慢性便秘症|“過剰検査を避けつつ、症状に効く”連携型アプローチ
慢性便秘症|“過剰検査を避けつつ、症状に効く”連携型アプローチ
当院には内視鏡設備はありません。内視鏡や特殊検査(アノレクトルーマノメトリー/バルーン排出試験・大腸通過時間(Sitzマーカー等)・排便造影 等)は連携医療機関で実施し、
当院は適応判断・紹介手配・結果の丁寧なご説明、食事/生活/薬物療法、骨盤底リハ(バイオフィードバック)まで一貫管理します。
血便/黒色便・体重減少・貧血・持続する腹痛・発熱などの警告徴候(Red Flags)がある場合は、有機疾患の除外を優先(連携先で検査)。
検査は連携先で実施/当院が紹介状作成・手配・結果説明・治療設計・フォローまで伴走
LINEで24時間受付 ※内視鏡・特殊検査は連携先で実施します
概要(慢性便秘症の要点)
- 定義:排便回数の減少・硬便・過度ないきみ・残便感・排便困難が慢性的に続く状態。通過遅延・排出障害(骨盤底機能障害)・正常通過などに分類。
- 鑑別:IBS-C(腹痛が主体)との区別、薬剤性(抗コリン薬・Ca拮抗薬・鉄剤・オピオイド等)や器質疾患の除外。
- 基本姿勢:不要な検査を避けつつRed Flagsは除外し、食事・生活・薬物・骨盤底リハを組み合わせて症状とQOL改善を目指します。
受診/精査の目安(Red Flags)
- 血便/黒色便・体重減少・貧血・持続する/進行する腹痛・発熱
- 50歳以上の新規発症、家族歴(大腸がん/炎症性腸疾患)、長期の便秘悪化
- 便が細い・触知腫瘤・重度の便秘と嘔吐(腸閉塞疑い)
警告徴候があれば連携先での内視鏡・画像を優先します。
便秘の表現型(Rome分類+実臨床)
- 正常通過便秘(NTC):便は硬い/いきみが強いが通過時間は概ね正常。
- 通過遅延便秘(STC):大腸通過が遅いタイプ(若年女性に多い)。
- 排出障害(骨盤底機能障害):いきみ・残便感・細い便。アノレクトルーマノメトリー/バルーン排出試験で評価。
- IBS-C:腹痛/腹部不快が便との関連で改善/増悪する場合はIBS-Cを考慮。
- 二次性便秘:薬剤性・内分泌(甲状腺機能低下)・神経/代謝・オピオイド誘発性便秘(OIC)など。
評価・検査(当院/連携先の役割)
- 当院で実施:詳細問診(食事・水分・活動度・薬剤)と身体診察(必要時直腸診)、Bristol便性状スケール、基本採血(貧血/甲状腺など選択)、Rome基準に基づく病型判定、食事/生活指導の初期介入、薬物治療の選択、骨盤底リハの手配。
- 連携先で実施:大腸内視鏡(Red Flagsまたは年代でのスクリーニング)、アノレクトルーマノメトリー/バルーン排出試験(排出障害疑い)、大腸通過時間評価(Sitzマーカー/シンチ/WMC)、排便造影(必要時)。
- 最小限検査の原則:治療方針に影響する検査を優先し、過剰検査を避けます。
治療(食事・生活・薬物・リハの“合わせ技”)
- 食事/生活:可溶性食物繊維(例:サイリウム)の漸増、十分な水分、適度な運動、排便姿勢(フットスツール)、起床後/食後のトイレ習慣。
- 薬物:浸透圧性下剤(PEG/乳糖/マグネシウム製剤)、刺激性下剤(ビサコジル/センナを頓用中心に)、分泌型(ルビプロストン、リナクロチド)、胆汁酸トランスポーター阻害(エロビキシバット)、5-HT4作動薬(プルカロプライド)。OICにはPAMORA(ナルデメジン等)を検討。
- 骨盤底リハ:バイオフィードバック療法(排出障害の第一選択)。
- 難治例:通過遅延が重度でリハ・薬剤抵抗性の場合、高次医療(経肛門洗腸・まれに外科)を連携先と検討。
- 再評価:3–8週で反応性を確認し、強化/減量や別機序薬への切替を行います。
連携フロー(当院が窓口となり伴走します)
- ① 初診評価:病型推定・Red Flags確認・最小限検査・初期治療の開始
- ② 紹介手配:必要な内視鏡/特殊検査(ARマノメトリー・排出試験・通過時間)を優先度順に調整
- ③ 結果統合(当院):検査結果の解説と治療計画の最適化(食事/生活/薬物/リハ)
- ④ フォロー:症状・副作用・QOL指標をトラッキング、必要に応じ再紹介
よくある質問
食物繊維はどのくらいが目安?
急増は膨満/ガスの原因になります。可溶性繊維を少量から段階的に増やし、水分摂取も並行しましょう。
刺激性下剤は“クセになる”の?
医師の管理下で適切な用量/頻度なら依存の懸念は大きくありません。長期連用時は電解質や症状を確認しながら調整します。
便秘と腹痛がセットで起きます
腹痛が排便と関連して増減する場合はIBS-Cを考慮し、治療選択(神経調整薬・食事)が変わることがあります。
骨盤底リハ(バイオフィードバック)は何をする?
肛門直腸の力の入れ方/抜き方をセンサーで可視化し、排出時の協調運動をトレーニングします。排出障害には第一選択です。
関連ページ(詳しい解説はこちら)
慢性便秘症:外部エビデンスまとめ
Rome基準、便秘表現型(NTC/STC/排出障害)、IBS-Cとの違い、骨盤底リハと薬物療法の位置付け。
📘 総論・枠組み
- Rome Foundation:便秘の診断・管理とDGBIの考え方
- 多面的介入(食事/生活/薬物/骨盤底リハ)+段階的再評価
🧪 推奨ガイドライン(例)
- 慢性特発性便秘(CIC)の薬物療法(AGA/ACG)
- 排出障害に対するバイオフィードバック(AGA Clinical Practice Update)
- IBS-Cの管理(ACG/BSG)
👨⚕️ 医師からのコメント・監修(慢性便秘症/連携型)

「慢性便秘症は通過遅延・排出障害・IBS-Cなど表現型で対処が変わります。 過剰な検査に偏らず、食事/生活・適切な薬物・骨盤底リハを組み合わせることで、多くの方で症状とQOLが改善します。
当院は適応判断・紹介手配・結果説明に加え、可溶性繊維・分泌型/5-HT4作動薬・バイオフィードバックまで、連携体制で一貫して伴走します。」
0th CLINICは“過剰検査を避けつつ、症状に効く”連携型で、最短距離の改善を目指します。
監修:黒田 揮志夫 医師(プライマリケア認定医/病理専門医/皮膚病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/総合診療・救急科での診療歴10年以上
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