食道がんサーベイランス(高リスク監視)|“早期発見・前がん治療”を確実に|日本橋の消化器内科 0th CLINIC
食道がんサーベイランス(高リスク監視)|“早期発見・前がん治療”を確実に
食道がんは扁平上皮がん(ESCC)と腺がん(EAC)に大別されます。
当院ではリスク層別化 → NBI/拡大・ルゴール染色 → 生検/EMR → 病期評価(EUS/CT)の流れで、早期発見と適切介入を徹底します。
当院で監視・薬物最適化を行い、ESD/EMR・EUS/CT・化学放射線/手術が必要な場合は連携病院(消化器内視鏡/外科/腫瘍内科)へ迅速紹介します。
概要(サーベイランスの要点)
- 目的:無症候の前がん病変〜表在癌を拾い上げ、低侵襲治療で完治を目指す。
- 方法:NBI/拡大内視鏡で微細血管像を観察し、ルゴール染色で扁平上皮のヨード不染域を探索。必要に応じ生検/EMR。
- 対象:飲酒・喫煙などの生活習慣リスク、頭頸部がん既往、アカラシア、腐食性食道炎後、放射線照射後、バレット食道(腺がんリスク)など。
対象(誰を監視する?)
| 高リスク背景 | 主なリスク | 監視のポイント |
|---|---|---|
| 飲酒・喫煙の重複 | 扁平上皮がんの主要因 | NBI/拡大+必要に応じルゴール。口腔〜下咽頭の観察も意識 |
| 頭頸部がん既往 | “フィールドがん化”による二次原発 | 診断時/治療後の定期内視鏡(上部消化管) |
| アカラシア | 食物貯留・慢性炎症 | 食道洗浄後にNBI/ルゴール。治療後も長期監視 |
| 腐食性食道炎・放射線後 | 長期で発がんリスク | 瘢痕/狭窄部の丁寧な観察・狙撃生検 |
| バレット食道 | 腺がんの前がん病変 | 当院の専用ページに準拠(Prague/Seattle/EET) |
| 表在食道癌治療後(ESD/EMR・CRT・手術) | 局所再発・異時性病変 | 治療法に応じた短期〜中期の密な監視 |
救急・精査の目安(Red Flags)
- 進行する嚥下障害(固形→液体へ)/ 食事時の胸部痛
- 体重減少・食欲低下、貧血/黒色便、吐下血
- 遷延する胸やけ/胸部違和感+リスク背景
赤旗があれば早期に上部内視鏡と必要な画像検査(CT等)を行います。
評価・検査(NBI/ルゴール/EUS/CT)
- 上部内視鏡:NBI/拡大で血管異常(IPCL)を確認、ルゴール染色で不染域を抽出し、生検/EMRへ。
- 内視鏡的切除:可視病変はEMR/ESDで診断・治療を兼ねる。
- 病期評価:深達度不確実例にEUS、リンパ節・遠隔評価に造影CT(±PET)。
- 化学放射線・術後の評価:狭窄や瘢痕も含めて定期に内視鏡+CT。
シナリオ別:監視間隔の例(施設方針・個別因子で調整)
| シナリオ | 例 | 補足 |
|---|---|---|
| 頭頸部がん既往 | 年1回を目安 | 診断時/治療後のベースライン内視鏡を推奨 |
| 飲酒・喫煙の重複(高リスク) | 1–2年ごと | NBI/拡大+必要時ルゴール |
| アカラシア | 1–3年ごと | 治療(POEM/拡張)後も長期で |
| 腐食性/放射線性食道炎後 | 年1回前後 | 瘢痕帯の丁寧な観察・生検 |
| 表在ESCCのESD/EMR後(根治切除) | 6–12か月ごと | 局所再発・異時性病変・咽喉頭も確認 |
| 化学放射線療法(CRT)後 | 3–6か月で密に→安定後は延長 | 瘢痕/狭窄の進行や再発を評価 |
| バレット食道 | 異形成・長さに応じ設定 | 当院基準に準拠 |
見つかった場合の治療(表在癌/進行癌の“適所適治”)
- 表在扁平上皮がん:深達度が上皮内〜粘膜下浅層の適応ではESD/EMRを第一選択。
- 腺がん(バレット関連):可視病変はEMR/ESD、残存にRFA/冷凍などEETを組み合わせ。
- 進行例:手術、化学放射線、周術期/二次治療を腫瘍内科・外科と連携し個別化。
- 治療後:再発・二次原発の早期発見のため監視継続(内視鏡+画像)。
よくある質問
内視鏡は毎回ルゴール染色が必要?
NBI/拡大で十分に観察できる場合は省略することもあります。病変疑い部位や高リスク背景では補助的に用います。
どのくらいの間隔で受ければいい?
リスク・既往・前回所見で個別化します。上の「シナリオ別」目安をご参照のうえ、診察で具体化します。
見つかった場合、必ず手術ですか?
表在癌の多くは内視鏡治療(ESD/EMR)で根治可能です。深達度やリンパ節リスクに応じて外科・化学放射線を選びます。
鎮静は可能?安全性は?
鎮静下で安全に施行します。心肺疾患や頸部手術歴がある場合は事前評価のうえ対応します。
関連ページ(院内リソース)
食道がんサーベイランス:外部エビデンスまとめ
学会ガイドライン・主要ジャーナルから、高リスク群の同定/内視鏡技術(NBI/ルゴール)/表在癌の内視鏡治療/治療後フォローの一次情報を厳選しました。
📘 総論・枠組み
- 【JES】食道癌診断・治療ガイドライン(日本食道学会):Japan Esophageal Society
- 【ESGE】高リスク集団に対する食道扁平上皮がんスクリーニング/監視:ESGE Position/Guidelines
- 【NCCN】Esophageal and EGJ Cancers:NCCN Guidelines
🔬 技術(NBI/ルゴール/拡大観察・内視鏡切除)
🧪 バレット食道(腺がんリスク)
- 【ACG】バレット食道の診断・管理・サーベイランス:Am J Gastroenterol 2022
- 【EET】EMR/ESD+RFA/冷凍の根治戦略:Gastroenterology(レビュー/CPU)
※ サーベイランスはリスク背景・前回所見・治療歴で調整します。NBI/拡大を基本に、必要時ルゴール染色を併用。 表在癌はEMR/ESD優先、治療後は内視鏡+画像で再発・二次原発の早期発見を目指してください。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修(食道がんサーベイランス)
「食道がんサーベイランスの鍵は、“誰を・どう観るか”の設計です。 飲酒・喫煙や頭頸部がん既往、アカラシア、腐食性/放射線後、 バレット食道などは重点的に監視します。
観察はNBI/拡大内視鏡を基本に、必要に応じルゴール染色を併用。 疑わしい部位は狙撃生検、可視病変はEMR/ESDで診断と治療を兼ねます。 進行が疑われればEUS/CT(±PET)で病期を評価し、手術・化学放射線を 適切なタイミングで選択します。
治療後は局所再発だけでなく、異時性の新規病変(とくに頭頸部領域や残食道)に注意して 監視を継続します。患者さんの背景と前回の所見に合わせて間隔を個別化することが、過不足ない追跡に直結します。」
0th CLINICではリスク層別化・鎮静下内視鏡(NBI/拡大・ルゴール)に加え、 提携施設でのEMR/ESD・EUS/CT(±PET)を迅速に手配。 結果に基づき内視鏡治療から外科/化学放射線まで、 消化器チームで最適なプランをご提案します。
監修:黒田 揮志夫 医師(プライマリケア認定医/病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
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