皮膚生検検査
🧪 皮膚生検検査について
皮膚生検は、皮膚の一部を小さく切り取って顕微鏡で調べる検査です。
病変の原因や性質(良性・悪性)、炎症や免疫反応の有無などを詳しく調べるために行います。
ダーモスコピーや視診では診断が確定できないケースで、確定診断を得るための最終的かつ重要な検査となります。
■ 皮膚生検でわかること
- ✅ 悪性腫瘍(皮膚がん)かどうかの確定診断
- ✅ 慢性皮膚炎や自己免疫疾患(例:乾癬、皮膚エリテマトーデス)の病理像
- ✅ 難治性の湿疹・皮疹の鑑別
- ✅ 薬疹、血管炎などの特殊な炎症性疾患の確認
- ✅ 色素性病変(母斑・青あざなど)の評価
■ こんな方におすすめです
- ● 病変の診断がつかず長期間改善しない皮膚症状がある方
- ● 見た目や経過から悪性が疑われる皮膚病変がある方
- ● 専門的な確定診断を希望される方
- ● 皮膚疾患に対して適切な治療法を選びたい方
🔍 皮膚生検は診断精度を高め、適切な治療につなげるための重要な検査です。
組織採取は局所麻酔を使用して行い、数分で完了します。ご不安な点があれば、医師にご相談ください。
🧪 皮膚生検はどのように行われますか?(検査の流れ)
皮膚生検(ひふせいけん)とは、皮膚の一部を局所麻酔下で採取し、顕微鏡で調べる検査です。
正確な診断のために重要であり、皮膚がんの有無や炎症・自己免疫疾患の評価に役立ちます。

① 問診・検査の説明
医師が気になる病変を視診し、皮膚生検の目的・方法・リスクについて丁寧にご説明します。

② 局所麻酔
病変の周囲に局所麻酔を注射します。痛みは数秒程度で、処置中はほとんど感じません。

③ 検体採取
皮膚の一部を数ミリ程度切除し、病理検査用に提出します。傷は小さく、処置は10分ほどで終了します。

④ 止血・処置
止血後、傷口に軟膏と保護パッドを貼付します。必要に応じて縫合することもあります。

⑤ 結果説明と今後の治療方針
1〜2週間後、病理検査の結果を医師から丁寧にご説明します。
必要に応じて追加治療をご提案します。
💡 皮膚生検は確定診断と適切な治療のために非常に重要な検査です。
傷は小さく、痛みも最小限。検査の必要があるかどうか、まずは医師とご相談ください。
🧪 皮膚生検の検体はどこへ行く?
〜標本作製から診断までの流れ〜
皮膚生検とは、皮膚の一部を採取し、顕微鏡で詳細に観察する検査です。
では、採取された検体はどのように処理され、診断に活かされるのでしょうか?
ここでは、皮膚生検の検体処理と病理診断までの流れをご紹介します。
■ 生検から診断までの流れ
- ① 生検(検体採取)
局所麻酔下で皮膚の一部を2〜5mm程度採取します。
検体は速やかにホルマリン液に固定されます。 - ② 固定・標本作製(院内 or 外部ラボ)
固定された検体は、パラフィン包埋 → 薄切 → 染色といった工程を経て、顕微鏡で観察できる標本になります。 - ③ 病理専門医による診断
組織像を顕微鏡で観察し、炎症・腫瘍・感染・自己免疫疾患などの病変の有無を詳細に判定します。 - ④ 結果報告書の作成・返送
病理医が記載した診断書が数日〜1週間程度でクリニックに返送されます。 - ⑤ 診察時に結果をご説明
医師より、病理診断の内容や今後の治療方針をご説明します。
必要に応じて追加治療や再検査を行います。
🔍 検体は医療機関と連携する信頼性の高い病理診断センターにて厳格に処理され、
結果は5〜10日程度で判明します。緊急性が高い場合は迅速対応も可能です。
■ 検体管理とプライバシーへの配慮
- ✅ 検体にはバーコードや番号管理を使用し、氏名での識別は避けています。
- ✅ 検体は密封容器で適切に輸送・保管されます。
- ✅ 標本は一定期間保管後、医療廃棄物として適切に処理されます。
皮膚生検は正確な診断のための重要なステップです。
「本当に生検が必要?」と迷う方も、まずは医師にお気軽にご相談ください。
💡 よくあるご質問(皮膚生検編)
Q. 皮膚生検って痛いですか?
生検の際は局所麻酔を使用するため、処置中の痛みはほとんどありません。
麻酔注射時に軽いチクッとした痛みがありますが、ごく一時的です。
Q. 処置後に傷跡は残りますか?
生検は直径数mmの小さな処置ですが、瘢痕(あと)が残る可能性はゼロではありません。
できるだけ目立たない場所や、自然に治る深さを医師が選びます。
Q. 結果が出るまでどのくらいかかりますか?
通常、病理検査の結果は5〜10日程度で判明します。
状況により、お急ぎの対応も可能ですので事前にご相談ください。
Q. 生検後のお風呂や運動はできますか?
処置当日はシャワーのみ可、湯船への入浴や激しい運動は翌日以降にしてください。
医師から個別に指示がある場合はそれに従ってください。
Q. 縫った場合、抜糸は必要ですか?
はい、縫合した場合は通常5〜7日後に抜糸を行います。
抜糸不要のテープ固定などを使用する場合もありますので、処置時にご説明します。
Q. 悪性の可能性があると言われて不安です…
医師は万が一に備えて慎重に診断を行っており、確定診断のために生検を行うことがあります。
必ずしも悪性という意味ではありませんので、安心して検査をお受けください。
📚 参考文献とエビデンス
〜皮膚生検に関する情報〜
皮膚生検に関連する信頼性の高い文献・診療ガイドライン・教育資料をまとめました。
国内の学会資料から海外の専門機関サイト、エビデンスベースの情報まで幅広く参照いただけます。
- 日本皮膚科学会|公式サイト
- 日本皮膚科学会|皮膚科診療ガイドライン一覧
- 日本皮膚科学会Q&A|皮膚生検について
- 皮膚軟部組織感染症の初期対応(日本救急医学会)
- 東邦大学医療センター|病理診断の流れ
- 健栄製薬|皮膚生検の基礎知識
- American Academy of Dermatology(AAD)|Biopsy Guidelines
- DermNet NZ|Skin Biopsy Overview
- StatPearls|Skin Biopsy Techniques(NCBI)
- Medscape|Skin Biopsy Procedures
- MSD Manual(医師向け)|皮膚生検の種類と適応
- PubMed|皮膚生検に関する論文検索
- UpToDate|皮膚生検に関する臨床解説(要ログイン)
- Mindsガイドラインセンター|日本の診療ガイドライン集
👨⚕️ 医師からのコメント・監修

「皮膚生検は、見た目だけでは判断が難しい皮膚疾患を“確定診断”するための非常に重要な手段です。
小さな傷で済む検査ですが、病気の正体を見極めるためには欠かせません。
悪性を早期に見つけるだけでなく、必要な治療と不要な治療を分けるための“羅針盤”にもなります。」
私は病理診断の現場で、毎日多くの皮膚検体を顕微鏡で観察しています。
見た目が似ていても、細胞の性質や構造によって診断や治療方針は大きく変わることがあります。
だからこそ、確かな検査と診断を通じて、患者さんにとって最善の医療を提供することが重要だと考えています。
気になる皮膚の変化があれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
0th CLINIC 日本橋 院長
日本病理学会認定 病理専門医/皮膚科診断および救急診療歴10年以上
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