE) | 若年〜中年、食物アレルギー歴、反復フードボーラス閉塞 | 内視鏡生検で確定、PPIまたは嚥下用ステロイド、必要時拡張、食事療法 |
アカラシア/食道運動障害 | 固形・液体とも。夜間逆流・体重減少。内視鏡異常に乏しい | 食道高解像度内圧検査(HRM)で診断。POEM/ヘラー筋切開/拡張術/ボツリヌス等を適応で |
薬剤性/感染性食道炎 | ビスホス/テトラサイクリン/カリウムなど後の痛み。免疫抑制で真菌/ウイルス | 原因薬中止・PPI、カンジダは抗真菌、HSV/CMVは抗ウイルス |
咽頭期(口腔・咽頭) | 飲みはじめのむせ・鼻咽腔逆流・声がれ。神経筋疾患の合併 | 嚥下内視鏡(FEES)/VFSSと嚥下リハ・栄養支援、誤嚥対策 |
評価・検査(段階的アプローチ)
- 問診:固形 vs 液体、発症様式(進行性/間欠)、胸骨後部の停滞部位、体重減少・貧血、薬剤歴。
- 上部内視鏡(第一選択):狭窄/炎症/輪状狭窄/腫瘍の評価と生検、必要に応じ拡張。
- バリウム造影(食道造影):狭窄の長さ・形状、アカラシアの鳥嘴像、穿孔リスク時の前置。
- 食道内圧検査(HRM):アカラシア(Chicago v4.0)や食道運動障害の確定診断。
- 嚥下機能検査:VFSS(嚥下造影)やFEESで誤嚥評価(咽頭期疑い)。
- 付加検査:胸部CT(腫瘍/外圧)、pH-imp(逆流関与)、血液検査(好酸球・貧血)。
治療(拡張術/薬物/POEM・リハの“合わせ技”)
- 機械的狭窄:内視鏡的拡張(ブジー/バルーン)+PPI/PCABで再狭窄抑制。難治は局注ステロイド/切開やステントも検討。
- EoE:PPI、嚥下用ステロイド(ブデソニド/フルチカゾン)、除去食。狭窄には安全に拡張。
- アカラシア:POEM・ヘラー筋切開+噴門形成・気圧拡張術から適応選択。内科的には硝酸薬/CCB/ボツリヌス注も。
- 薬剤性/感染性:原因薬の中止・服薬法是正、抗真菌/抗ウイルス、PPI。
- 咽頭期:嚥下リハ(姿勢・代償嚥下・嚥下筋訓練)と食形態調整、誤嚥対策、栄養サポート。
- 腫瘍・外圧:腫瘍内科/外科・放射線科と集学的に(ステント・バイパス・化学放射線)。
フォロー・専門紹介の目安(個別化します)
状況 | タイミング | 主なチェック |
---|---|---|
急性フードボーラス閉塞・拡張後 | 48–72時間〜1週 | 疼痛・出血・穿孔兆候、再発予防(PPI/EoE治療/食事指導) |
EoE/逆流性狭窄の治療開始後 | 2–8週 | 症状・アドヒアランス、副作用、再評価の要否 |
アカラシア治療(POEM/拡張等)後 | 1–3か月 | 症状(Eckardtスコア)、逆流合併、必要時pH検査 |
咽頭期の誤嚥対策 | 継続 | 嚥下安全性・体重・肺炎予防、食形態の調整 |
よくある質問
固形物だけがつかえるのですが?
機械的狭窄(逆流性狭窄・輪状狭窄・腫瘍など)が示唆されます。まず上部内視鏡での評価をお勧めします。
液体も飲みにくいのですが?
運動障害(アカラシア等)が疑われます。内視鏡で器質病変を除外後、食道内圧検査で確定します。
拡張術は痛い?再発しますか?
鎮静下に安全に行います。逆流性狭窄はPPI併用で再発を抑制できます。EoEは薬物と併用が有効です。
むせやすく誤嚥が心配です
咽頭期の可能性があります。VFSS/FEESで評価し、嚥下リハと食形態調整で安全性を高めます。
関連ページ(院内リソース)
嚥下障害・食道通過障害:外部エビデンスまとめ
学会ガイドライン・主要ジャーナルから、診断(内視鏡/造影/内圧/嚥下機能)/治療(拡張・薬物・POEM/外科)の一次情報を厳選しました。
📘 総論・枠組み
- 【ASGE】嚥下障害の評価と内視鏡の役割:Gastrointest Endosc Practice Guideline
- 【ACG】食道生理検査の臨床応用ガイドライン(HRM/機能評価):Am J Gastroenterol 2020
- 【Chicago v4.0】食道運動障害の診断基準:Neurogastroenterol Motil 2021
🧩 病態別(EoE・アカラシア・狭窄)
- 【EoE】診断と管理のアップデート(PPI・トピカルステロイド・食事療法・拡張):AGA/ACG CPU・Guidelines
- 【アカラシア】診断と治療(POEM/ヘラー筋切開/気圧拡張):ACG Clinical Guideline 2020
- 【良性狭窄】内視鏡的拡張・再発抑制:国際/各学会の実践指針
- 【食物栓塞/異物】緊急内視鏡の適応と手技:ASGE/ESGE ガイドライン
🗣 嚥下機能評価(咽頭期)
- 【VFSS/FEES】誤嚥評価と嚥下リハの実践(耳鼻咽喉科・リハ科の標準)
※ 赤旗所見は内視鏡を前倒し、機能性疑いはHRMと嚥下機能検査を組み合わせ、 狭窄には拡張+原因治療、アカラシアにはPOEM等を適応に応じて選択してください。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修(嚥下障害・食道通過障害)

「嚥下障害の要は、“咽頭期か食道期か、機械的狭窄か運動障害か”の仕分けです。 唾液も飲めない・誤飲・体重減少/貧血は赤旗で、迅速に内視鏡等を手配します。 食道期が疑わしければまず内視鏡で器質病変と狭窄を評価し、必要時にその場で拡張します。 異常が乏しく固形・液体とも飲みにくい場合は食道内圧検査(HRM)で アカラシア/運動障害を同定します。
好酸球性食道炎は見逃されやすく、生検が鍵です。PPIや嚥下用ステロイド、 食事療法で炎症を抑え、必要に応じ拡張も安全に行います。 逆流性狭窄は拡張後のPPI併用で再発を減らせます。 アカラシアにはPOEM/ヘラー筋切開/拡張術など複数の選択肢があり、解剖と希望に応じて選びます。 咽頭期はVFSS/FEESで誤嚥を評価し、嚥下リハと栄養管理を並行します。」
0th CLINICでは初期問診・内視鏡に加え、提携施設での 食道造影・食道内圧検査(HRM)・VFSS/FEES・CTを手配。 結果に基づき拡張術+原因治療、PPI/嚥下用ステロイド/除去食、 POEM/外科や嚥下リハまで、消化器チームで包括的にご提案します。
監修:黒田 揮志夫 医師(プライマリケア認定医/病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
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