好酸球性食道炎(EoE)|“食物がつかえる・胸の違和感”を根本から治す|日本橋の消化器内科 0th CLINIC
好酸球性食道炎(EoE)|“食物がつかえる・胸の違和感”を根本から治す
EoEは食道に好酸球が集積する慢性炎症で、食物がつかえる(フードボーラス)や嚥下困難の原因になります。
当院は内視鏡生検で診断 → 炎症の鎮静化(PPI/嚥下用ステロイド/除去食) → 狭窄には拡張まで、再発予防まで見据えて一貫管理します。
当院で診察・薬物/食事療法を実施し、必要に応じて内視鏡的拡張術、アレルギー評価、生物学的製剤、外科/耳鼻科・リハ科と連携します。
概要(EoEの要点)
- 定義:食道症状(つかえ/嚥下困難/胸痛など)+食道生検で好酸球浸潤(通常 ≥15eos/hpf)。
- 背景:食物抗原・環境因子とバリア機能/免疫反応の関与。アレルギー疾患(喘息/鼻炎/アトピー)を合併しやすい。
- 病態進行:炎症(浮腫/縦走溝/白色苔)→線維化・狭窄(口径減少)へ移行しやすい。早期治療と維持が重要。
救急の目安(Red Flags)
- 唾液も飲めないフードボーラス閉塞(完全閉塞)
- 吐下血・著しい胸痛(穿孔・重度炎症の懸念)
- 体重減少・貧血(他疾患合併の評価が必要)
フードボーラスは緊急内視鏡の適応になる場合があります。迷わずご相談ください。
症状と“見分け方(臨床のヒント)”
特徴 | 臨床のヒント | 鑑別/対応 |
---|---|---|
食物がつかえる(固形物優位) | ゆっくり食べる/よく噛む習慣、流し込み。若年〜中年男性に多い | EoE、逆流性狭窄、Schatzki輪。内視鏡+生検で確定 |
フードボーラス閉塞 | 突然の嚥下不能/胸骨後部痛 | 緊急内視鏡で解除。根本にEoE/狭窄が潜むことが多い |
胸痛/胸の違和感 | 心疾患鑑別後に食道由来を評価 | EoE/GERD/食道運動障害などを鑑別 |
評価・検査(内視鏡/生検/ER-EFS)
- 上部内視鏡:ER-EFSスコア(縦走溝・白色苔・浮腫・輪状狭窄・狭窄)で所見を定量化。可視狭窄の口径も評価。
- 生検(必須):遠位・中部・近位から複数箇所(目安6標本)を採取。≥15eos/hpfで診断に合致(他原因の除外も重要)。
- 鑑別の除外:カンジダ/HSV/CMV、薬剤性、好酸球性胃腸炎、重度GERDなど。
- 補助検査:バリウム造影(長節性狭窄・口径評価)、必要に応じアレルギー評価(皮膚/特異IgE)。
治療(PPI・嚥下用ステロイド・除去食・拡張の“合わせ技”)
- PPI:初期治療の基本。炎症を鎮静し狭窄再発を抑制。
- 嚥下用ステロイド:ブデソニド懸濁(粘稠化)やフルチカゾン噴霧の嚥下で局所投与。
- 除去食:2-FED(乳/小麦)→4/6-FEDへ段階的など、管理栄養士と計画。
- 内視鏡的拡張:線維化狭窄に有効(段階的に少しずつ)。炎症治療と併用で持続効果を高める。
- 生物学的製剤:適応条件を満たす難治例で検討(例:デュピルマブ等)。
- 維持療法:寛解後も最低有効量で継続し再発を予防。自己中断は再燃の原因。
フォロー/再評価の目安(個別化します)
局面 | 時期の目安 | 主なチェック |
---|---|---|
導入治療後(PPI/ステロイド/除去食) | 8–12週 | 症状改善、必要時に内視鏡/生検で組織学的寛解の確認 |
狭窄で拡張施行 | 1–4週 | 胸痛/出血/穿孔兆候、嚥下状態、追加拡張の要否 |
寛解維持期 | 6–12か月ごと | 再燃サイン、栄養状態、治療アドヒアランス |
よくある質問
GERD(逆流性食道炎)と何が違いますか?
EoEは好酸球性炎症が主体で、生検で診断します。治療はPPIに加え嚥下用ステロイドや除去食を組み合わせます。
除去食はどこまでやる必要がありますか?
まずは負担の少ない2食品から開始し、反応に応じて4/6食品へ段階的に調整します。栄養士と計画します。
拡張は危険ではありませんか?
段階的に少しずつ行い、合併症は稀です。炎症の鎮静化と併用すると再発を抑えられます。
薬は一生必要ですか?
再発傾向があるため維持療法が勧められます。最小有効量へ調整しながら継続します。
関連ページ(院内リソース)
好酸球性食道炎:外部エビデンスまとめ
学会ガイドライン・主要ジャーナルから、診断(生検/スコア)/治療(PPI・嚥下用ステロイド・除去食・拡張)/維持療法の一次情報を厳選しました。
📘 総論・ガイドライン
- 【ACG】好酸球性食道炎の診断と管理:Am J Gastroenterol(最新版ガイドライン)
- 【AGA/AAAAI/ACAAI】診療アップデート(薬物・食事療法・拡張の位置づけ)
- 【小児/成人】年齢別の特徴と管理:主要レビュー
🔍 診断(生検/ER-EFS)
- 【生検基準】多部位からの採取・≥15eos/hpfを目安に他疾患除外
- 【ER-EFS】縦走溝・白色苔・浮腫・輪状/狭窄の内視鏡スコア化とフォローでの活用
💊 治療(PPI・嚥下用ステロイド・除去食・拡張)
- 【PPI】導入・維持での有効性
- 【嚥下用ステロイド】ブデソニド/フルチカゾンの寛解導入と維持
- 【除去食】2→4→6食品の段階的戦略と栄養管理
- 【拡張】線維化狭窄に対する段階的拡張と安全性
- 【生物学的製剤】難治例への適応(デュピルマブ等)
※ 上記は学会推奨の骨子です。診断は内視鏡生検が必須で、炎症の寛解+狭窄の是正+維持療法を組み合わせ、個々のアレルギー背景・生活に合わせて治療を最適化します。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修(好酸球性食道炎:EoE)

「好酸球性食道炎(EoE)は、食道に限局した好酸球性炎症が持続し、 やがて線維化・狭窄に至ることで“つかえ”を繰り返す疾患です。
診断の要は内視鏡生検で、遠位〜近位から複数採取します。内視鏡では 縦走溝・白色苔・浮腫・輪状・狭窄をER-EFSで定量化し、治療前後の比較に使います。
治療はPPI・嚥下用ステロイド・除去食の“三本柱”で炎症を鎮め、 線維化狭窄には段階的な拡張を安全に組み合わせます。難治例では 生物学的製剤も選択肢です。寛解後も維持療法と定期フォローで再発を防ぎます。」
0th CLINICでは診断内視鏡・生検に加え、提携施設での拡張術や 栄養士による除去食サポート、アレルギー評価までコーディネート。 PPI/嚥下用ステロイドの最適化、段階的除去食、拡張+維持療法を 患者さんのライフスタイルに合わせてご提案します。
監修:黒田 揮志夫 医師(プライマリケア認定医/病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
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