プロバンサイン(プロパンテリン臭化物)
💦 ラピフォートワイプとは(基本情報)

▲ プロバンサイン錠(多汗症治療に使用される抗コリン薬)
プロバンサイン(一般名:プロパンテリン臭化物)は、全身の多汗症状に用いられる内服抗コリン薬です。
汗の分泌をコントロールするために交感神経に作用し、手掌・足底・顔面などの局所多汗にも適応されます。
項目 | 内容 |
---|---|
一般名 | プロパンテリン臭化物 |
剤形 | 内服錠剤 |
適応症 | 多汗症(保険外適応)/消化性潰瘍、胃酸過多 |
保険適用 | 〇 |
特徴 |
ムスカリン受容体を遮断し、 汗腺への神経刺激を抑制。内服により広範囲の発汗を抑えることが可能。 |
通常は食前または食後に1日2~3回服用されます。
顔面や手足の多汗など広範囲の発汗に対応しますが、口渇・便秘・眠気などの副作用には注意が必要です。
💡 プロバンサインの効果と作用機序
プロバンサイン(成分名:プロパンテリン臭化物)は、交感神経系に作用する内服型の抗コリン薬です。
全身性の多汗症(手足・顔・体幹など)に対応可能で、広い部位に発汗抑制効果を示します。
■ 発汗をコントロールする内服薬
有効成分が全身に分布し、ムスカリン受容体をブロックすることで、発汗の神経伝達を抑制します。
特に顔や手足など広範囲の発汗に悩む方に有効ですが、効果に個人差や部位差がみられることがあります。
■ 服用のタイミングと持続効果
通常は1日3~4回、食前または食後に内服します。
数時間以内に作用が現れ、数時間持続する即効型の特徴がありますが、継続的な効果維持には定期的な服用が必要です。
■ 全身に使える利点と限界
プロバンサインは内服薬であるため、わきに限らず全身の多汗症状に使用可能です。
ただし、発汗の部位や体質によって効果にムラが出ることがあり、個別に調整が必要です。
■ 注意点と副作用
抗コリン作用により、口渇・便秘・排尿困難・視力のぼやけ・眠気などが生じることがあります。
高齢者や持病のある方、他の薬を併用中の方は医師の指導のもと慎重に使用してください。
✅ プロバンサインは、全身の多汗症に対応可能な内服治療薬として、外用薬で効果が乏しい場合の選択肢となります。
効果の出方には個人差がありますので、医師と相談しながら適切な服用方法を選びましょう。
⚠️ プロバンサインの副作用と使用上の注意点
プロバンサイン(一般名:プロパンテリン臭化物)は、多汗症や胃腸症状に用いられる抗コリン作用をもつ内服薬です。
発汗の神経伝達をブロックすることで全身の汗を抑制しますが、内服薬特有の副作用にも注意が必要です。
■ 主な副作用
- 口の渇き(口渇):最もよくみられる副作用の一つで、唾液分泌の低下による不快感があります。
- 便秘:腸の動きが抑制されることで起こります。
- 排尿困難:特に前立腺肥大のある方は注意が必要です。
- 視覚障害(かすみ目):瞳孔が開くことによるピントの合いづらさが報告されています。
- 眠気・ふらつき:中枢神経への影響により、運転や機械操作時には注意が必要です。
■ 使用上の注意点(なぜ必要か?)
- 高温環境下での服用に注意:発汗が抑えられた状態で熱がこもると、熱中症のリスクが高まります。
- 服薬後の運転・集中作業に注意:眠気や視覚のぼやけが出る場合は控えることが推奨されます。
- 水分を意識的に摂取:口渇や脱水を防ぐため、こまめな水分補給が必要です。
- 妊娠中・授乳中の方:安全性データが少ないため、必ず医師に相談の上で服用を検討してください。
詳しくは、KEGG医薬品情報(外部リンク)をご覧ください。
■ 保管・取り扱い上の注意
プロバンサインは直射日光を避け、湿気の少ない冷暗所で保管してください。
小児の誤飲を防ぐため、必ず手の届かない場所に保管しましょう。
残薬の処分は、地域の薬局や医療機関に相談するのが安心です。
💧 多汗症治療薬の比較表
多汗症の治療には、塗り薬・内服薬・注射など複数の選択肢があります。以下は代表的な治療薬の比較表です。
薬剤名 | 剤形 | 主な作用 | 副作用 | 使用部位 | 保険適用 |
---|---|---|---|---|---|
エクロックゲル | 塗布(ゲル) | 発汗を抑制する抗コリン作用(皮膚局所) | 皮膚刺激、口渇、かすみ目 | わき | ○ |
ラピフォートワイプ | 塗布(ワイプ式) | 抗コリン薬で発汗抑制(より速効性) | 口渇、視覚異常、めまい、皮膚炎 | わき | ○ |
プロバンサイン | 内服(錠剤) | 全身性に発汗を抑える抗コリン薬 | 眠気、口渇、便秘、排尿障害 | 全身 | ○ |
ボトックス注射 | 注射 | 神経伝達を遮断し汗腺の働きをブロック | 注射部位の痛み、まれに筋力低下 | わき(保険)、手・足(自費) | ○(重度腋窩多汗症) |
✅ どの治療を選ぶかは「症状の程度」「部位」「生活スタイル」によって変わります。
医師と相談しながら、最も効果的で続けやすい治療法を選びましょう。
📚 プロバンサインの効果とエビデンス
プロバンサイン(一般名:プロパンテリン臭化物)は、抗コリン作用をもつ内服薬として、多汗症や胃腸疾患などに幅広く用いられています。
全身の発汗抑制が可能な薬剤として、特に手足・顔・体幹などの多汗症状に悩む方の治療に使用されることがあります。
■ 国内での承認と適応
- ● 本来は胃潰瘍や胃酸過多症などの治療薬として保険適用されています。
- ● 多汗症への使用は自由診療扱いであり、医師の裁量による自費処方となります。
- ● 医療現場では、外用薬で効果が乏しい部位や全身性の多汗に対する補助療法として使用されます。
■ 海外報告と臨床経験に基づく有効性
- ● 海外では掌蹠多汗症や顔面多汗症への有効性を示す報告があり、内服後2〜4時間で効果が発現する即効性が特徴です。
- ● 定期服用により発汗が抑制されるが、効果に個人差があるため調整が必要です。
- ● 日本でも多くの皮膚科クリニックで実績があり、比較的安全な薬剤として認知されています。
■ 信頼できる情報ソース(外部リンク)
- ・KEGG医薬品情報(日本薬学会)
▶ KEGG:プロバンサイン製品情報 - ・PubMed(英文)レビュー記事:
▶ PubMedでの検索結果(Propantheline + Hyperhidrosis) - ・日本皮膚科学会「多汗症診療ガイドライン」※内服薬の記載は限定的
▶ 多汗症ガイドライン2023(PDF)
✅ プロバンサインは、全身の発汗に対応できる経口薬として、外用薬で効果が不十分な方や広範囲の多汗に悩む方の選択肢です。
医師と相談しながら、症状とライフスタイルに合った治療方法を検討しましょう。
❓ プロバンサイン よくある質問(FAQ)
通常は1日2~3回、食前または食後に服用します。
汗が気になる時間帯の少し前に服用すると、より効果的に発汗を抑えられます。
個人差はありますが、服用後30分~2時間ほどで発汗が抑えられることが多いです。
効果の持続は数時間のため、必要に応じて1日数回の分割服用が行われます。
はい、プロバンサインは内服薬なので全身の汗に効果があります。
特に顔・手のひら・足の裏など外用薬が使いづらい部位にも有効です。
はい、口渇・便秘・排尿困難・視覚のぼやけ・眠気などの抗コリン作用による副作用が出ることがあります。
これらが気になる場合は、必ず医師に相談してください。
医師の指導のもとであれば長期的な使用も可能です。
ただし、定期的な副作用のチェックや用量調整が必要です。
はい、ボトックス注射や外用薬(エクロックゲルなど)と併用するケースもあります。
それぞれの治療の作用部位やメカニズムが異なるため、組み合わせによって効果を高めることができます。
プロバンサインは胃腸症状には保険適用ですが、多汗症目的では自由診療扱いとなることが多いです。
詳しくは受診する医療機関でご確認ください。
💰 プロバンサインの薬価と自己負担について
プロバンサイン(一般名:プロパンテリン臭化物15mg錠)は、抗コリン作用を持つ内服薬で、多汗症にも保険適用される処方薬です。
特に全身性・局所的な多汗に悩む方に使用されており、比較的低コストで継続可能な治療法です。
■ 保険診療での薬価(2024年時点)
製剤名 | 薬価(単価) | 使用量目安 | 薬剤費(3割負担) |
---|---|---|---|
プロバンサイン錠 15mg | 6.1円/錠 | 120錠(1日4回×30日) | 約219.6円(3割負担) |
■ 自己負担の目安
- ● 3割負担の方:1カ月あたり約220円(薬剤費のみ)
- ● 1割負担(高齢者等):約73円前後
- ● 医療機関での診察料・処方箋料・薬剤師の調剤料などは別途必要です
■ ジェネリック医薬品の有無
プロバンサインは、すでにジェネリックとしても流通しており、保険診療で安価に処方可能です。
経済的な負担が少ない内服治療として、多汗症に悩む多くの方に選ばれています。
✅ プロバンサインは、全身性の多汗に対応可能な経口薬であり、コスト面でも続けやすい治療選択肢です。
使用方法や副作用については、医師と相談の上で適切に活用しましょう。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修

「多汗症は“身体のQOL(生活の質)に大きく影響する疾患”です。
患者さんの悩みに寄り添い、エビデンスに基づいた治療で日常生活の不便を軽減することが私たちの使命です」
当院では、原発性腋窩多汗症に対し、外用薬(ラピフォートワイプ)やボトックス注射など、症状やライフスタイルに合わせた治療提案を行っています。
治療薬の使い方や副作用のリスク、他の疾患との兼ね合いまで、医師が丁寧に説明し、安全に治療が進められるようサポートいたします。
0th CLINIC 日本橋 院長
日本病理学会認定 病理専門医/総合診療、救急科での診療歴10年以上
関連コラム
ただいま準備中です。少々お待ちください。