なだらかに沈む凹み。皮下の線維性癒着が関与する場合があり、サブシジョンを優先することがあります。RFは真皮側の再構築に併用。
ニキビ跡(クレーター・萎縮性瘢痕)×ポテンツァ|タイプ別戦略と併用設計
クレーターは、
同じ治療を全部に当てない。
ニキビ跡の凹みは、rolling scar、boxcar scar、ice-pick scarなどに分かれ、 皮下の癒着、真皮の欠損、瘢痕の深さ・辺縁がそれぞれ異なります。 ポテンツァ(RFマイクロニードル)は有力な治療選択肢ですが、 癒着ならサブシジョン、狭く深い瘢痕ではTCA CROSS等の他院治療も含めた選択肢の方が構造に直接アプローチできる場合があります。
ニキビ跡×ポテンツァで、最初に知りたいこと
2025〜2026年の系統レビューでも、RFマイクロニードルは瘢痕スコアを改善する治療として一貫した有効性が報告されています。
皮下の線維性癒着を解除し、その後RFで真皮リモデリングを行う方が構造的に合理的な場合があります。
瘢痕の深さや幅によって、レーザー、パンチ系手技、サブシジョン等との組み合わせが変わります。
狭く深い瘢痕は面で行うRFだけでは反応が限定的なことがあります。当院ではTCA CROSSは行っていません。
数回で反応を評価し、改善が鈍ければ同じ施術を繰り返さず、併用治療へ切り替えます。
新しい瘢痕を増やさない治療が先です。炎症が落ち着いてからクレーター治療を本格化します。
rolling・boxcar・ice-pickは、治療が違います
境界が比較的明瞭な陥凹。浅いものはRFやフラクショナル治療、深いものはパンチ系手技なども含めて検討します。
狭く深い点状の陥凹。TCA CROSS等のポイント治療が候補となることがあります。当院ではTCA CROSSは行っておらず、必要に応じて他院治療としてご提案します。RFは周囲の質感改善を補助します。
実際には3タイプが混在します。 「一番多いタイプ」ではなく、顔のどこに何タイプあるかを見て治療を組みます。
ポテンツァが得意なのは「真皮の質感を面で整えること」
POTENZAのメーカー公式では、侵襲型RFはマイクロニードルを通じて真皮へ高周波エネルギーを届け、 組織凝固を誘導する仕組みです。 ニキビ瘢痕では、真皮リモデリングを通じて凹凸・質感の改善を目指します。
瘢痕周囲を含め、面として肌の凹凸・質感を整えます。
皮膚厚・部位・瘢痕の程度を見て設定を変えます。
サブシジョン等で構造を変えた後の質感改善として組み合わせます。
元ページにあった「0.5〜1.0mm=浅層、1.5〜2.5mm=rolling」といった固定プロトコルは削除しました。皮膚厚・部位・針タイプ・RF条件で安全域が変わるため、Web上で一律の深度を推奨しません。
RFマイクロニードルのエビデンス
2025年の系統レビューでは、RFマイクロニードル単独による顔面ニキビ瘢痕について 16研究・481例が解析され、有効な治療である可能性が示されています。 さらに2026年の皮膚疾患全般を対象とした系統レビューでも、 萎縮性ニキビ瘢痕では瘢痕スコアの改善が一貫して報告され、フラクショナルレーザーと同程度の有効性を示す研究も含まれていました。
比較的支持されていること
- 萎縮性ニキビ瘢痕の改善
- 肌質・凹凸の改善
- 複数回治療での段階的改善
- 他治療との組み合わせ
まだ確立していないこと
- 全員に共通する最適な深さ・RF設定
- 全瘢痕型で同じ治療が最良か
- 何回で必ず何%改善するか
- 単独治療と併用治療の最適順序
瘢痕型ごとの治療選択
| 瘢痕 | 主な構造 | 治療候補 | ポテンツァの位置づけ | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| Rolling | 皮下癒着を伴うなだらかな陥凹 | サブシジョン、RF、必要時フィラー等 | 癒着解除後の真皮リモデリングに適することがある | 癒着が強いままRFだけ続けない |
| Boxcar | 境界明瞭な陥凹 | RF、フラクショナル、パンチ系等 | 浅〜中等度の面状凹凸で候補 | 深さ・幅・辺縁で治療を変える |
| Ice-pick | 狭く深い陥凹 | TCA CROSS(他院治療の選択肢)、パンチ系等 | 周囲の質感改善を補助 | RF単独で深部まで十分反応しないことがある |
| Mixed | 複数タイプが混在 | 複数治療を順番に組み合わせる | 全体の質感を整える役割 | 一台ですべてを治そうとしない |
rolling scarは「まず癒着を外す」方がよいことがあります
Subcisionは、瘢痕を皮下へ引き込んでいる線維性組織を切離する治療です。 臨床試験レビューでは、萎縮性ニキビ瘢痕に対する有効性が報告され、 RFマイクロニードル等との併用も安全かつ有効とされた研究があります。
サブシジョンを考える所見
- 皮膚を横へ伸ばすと改善するrolling scar
- 広く波打つような凹み
- RFだけで反応が頭打ちになっている
- 触診で癒着を疑う
RFの役割
- 癒着解除後の真皮リモデリング
- 周辺の細かな凹凸を均一化
- 混在する浅いboxcar等へのアプローチ
- 全顔の質感を整える
ice-pick scarは「面」より「点」で考える
TCA CROSSは、狭く深い瘢痕へTCAを局所的に塗布し、瘢痕内の再構築を促す方法です。当院では現在実施していません。 ice-pick scarでは代表的な選択肢の一つですが、当院での施術メニューではありません。必要性が高い場合は、他院での治療選択肢としてご案内します。PIHや瘢痕拡大等のリスクがあるため、 肌タイプと瘢痕形状を見て適応を判断します。
当院ではTCA CROSSは行っていません。 ice-pick scarなどで適応が考えられる場合は、他院での治療選択肢としてご説明します。
ニキビ跡治療は「全部同日にやる」より、順番が重要
- 活動性ニキビを止める新しい瘢痕が増えている状態では、まずニキビ治療を優先します。
- 癒着を解除するrolling scarで必要ならサブシジョンを先行します。
- 深いポイント瘢痕への別治療を検討するice-pick等では、当院で行っていないTCA CROSSやパンチ系治療を含め、必要に応じて他院治療をご提案します。
- RFで面を整えるポテンツァで周囲の真皮リモデリング・質感改善を狙います。
- 色・赤みを最後に調整PIH・赤みが残ればIPLやレーザー等を病変に合わせて検討します。
治療回数を増やす前に、治療する構造を変える。 これがクレーター治療で重要な考え方です。
何回で治りますか?
萎縮性ニキビ瘢痕は、完全に「元の皮膚に戻す」というより、 光の当たり方・凹凸・陰影を段階的に改善する治療です。 深い瘢痕や混在型では、単一施術の回数を増やすより治療を組み替えることがあります。
肌質の変化を感じる方もいますが、クレーター評価には早い段階です。
RFへの反応を評価し、癒着・深い瘢痕に別治療が必要かを見直します。
改善している構造には継続し、反応が乏しい瘢痕は治療法を変更します。
固定的な「4〜6週×5回」を全員に勧める構成はやめています。研究上の治療間隔はさまざまで、肌反応・PIH・併用治療によって適切な間隔が変わります。
ダウンタイム・副作用
RFマイクロニードルでは、施術中の痛み、赤み、腫れ、点状出血、痂皮、ざらつきなどが起こることがあります。 多くは一過性ですが、施術強度・肌タイプ・治療範囲によって差があります。
まれに炎症後色素沈着、感染、ニキビ様皮疹、熱傷、瘢痕などが起こる可能性があります。 強い痛み、水疱、膿、赤みの増悪などがある場合は早めの診察が必要です。
施術後に大切なこと
- 摩擦を避ける
- 保湿
- 紫外線対策
- 刺激性外用は指示後に再開
大切な予定がある場合
- 初回は直前を避ける
- 点状痂皮・赤みの個人差を確認
- PIHリスクが高い場合は余裕を持つ
- 併用施術の間隔も考える
まずポテンツァをしない方がよいこともあります
治療を進めやすい状態
- 活動性ニキビが落ち着いている
- 創傷治癒に問題がない
- 強い皮膚炎・感染がない
- ダウンタイムを理解できている
- 現実的な改善目標を共有できる
延期・別治療を検討する状態
- 炎症性ニキビが多数ある
- ヘルペス・細菌感染等の活動性感染
- 強い日焼け・皮膚炎
- ケロイド・肥厚性瘢痕のリスクが高い
- 医療機器・妊娠等の安全確認が必要な状態
料金
使用チップ、施術範囲、麻酔、併用治療の有無によって費用が異なります。 「ポテンツァ何回分」という販売ではなく、瘢痕型を診察して必要な治療の組み合わせをご提案します。
ポテンツァとニキビ跡について、よくあるご質問
ニキビ跡のクレーターはポテンツァだけで治りますか?
浅い萎縮性瘢痕ではRF単独で改善する場合もありますが、rolling scarの癒着ではサブシジョンを組み合わせます。ice-pick scarの深い点状瘢痕では、当院未導入のTCA CROSS等を他院治療の選択肢としてご提案することがあります。
rolling scarには何が一番向いていますか?
皮下癒着が明らかな場合はサブシジョンを検討します。その後にRFマイクロニードルで周辺の真皮・質感を整えることがあります。
boxcar scarはポテンツァで改善しますか?
浅〜中等度のboxcar scarでは候補になります。深く境界が明瞭なものでは、レーザーやパンチ系手技など別治療が適する場合があります。
ice-pick scarにはポテンツァは効きませんか?
周囲の質感改善には役立つ可能性があります。一方、狭く深い瘢痕そのものにはTCA CROSS等のポイント治療が適する場合があります。当院では実施していないため、必要に応じて他院治療としてご提案します。
何回受ければよいですか?
最初から固定回数を決めず、2〜3回程度でRFへの反応を評価します。改善が鈍い場合は同じ施術を繰り返すより、瘢痕型に応じて治療を変更します。
サブシジョンとポテンツァは同日にできますか?
同日に組み合わせる場合も、別日に分ける場合もあります。治療範囲、腫れ・内出血、RFの強度、瘢痕型を見て医師が順番を決めます。
ドラッグデリバリーはニキビ跡に必須ですか?
必須ではありません。RFマイクロニードルそのものと導入薬剤の効果は分けて考えます。薬剤を使用する場合は、その必要性・承認状況・副作用を別途説明します。
ニキビが残っていてもクレーター治療を始められますか?
少数なら施術できる場合もありますが、新しい瘢痕が増えるほど炎症性ニキビがある場合は、まずニキビ治療を優先します。
完全にクレーターをなくせますか?
完全に元の皮膚へ戻すことを保証できる治療ではありません。凹凸・陰影・肌質を段階的に改善し、目立ちにくくすることを目標にします。
医師から
ニキビ跡治療では、「一番強い機械を当てる」ことより、 その凹みが何によって固定されているかを見極めることが大切です。
癒着があればサブシジョン、深い点状瘢痕ならポイント治療、 面としての質感にはRFというように、構造ごとに治療を分ける方が合理的です。 ポテンツァを使う場合も、単独治療に固執せず順番を設計します。
監修:黒田 揮志夫 医師|0th CLINIC 日本橋 院長/医学博士/病理専門医 | 医師紹介
0th CLINIC 日本橋
〒103-0027 東京都中央区日本橋2丁目16番9号 CAMCO日本橋ビル4F。 「ポテンツァだけでよいのか」「サブシジョンが必要か分からない」といった段階から、瘢痕タイプを確認してご相談いただけます。
参考情報
Jeisys Medical|POTENZA
Fractional Radiofrequency Microneedling as Monotherapy in Acne Scar Management(2025)
Effectiveness of Radiofrequency Microneedling in Dermatological Conditions(2026)
Subcision in acne scarring: review of clinical trials
Evidence-based management of atrophic acne scarring
「ポテンツァだけでよいか」から診察します。
rolling、boxcar、ice-pickは、見た目が似ていても必要な治療が違います。 瘢痕タイプ・癒着・深さを確認し、RF、サブシジョン、その他の治療から必要な順番をご提案します。
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