デュロキセチン(SNRI)|慢性疼痛+気分症状の“統合ケア”に

デュロキセチン(SNRI)|慢性疼痛+気分症状の“統合ケア”に|日本橋の0th CLINIC

デュロキセチン(SNRI)

デュロキセチンは、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と呼ばれるタイプの薬です。
うつ病・不安症の治療薬として知られていますが、慢性腰痛・神経障害性疼痛などの慢性疼痛に対して、
「痛み」と「気分」の双方にアプローチする薬としても用いられます。
「痛みでつらくて気分が落ち込む」「不安や緊張でさらに痛みが増す」といった悪循環を、まとめて整えていく統合ケアの一つの選択肢です。

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主な使いどころ(統合ケアのイメージ)

  • 慢性腰痛・首肩の慢性痛
    筋・靭帯・椎間関節などを背景とした慢性腰痛・頚部痛で、「画像は大きな異常がないのに痛みが続く」ケースに用いられることがあります。
  • 神経障害性疼痛
    糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛など、しびれ・焼けるような痛みを伴う神経障害性疼痛に対して、選択肢の一つとなります。
  • 慢性疼痛+不安・抑うつが併存しているケース
    痛みと同時に気分の落ち込み・不安・意欲低下・不眠が目立つ場合、
    「痛みだけ」「こころだけ」と切り分けるのではなく、全体をならしていく目的で使用されることがあります。
  • うつ病・不安症に伴う痛み
    うつ病や不安症の一部として、頭痛・筋肉痛・胃の不快感など身体症状が前面に出ている方にも用いられます。

どのように効く薬?|脳の「痛みフィルター」を調整

デュロキセチンは、セロトニンとノルアドレナリンという二つの神経伝達物質の働きを高めることで、
脳の「痛みをどう感じるか」を調整すると考えられています。

  • 脳の中の「下行性疼痛抑制系」を助け、痛み信号を過剰に受け取りすぎないようにする
  • 不安・抑うつに関わる神経回路にも働きかけ、気分の波を整える
  • その結果として、痛み・気分・睡眠が少しずつ良い方向に動きやすくなる

いわゆる「鎮痛薬」や「精神安定剤」ではなく、神経のバランスを“ベースから整える”タイプの薬の一つです。

用法・用量の目安(※実際は個別調整)

成人では、1日 20〜40 mg 程度から開始し、1日最大 60 mgを目安に、症状と副作用を見ながら調整することが多いです。
1日1回または2回に分けて内服し、食後に服用することが一般的です(胃腸症状軽減のため)。

効果の立ち上がりには数週間〜1〜2か月程度かかることもあり、「効かないから」と自己判断で増量するのは危険です。
具体的な用量・増量スケジュールは、年齢・体格・肝腎機能・併用薬・基礎疾患などを踏まえて、担当医が個別に設計します。

主な副作用と注意すべきポイント

  • 吐き気・食欲低下
    飲み始め〜増量時に吐き気・むかつき・食欲の低下を感じることがあります。多くは徐々に落ち着きますが、強い場合は用量調整が必要です。
  • 眠気・不眠・頭痛
    眠気として出る方、不眠側に傾く方がおり、体質による差があります。頭痛・めまい感が目立つ場合もあります。
  • 発汗・動悸・血圧変動
    のぼせ・多汗・動悸などが出ることがあり、高血圧・心疾患がある方では慎重な観察が必要です。
  • 肝機能への影響
    まれに肝機能障害が報告されており、肝疾患のある方・アルコール多飲の方では、採血で経過を見ることがあります。
  • シビレ・落ち着かなさ・気分変動
    まれにソワソワして落ち着かない感じや、気分の波が一時的に強くなることがあります。
  • セロトニン症候群(まれだが重篤)
    他のセロトニン作動薬(SSRI・SNRI・トリプタン・トラマドールなど)との併用で、発熱・振戦・筋硬直・意識障害などが出ることがあります。

「なんとなく合わない」「生活に支障がある副作用が続く」と感じた場合は、自己判断で中断せず、まずはご相談ください。

他の薬との飲み合わせ・中止時の注意

  • 他の抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬との併用
    併用されることも多い組み合わせですが、眠気・ふらつき・転倒リスクが増えるため、処方の全体像を一つの医療機関で把握しておくことが大切です。
  • セロトニンに作用する薬との併用
    SSRI・他のSNRI・MAOI・トリプタン系片頭痛薬・トラマドールなどとの併用では、セロトニン症候群に注意します。
  • ワルファリンなど一部の薬との相互作用
    出血傾向などに影響する可能性があるため、抗凝固薬・抗血小板薬を服用中の方は必ずお申し出ください。
  • 急な中止は避ける
    急にやめると、めまい・しびれ感・眠気・不眠・気分の不安定さなどの“離脱症状”が出ることがあります。
    基本的には少しずつ減らしていく「漸減」が必要ですので、終了を考える際も担当医と相談してください。

よくある質問

Q. 「抗うつ薬」と聞くと抵抗があります…。痛みだけでも使うのでしょうか?
A. デュロキセチンはもともと抗うつ薬として開発された薬ですが、現在は慢性疼痛に対する薬としても広く使われています。
「こころの病気だから飲む薬」というより、「痛みと気分の悪循環を同時に整える薬」と考えていただくとイメージしやすいかもしれません。
Q. 飲み始めてどのくらいで効果を感じますか?
A. 個人差はありますが、数週間〜1〜2か月かけて少しずつ変化を見ていく薬です。
頭痛日記・痛みスケール・睡眠の記録などをつけると、効果が見えやすくなります。
Q. 一度飲み始めると、一生やめられなくなりませんか?
A. 目的は「一生飲み続けること」ではなく、「痛みと気分の悪循環を一度リセットすること」です。
症状が安定してきたら、生活習慣・リハビリ・ストレッチ・睡眠ケアも整えつつ、減量・終了を一緒に検討していきます。
Q. 市販薬やサプリとの飲み合わせで気をつけることはありますか?
A. セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)など一部のサプリは、抗うつ薬との相互作用が問題になることがあります。
市販の睡眠改善薬・風邪薬などにも、眠気やセロトニンに関わる成分が含まれる場合があるため、自己判断での追加は避け、薬剤師・医師にご相談ください。

関連する疾患・症状・薬

費用の目安

保険診療:診察内容・検査の有無・他の薬の処方状況により自己負担額が変わります(初診料・再診料・検査料などを含む)。
デュロキセチンは、適応疾患に対して保険適用内で処方されます。詳しくは診察時にご説明します。

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持ち物:お薬手帳・常用薬リスト、これまでの検査結果(画像・採血など)、痛みや気分の変化が分かるメモ(あれば)
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注意・免責

  • 本ページは一般向けの解説であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
  • 用量・投与間隔・使用期間は、年齢・体重・肝腎機能・心血管リスク・他の薬・症状の内容などにより大きく変わります。
  • 自己判断での増量・急な中止は、離脱症状や気分の不安定化につながることがあります。必ず担当医と相談のうえで調整してください。
  • 自殺念慮・強い不安・衝動性の高まりなどを感じた場合は、すぐに医療機関や相談窓口へご連絡ください。

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