液体窒素治療(冷凍凝固)|いぼ・尖圭コンジローマ・日光角化症
液体窒素治療(冷凍凝固)|ウイルス性いぼ・尖圭コンジローマ・皮膚腫瘍に対応
結論(80–120字):液体窒素は外来で短時間。いぼは通常2〜4週間おきに2〜6回、尖圭コンジローマは再発予防を見越した複数回が基本。痛みは冷却や外用麻酔で調整します(保険適用あり)。
アクセス
東京都中央区日本橋二丁目16番9号 CAMCO日本橋ビル4階(東京駅八重洲口・日本橋駅から徒歩3分)
液体窒素治療とは
液体窒素治療(冷凍凝固療法)は、-196℃の極低温の液体窒素を用いて、皮膚や粘膜の異常組織を凍結・壊死させる治療法です。
    正常組織との境界が明瞭な病変に特に有効とされ、外来で数分程度で完了する簡便な処置として広く行われています。
対象となる主な疾患
回数・通院間隔の目安
- いぼ:2〜4週間おきに2〜6回(厚い角質・足底は回数が増える傾向)
- 尖圭コンジローマ:複数回+再発チェック(部位・数により計画)
- 日光角化症:1〜数回で落ち着くことが多いが、病理評価を考慮
液体窒素治療の方法と治療経過について
治療の基本手順
    液体窒素(-196℃)を綿棒やスプレーで病変部に接触させ、数十秒間凍結させることで病変細胞を壊死させる治療です。
    1回の治療は数分で終了し、通常は1〜3週間ごとの間隔で複数回行います(部位・大きさ・痛みの許容度で調整)。
  
深いイボに対する強めの凝固処置
    イボが深く根を張っている場合、表面を軽く凍結するだけでは不十分なことが多く、しっかりと深層まで凍結させる必要があります。
    その結果、黒っぽい血疱(水ぶくれ)ができることもありますが、これは適切な凝固がなされたサインでもあります。
  
※ それでも治癒に至らないことも珍しくありません。いぼ治療は根気と時間が必要な治療です。
痛みに配慮した段階的治療
    強めの凝固を行った直後には、数時間にわたる痛みを伴うことがあります。
    特に初回から強く処置しすぎると、治療への不安や継続困難につながることがあります。
  
当院ではそのような事態を防ぐため、まずは軽めの凝固で経過を確認し、必要に応じて段階的に治療強度を上げていくアプローチをとっています。
大きな血疱ができた場合の対処
    深く凍結した際に大きな血疱ができた場合には、血疱を切開して中の血液を排出する処置を行うことがあります。
    これにより痛みの軽減や日常生活への支障の緩和が期待できます(必要時のみ実施)。
  
納得して続けられる治療を提供するために
    液体窒素治療は即効性がある一方で、「痛み」「回数」「効果の個人差」がある治療です。
    当院では初回診察でリスクと方針を丁寧に説明し、患者様が納得し継続しやすいペースで治療を進めます。
  
※補足:液体窒素治療には免疫を刺激してウイルス性いぼを排除する働きもあると考えられていますが、本ページでは複雑な説明を避けるため省略しています。
保険適用と料金の目安
多くの皮膚良性疾患で保険適用となります(部位数・病変数・処置区分で変動)。
具体的なお見積りは診察後にご案内します。
液体窒素による凍結療法の作用機序
① 急速冷却による細胞膜の破壊
-196℃の液体窒素により細胞内外の水分が一瞬で氷結し、細胞膜や小器官が物理的に破壊されます。とくに急速な膨張・収縮により、細胞構造が不可逆的に損傷します。
② 微小血管の虚血・壊死
凍結により毛細血管が閉塞し、再灌流障害や血栓形成が起こります。結果として虚血性の組織壊死が進み、病変部が自然と脱落していきます。
③ アポトーシスと免疫刺激
凍結ストレスにより細胞のアポトーシスが誘導。壊死したウイルス感染細胞の断片が免疫系に認識され、HPVなどに対する免疫反応も活性化します。
④ 再凍結による壊死効果の増強
凍結→融解→再凍結の繰り返し処置で深層まで確実に作用。角質層の厚いいぼや尖圭コンジローマで高い効果が期待されます。
メリットと限界
| メリット | 注意点・限界 | 
|---|---|
| 外来で短時間に施行可能 | 色素沈着や水疱・凹みの可能性 | 
| 麻酔不要で低侵襲 | 深い病変や再発には追加処置が必要 | 
| 多くで保険診療が適用 | 個人差があり通院が必要 | 
治らない時の次の一手
液体窒素治療の流れ
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        ① 診察と患部の確認医師が患部を診察し、ダーモスコピー等で種類・深さ・感染性を評価します。治療回数の目安と注意点を共有します。 
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        ② 液体窒素で患部を凍結綿棒またはスプレーで液体窒素(-196℃)を数秒〜30秒接触。必要に応じて1〜3サイクル行います。 
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        ③ 処置後のケア・説明赤み・水ぶくれが出ることがあります。軟膏や保護でケアし、自宅での注意点と再診タイミングをお伝えします。 
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        ④ 再診・必要に応じた追加治療通常は1〜2週間ごとに再診し、効果を確認。残存や再発がある場合は追加の凍結処置を行います。 
セルフケア(処置後)
- 水疱・びらん:清潔を保ち、必要に応じて保護材を使用
- 色素沈着:紫外線対策・摩擦回避。時間とともに目立ちにくく
- 入浴・運動:当日の強い刺激は避け、翌日以降は様子を見て再開
👨⚕️ 医師からのコメント・監修
 
    「液体窒素を用いた凍結療法は、ウイルス性いぼや前がん病変などに対してエビデンスに基づいた効果的な治療法です。症状や肌質によっては治療後の炎症や色素沈着へのケアも重要になるため、丁寧な診察と経過観察を心がけています。」
0th CLINICでは、いぼや角化症などの治療に際し、患者さまの生活スタイルやご希望もふまえて、必要な部位に応じた的確な冷凍凝固を行っています。ご不安なことがあれば、遠慮なくお尋ねください。
0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士
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まずは診察予約から(保険適用の可否もご案内)
いぼ・コンジローマ・日光角化症などの凍結は、診察で適応と回数計画を決定します。
最終更新:
液体窒素による凍結治療のエビデンスと推奨
液体窒素(-196℃)を用いた凍結治療(クライオセラピー)は、皮膚科領域で広く用いられており、その有効性・安全性について複数の科学的エビデンスが示されています。
🔍 エビデンスに基づく適応疾患
- 尋常性疣贅(いわゆるウイルス性いぼ):日本皮膚科学会の「ウイルス性疣贅診療ガイドライン(2020年改訂版)」において、第一選択治療の一つとして推奨されています。
- 日光角化症(前がん病変):米国皮膚科学会(AAD)は、日光角化症に対する治療オプションとして凍結療法を明記しています。
- 脂漏性角化症、尖圭コンジローマなどにも保険適用・臨床使用されています。
📘 海外のエビデンス
英国国民保健サービス(NHS)も、ウイルス性疣贅に対してクライオセラピーを効果的な治療法として紹介しています。 また、Cochraneレビュー(Cochrane Database of Systematic Reviews)では、凍結療法がサリチル酸療法に比べて同等以上の有効性を示すという報告もあります。
✅ 国内の保険診療と臨床推奨
    日本においても、液体窒素療法は保険診療で認められており、厚生労働省が定める保険点数表にも明記されています。
    実臨床では、患部の深さ・範囲に応じて数回繰り返す必要がありますが、比較的侵襲が少なく、高齢者にも適応しやすい治療法です。
  
📝 推奨される使用条件
- 凍結時間:5~30秒/1サイクル × 1~3サイクル
- 再治療間隔:2〜3週間おきに実施
- 禁忌:糖尿病や末梢循環障害のある部位には注意が必要
※当院では患者様の皮膚の状態や病変の種類に応じて、個別に治療方法をご提案しています。ご不安な点はお気軽にご相談ください。
 
  