コラム

妊娠希望~妊娠糖尿病:前倒しで整える検査・食事・薬の考え方

妊娠希望~妊娠糖尿病:前倒しで整える検査・食事・薬の考え方|0th CLINIC 日本橋

妊娠希望~妊娠糖尿病:
前倒しで整える「検査・食事・薬」の考え方

目的:来院前の不安を“段取り”で解消。妊活~妊娠初期こそ「HbA1cや血糖目標」「OGTT/自己血糖の時期」「安全な薬の選び方」「食事と運動の最小努力セット」を前倒しで整えましょう。
日本橋駅すぐ/東京駅・茅場町・人形町からもアクセス良好

1. このコラムの対象

  • 妊娠を希望される方(糖尿病の既往なし/前糖尿病/2型糖尿病既往を含む)
  • 妊娠初期に血糖が気になる方、前回妊娠で妊娠糖尿病(GDM)といわれた方
  • GLP-1等で減量中→妊活に切り替えるタイミングを知りたい方

2. 妊活期~妊娠初期:血糖・HbA1cの目標

国際的指針では、妊娠中の血糖目標として空腹時 70–95 mg/dL、食後は1時間 <140 mg/dLまたは2時間 <120 mg/dLが推奨されています。妊活の段階では、可能ならHbA1c 6.5%未満を目標に前倒しで調整します(低血糖リスクとバランスを取る)。

※出典:ADA/ACOG/NICEの推奨値。個別状況で調整します。(参考:ADA Standards 2024–2025、ACOG・NICEの公開情報)

3. 前倒しで整える検査(HbA1c/自己血糖/OGTT/関連)

基本セット(妊活時)

  • HbA1c(過去1–2か月の平均像)
  • 自己血糖(起床時/食後1–2時間)— 妊娠成立後は頻度を増やします
  • 尿アルブミン・eGFR(腎機能)/眼底検査(網膜症)
  • 口腔内評価(歯周病)— 妊娠中の血糖悪化リスクと関連

OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)

妊娠24–28週でのスクリーニングが一般的ですが、ハイリスク例では早期実施を検討します(前回GDM、肥満、家族歴など)。施設の方針に応じて実施時期が異なる場合があります。

妊娠糖尿病(GDM)の詳しい解説前糖尿病(境界型)のページ糖尿病網膜症糖尿病腎症

4. 食事と運動:今日からできる“最小努力セット”

  • 食べる順番:野菜→主菜→主食(“ベジファースト”で食後高血糖を緩和)
  • 主食の量とタイミング:夜は控えめ/間食は低GI・たんぱく質を活用
  • 食後10分歩行×1–2回(合計20分目安):食後高血糖を抑えやすい
  • 飲料:清涼飲料は避け、無糖の水・お茶を基本に
  • 葉酸:妊活~妊娠初期は推奨量の摂取を(市販サプリでも可)

5. 薬の考え方:インスリンを中心に/妊娠時に避ける薬

妊娠中の薬物療法はインスリンが第一選択です。2型糖尿病で内服中の方は、妊活段階でインスリンへ切り替える計画を立てます(個別判断)。

  • インスリン:基礎+追加(ボーラス)を状況に応じて設計。
    参考:グラルギンデグルデクリスプロ など
  • GLP-1受容体作動薬(例:オゼンピック/リベルサス/マンジャロ等)は妊娠中は原則避けるため、妊活に切り替える場合は事前に中止計画を立てます。
  • SGLT2阻害薬なども妊娠中は避けます。

※安全性・適応は指針に準拠し、個別に評価します。

6. 見落としやすいリスク

  • 眼底:妊娠中は網膜症が進行しうるため、妊活~初期に一度評価
  • 腎機能:尿アルブミン・eGFRの確認
  • 歯周病:血糖コントロール悪化と相互に影響、歯周病と糖尿病 も参照
  • 既往GDM:次回妊娠でも再発リスクが上がるため、早期から介入

7. 初診~出産後までの通院フロー(当院の進め方)

  1. 初診:問診(妊活状況・既往・家族歴)+HbA1c・腎機能・尿Alb・眼底依頼
  2. 妊活サポート:自己血糖の目標設定、食事・運動の実装、必要時インスリン設計
  3. 妊娠判明後:目標値での運用(空腹時70–95 mg/dL、食後1h<140 / 2h<120)と低血糖対策
  4. 中期(24–28週):OGTT(施設方針に準拠)
  5. 後期~出産:分娩計画を産科と連携、血糖管理と合併症フォロー
  6. 産後:授乳・育児中の食事/運動、将来の糖尿病発症予防(産後OGTTなど)

医師が適応・安全性を確認のうえ、日本橋・東京駅・茅場町エリアの連携施設とも協力して進めます。

LINEで予約・相談

8. よくある質問(FAQ)

Q1. 妊活に切り替えるとき、GLP-1はいつ止める?

A. 妊娠中は原則使用を避けるため、妊活に入る前に中止計画を立てます。切り替え時は体重・血糖の再上昇に備え、食事・運動・インスリン設計を前倒しで調整します。

Q2. 妊娠が判明したら、血糖の目標は?

A. 一般に空腹時70–95 mg/dL、食後1時間<140 mg/dL または2時間<120 mg/dLの範囲を目安にします(個別に調整)。

Q3. インスリン注射が不安です。

A. 量は少ない針で、自己注射手技は診察で丁寧にお伝えします。低血糖対策・自己測定のコツも併せて指導します。

Q4. どの検査から始めれば良い?

A. HbA1c+自己血糖から始め、腎機能・尿アルブミン・眼底・歯周の評価を加えます。OGTTは妊娠中期(24–28週)に実施が一般的です。

👨‍⚕️ 医師監修

黒田 揮志夫(Kishio Kuroda, MD, PhD)|0th CLINIC 日本橋 院長(病理学/総合診療)

更新日:2025-09-20|所在地:中央区日本橋(日本橋駅/東京駅/茅場町/人形町)

コラム一覧に戻る