淋菌(淋病)|症状・検査・治療・パートナー対応
淋菌(淋病)|症状・検査・治療・パートナー対応
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)は、尿道・子宮頸部だけでなく咽頭(のど)や直腸にも感染します。
多くは無症状で進行するため、症状の有無に関わらず適切な検査と治療、パートナー対応が大切です。
症状(部位別)
男性
- 尿道炎:排尿時痛、尿道口の膿性分泌物、頻尿感
- 咽頭感染:のどの違和感、咽頭痛(無症状も多い)
- 直腸感染:肛門痛、出血、分泌物、下痢
- 合併症:精巣上体炎、前立腺炎、播種性淋菌感染症(稀)
女性
- 子宮頸管炎:帯下増加、不正出血、性交痛(無症状も多い)
- 尿道炎:排尿時痛、頻尿
- 咽頭・直腸感染:不快感、分泌物(無症状も多い)
- 合併症:骨盤内炎症性疾患(PID)、不妊リスク上昇、播種性淋菌感染症(稀)
※ 無症状でも他者にうつす可能性があります。心当たりがあれば検査をご相談ください。
検査:どの検体を出す?(NAATが基本)
状況 | 推奨検体・方法 | 補足 |
---|---|---|
尿道炎・頸管炎が疑わしい | 尿(男性)/ 腟・頸管スワブ(女性)のNAAT | クラミジアと同時検査が一般的(同一検体で可能) |
オーラルセックスの既往 | 咽頭スワブのNAAT | 咽頭は無症状が多いため、曝露に応じて検査 |
肛門性交の既往 | 直腸スワブのNAAT | 症状が乏しくても検査対象 |
治療効果判定や耐性疑い | 培養検査(感受性試験) | 症状遷延や再陽性時は培養で耐性確認を検討 |
検査タイミング(ウィンドウ期の目安)
- 症状がある:すぐに検査(陰性でも症状が続けば再検)
- 無症状・曝露のみ:まず検査し、必要に応じて1〜2週間で再検
※ 詳細は診察時にご案内します。のど/直腸の検査は申告がないと省略されることがあります。
治療の考え方(一般論)
基本方針
- 標準治療は注射抗菌薬(例:セフトリアキソン)を基本に設計
- 同時にクラミジア合併の可能性を考慮(必要時は別途対応)
- パートナー同時治療と性行為の一時中止で再感染を予防
治療後のチェック
- 咽頭感染:治療後7〜14日で再検(TOC)を推奨
- 尿道/頸管/直腸の単純感染:通常はTOC不要(症状再燃時は再診)
- 3か月後の再検査(再感染チェック)をおすすめ
パートナー対応と生活上の注意
- 直近60日以内に性的接触のあった方は検査と治療の対象です。
- 治療後は7日間の禁欲(咽頭感染はTOC陰性まで)。パートナーも治療完了後まで性行為は控えましょう。
- コンドームの適切な使用、定期的な検査で再感染を予防します。
予防・再発予防
- コンドームの使用(口・陰部・肛門すべての性行為)
- 不特定多数との接触がある場合は定期スクリーニング(咽頭/直腸を含む)
- 他のSTI(梅毒・HIVなど)も同時にチェック
受診の流れ・プライバシー
- 問診(症状・曝露歴・希望検査部位の確認)
- 検体採取(尿/咽頭スワブ/直腸スワブなど)
- 結果説明と治療(必要時)
- パートナーへの案内と再検スケジュールの設定
よくある質問(Q&A)
Q. いつ検査すれば当たりますか?
A. 症状があればすぐに検査、無症状でもまず検査し、必要に応じて1〜2週間後に再検します。
Q. 咽頭や直腸の検査も必要?
A. 口や肛門での接触があれば、無症状でも検査対象です。
Q. 治療後いつから性行為再開OK?
A. 原則7日後に。咽頭感染は再検(TOC)陰性を確認してからを推奨します。
Q. パートナーはどうすべき?
A. 直近60日のパートナーは検査・治療が必要です(無症状でも)。
Q. 再感染を避けるには?
A. コンドームの使用と、3か月後の再検査をおすすめします。
Q. 耐性が心配です
A. 症状遷延や再陽性時は培養と感受性試験を検討します。医師にご相談ください。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修

「泌尿器の疾患は、生活の質と密接に関わる重要な分野です。
0th CLINICでは、プライバシーを尊重したうえで、テストステロン補充療法など最先端の医療を提供しています。」
当院では、男性特有のお悩みやデリケートな疾患にも、患者さまに寄り添った診療と説明を徹底しています。
性機能、排尿症状、加齢による変化など、お一人で抱えずお気軽にご相談ください。
0th CLINIC
・日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医
・日本抗加齢医学会専門医
・テストステロン治療認定医
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📊 日本における淋菌感染症の最新動向
淋菌感染症(淋病)は、クラミジアに次いで報告数が多い性感染症です。特に20代〜30代の性活動の活発な層で多く見られ、クラミジアとの同時感染も少なくありません。
排尿時の痛みや分泌物といった症状が現れることもありますが、男女ともに無症状で進行するケースも存在し、注意が必要です。
■ 年代別淋菌感染者数(男女合計・2022年)
年代 | 報告数(件) | 特徴 |
---|---|---|
15〜19歳 | 約1,800件 | 女性が多く、クラミジアとの合併例も多い |
20〜24歳 | 約4,500件 | 男女ともにピーク、クラミジア合併が頻発 |
25〜29歳 | 約3,800件 | 男性の報告が多め |
30〜39歳 | 約2,500件 | パートナー経由・再感染の傾向あり |
■ 男女別の傾向と注意点
- ● 女性:10〜20代前半が多く、クラミジアとの合併感染リスクが高い。咽頭感染にも注意。
- ● 男性:20〜30代が中心。排尿時痛や膿が出たら、すぐ受診を。
📈 詳細な統計データは厚生労働省の公式ページでも確認できます。
▶
厚生労働省「性感染症報告数(最新統計)」はこちら
■ 淋菌感染症の標準的な治療法
薬剤名 | 用法 | メリット | 注意点 | 適応例 |
---|---|---|---|---|
セフトリアキソン | 500mg筋注(または1g静注)を1回 | 効果が高く、第一選択薬 | 一部に耐性菌が報告あり | 性器感染・軽症例 |
セフトリアキソン(耐性菌 or 咽頭感染) | 1g静注を1週間ごとに3回(計3回投与) | 咽頭感染や再発例に対しても有効 | 通院継続が必要、治療後の再検査推奨 | 咽頭淋菌、難治性・再感染例 |
■ 治療中の注意点
- ✅ 治療後少なくとも1週間は性行為を避ける必要があります。
- ✅ パートナーも同時に治療しないと再感染(ピンポン感染)のリスクがあります。
- ✅ 咽頭感染は無症状でも残存しやすく、再検査が重要です。
- ✅ 治療後は約3週間後に再検査(PCR)を行うのが一般的です。
💡 淋菌感染症は適切な抗菌薬で完治が可能ですが、耐性菌や咽頭感染など再発しやすいケースもあります。
症状の有無にかかわらず、医師の指示に従い、再検査までしっかり対応することが大切です。
🛡️ 淋病(淋菌感染症)の予防と予防的治療について
淋病は感染力が高く、クラミジアと同様に無症状で進行することがある性感染症です。
感染を防ぐためには日常的な予防策と、感染の可能性があるときの早期対応が非常に重要です。
■ 日常生活でできる淋病の予防法
- ✅ コンドームの正しい使用(オーラル・アナルセックス含む)
- ✅ 複数のパートナーを持つ場合は定期的な検査
- ✅ 感染の可能性がある性行為後は、できるだけ早く検査
- ✅ パートナーが感染していた場合は、必ず同時に治療
■ パートナーが陽性だったときの「予防的治療」
パートナーが淋病と診断された場合、自身に症状がなくても感染している可能性が高くなります。
医師の判断で検査前に予防的な治療(エンピリック治療)が行われることがあります。
- ● セフトリアキソン筋注(500mgまたは1g)による単回治療が主流
- ● クラミジア合併が疑われる場合は、アジスロマイシン併用が行われることも
- ● パートナーと同時治療しなければ再感染(ピンポン感染)の恐れあり
■ Doxy-PEP・Doxy-PrEPについて
- ● Doxy-PEP(ドキシペップ):性行為後72時間以内にドキシサイクリンを服用し、性感染症の発症を予防
- ● Doxy-PrEP(ドキシプレップ):日常的に抗菌薬を服用して感染リスクを下げる予防戦略
- ● 一部の研究で、淋病・クラミジア・梅毒に対する予防効果が報告されていますが、耐性菌リスクにも注意が必要です。
⚠️ 当院では、Doxy-PEP・Doxy-PrEPは推奨しておりません。
理由は、耐性淋菌の増加リスクや、長期的な抗菌薬使用による副作用の懸念があるためです。
性感染症の予防には、コンドームの着用、定期的な検査、誠実なパートナーシップが今でも最も確実な方法です。
💡 感染リスクは誰にでもあります。正しい知識と冷静な行動で、あなたと大切な人を守りましょう。
気になることがあれば、いつでもご相談ください。
こんな方はご相談ください
- パートナーが性病と診断された
- 思い当たる行為があって不安
- 尿道の違和感、かゆみ、おりものの変化
- 咽頭の違和感や発熱、性器にできものがある
- 検査だけしたい、定期的にチェックしたい
- 陰部、口周り、肛門周囲にできもの、発疹
- 不特定多数との性交渉後
- 海外渡航前後でのチェックをしたい
検査の流れ
性病検査の流れを見る📚 淋菌感染症(淋病)に関する信頼できる外部情報
淋菌感染症について詳しく知りたい方のために、公的機関が提供する参考リンクをまとめました。
- 🔗 厚生労働省|性感染症に関する情報ページ(淋菌含む)
- 🔗 国立感染症研究所|淋菌感染症(淋病)の基礎知識
- 🔗 国立国際医療研究センター(エイズ治療・研究開発センター)|淋病
- 🔗 CDC(米国疾病予防管理センター)|Gonorrhea Fact Sheet (英語)
🔍 上記リンクはすべて公的な機関が提供する情報です。
ご自身やパートナーの健康管理にぜひお役立てください。
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