イナビル(ラニナミビル)

イナビル(ラニナミビル)|単回~2回吸入のインフルエンザ薬

まずはワクチンが基本 イナビルは吸入で使うノイラミニダーゼ阻害薬です。
治療は原則1回の吸入、予防投与も少ない回数で完了でき、服薬管理がしやすいのが特長です。

概要(はじめに)

  • 季節性インフルエンザの治療および予防(限定状況)に用います。
  • 予防投与はワクチンの代替ではなく補助。まずは毎シーズンの接種を。
  • 吸入手技が必要なため、正しい吸い方の説明を受けてから使用します。

インフルエンザにかかった時、イナビルでどう変わる?

  • 症状の期間短縮:発症から48時間以内の開始で、平均約1日程度の短縮が期待できます(個人差あり)。
  • 単回吸入で完結(治療):服薬遵守がしやすく、飲み忘れの不安が少ないのが利点です。
  • 家庭内の二次感染対策:適切な対象・タイミングでの接触後予防により、発症抑制に寄与します。

※効果の程度は年齢・基礎疾患・開始時期・流行株等で変動します。最適な設計は診察で個別に判断します。

用法・用量(年齢別の目安)

治療(発症からできるだけ早く、48時間以内に開始)

年齢用量・回数補足
10歳以上 40mg 単回吸入(20mg×2容器) その日のうちに完了
10歳未満 20mg 単回吸入(20mg×1容器) その日のうちに完了

予防(濃厚接触から48時間以内に開始)

対象用量・回数補足
成人・10歳以上 20mgを1日1回×2日間(20mg×1容器を2日連続) 家庭内曝露などの接触後予防
10歳未満 20mg 単回吸入 年齢により単回で完了
ポイント
・治療・予防とも開始タイミングが最重要(48時間を超えると有効性低下)。
・予防効果は服用開始から約10日まで確認されています(以降の効果は未確認)。
・未接種の方は、予防投与に加えて速やかなワクチン接種も行いましょう。

どんな場面で「予防投与」を考える?

  • 家庭内・施設内での濃厚接触があり、ハイリスク者(高齢・慢性疾患・免疫抑制など)がいる場合
  • 受験直前など社会的事情で短期予防が望ましい場合(個別判断)
  • ワクチンが禁忌/未接種/効果が期待しにくい状況での一時的対応

※施設内の集団発生では、オセルタミビル等を含む予防投与期間の取り方(例:少なくとも14日+最後の発症後7日)を別途検討します。

副作用・注意(小児の「精神・行動」症状を含む)

よくある症状

  • 咽頭違和感、咳、頭痛、吐き気 等(多くは軽度〜中等度)
  • 気道刺激・気管支けいれん様症状に注意(喘息・慢性気道疾患の既往がある方は事前にご相談ください)

使用上の注意

  • 吸入手技が難しい場合は、院内で練習し、確実に吸える方法を確認
  • 経鼻生ワクチン(LAIV)とは前後タイミングに注意(相互に効果低下の恐れ)
小児の「精神・行動」症状について
インフルエンザ罹患中(抗ウイルス薬の使用有無を問わず)に、落ち着きのなさ・混乱・幻覚・異常行動などが報告されています。
近年の研究では、インフルエンザそのものがこれらの症状リスクを高める可能性が示唆されています。抗ウイルス薬(タミフル等)で重篤な神経精神イベントがむしろ減少したとの報告もあります。
ただし、小児では夜間の見守りなど安全配慮をお願いします(FDA/CDC も観察を推奨)。
保護者の方へ(見守りポイント)
  • 夜間・入浴時・ベランダなど、事故につながりやすい状況を避ける
  • 「いつもと違う様子(錯乱・極端な興奮・幻覚・自傷的行動など)」に気づいたらすぐ受診
  • インフルエンザ期間中は、薬の有無にかかわらず見守りを厚めに

※持病(発達・精神・てんかん等)や併用薬がある場合は、必ず事前にお知らせください。

禁忌・慎重投与

  • 有効成分/添加物に過敏症の既往
  • 重い気道過敏:吸入で悪化の可能性があるため個別判断
  • 経鼻生ワクチンの前後(目安:接種の2週間前〜投与後48時間は併用回避)

受診の目安

  • 水分がとれない/ぐったり/呼吸が苦しい/けいれん/強い頭痛・発疹
  • 異常行動・幻覚など普段と明らかに違う言動が出現

※本情報は一般向けの目安です。最終的な可否・用量・観察の仕方は診察で個別に決定します。

院内の流れ・費用の目安

  1. 診察(曝露状況・基礎疾患・妊娠可能性・吸入可能性を確認)
  2. 適応があれば処方(治療単回/予防2日間など個別にご案内)
  3. 吸入実施→副作用・注意点の説明、ワクチン接種や感染対策継続のご案内
自費の目安
診察+イナビル(2キットまでを想定) 13,200円(税込)
※症状・目的(治療/予防)により実際は変動します。

運用の要点(予防投与)

  • 開始:濃厚接触から48時間以内に開始
  • 期間:地域・家庭内の状況では7日間を基本(薬剤特性上、イナビルは2日で投与完了
  • 予防中に発症:予防は中止し、耐性プロファイルの異なる薬剤で治療へ切替を検討

👨‍⚕️ 医師からのコメント・監修

イナビル(ラニナミビル)
「イナビルは服薬遵守のしやすさが利点です。一方で、吸入が確実にできるかの確認と、小児の行動・安全面の見守りが大切です。」

0th CLINICでは、家庭状況や受験・仕事の予定もふまえ、過不足ない内服/吸入設計副作用リスクの丁寧な説明を徹底しています。

監修:黒田 揮志夫 医師(病理専門医/消化器病理医)/0th CLINIC 日本橋 院長
医学博士/日本病理学会認定 病理専門医/プライマリ・ケア認定医/日本医師会認定 産業医・健康スポーツ医

免責事項:本ページは一般向け情報です。具体的な可否・用量・期間・併用は診察で個別に判断します。本ページの薬剤名の記載は解説目的であり、広告・誘引を意図するものではありません。