抗生剤の副作用
💊 抗生剤の副作用が心配な方へ
「抗生物質って副作用が怖い」「飲んでお腹の調子が悪くなったことがある」「子どもに使っても大丈夫なの?」
そんな声を多くの患者様からいただきます。確かに抗生剤には副作用がある場合もありますが、正しく使えば効果的で安全な治療法です。
このページでは、抗生剤のよくある副作用と、正しい対処法についてわかりやすくご説明します。
ご自身やご家族が安心して治療に臨めるよう、お手伝いできれば幸いです。

■ 抗生剤でよく見られる副作用とは?
- ・下痢・軟便(腸内細菌バランスの変化)
- ・吐き気・食欲不振
- ・発疹やかゆみ(薬疹)
- ・ごくまれにアレルギー反応(アナフィラキシー)
特に小児や高齢者では体質や体力によって副作用が出やすくなることがあります。
だからこそ、一人ひとりに合った薬剤の選択と用量の調整が大切です。
■ 副作用を防ぐには?〜安心して使うためのポイント〜
- ✔ 医師の指示どおりに正しい量・回数で服用する
- ✔ 気になる症状があれば早めに相談する
- ✔ アレルギー歴(特にペニシリン系)がある場合は必ず伝える
- ✔ 下痢など軽微な症状でも自己判断で中断しない
✅ 当院では、患者様の症状や体質に応じて、安全性と効果のバランスを考慮した抗菌薬の選択を行っております。
ご不安があれば、どうぞお気軽に医師やスタッフへご相談ください。
💩 抗生剤による下痢・軟便について
抗生物質を服用したあとに、お腹がゆるくなったり、軟便・下痢が続いたりすることがあります。これは比較的よく見られる副作用の一つです。
■ どのようなときに起こるの?
抗生剤を飲んで2~5日ほど経った頃から症状が出やすくなります。特に連続で数日間服用する場合に見られます。
■ なりやすい薬はあるの?
下記のような広範囲に作用する抗生物質(広域抗菌薬)では、腸内細菌への影響が強く、下痢が起きやすい傾向があります。
■ なぜ起こるの?(原因)
抗生剤は悪い菌だけでなく、腸内の善玉菌も一緒に減らしてしまうことがあります。
その結果、腸内のバランスが乱れ、消化吸収の調整がうまくいかなくなって下痢や軟便になるのです。
■ 毎回起きるの?
体質や使う薬によって異なりますが、毎回同じ抗生剤で下痢を起こす方もいます。
一方で、薬を変えることで症状が出なくなるケースも多くあります。
■ どう対処すればいい?
- ✔ 軽い軟便であれば、しばらく様子を見ても問題ありません
- ✔ 水分をしっかり補給し、脱水に注意しましょう
- ✔ 整腸剤(ビオフェルミンなど)を併用することで改善する場合があります
✅ 抗生剤による下痢はよくある副作用ですが、薬の変更や整腸剤の併用で対処可能なケースが多くあります。
心配な場合は、無理せず医師に相談しましょう。
🤢 抗生剤による吐き気・食欲不振について
抗生剤を服用しているときに、「むかむかする」「食べたくない」「胃が重い」と感じることがあります。
これらは比較的よくある副作用で、多くの場合は一時的なもので心配はいりません。
■ なぜ起きるの?
抗生剤の一部は胃や腸の粘膜を刺激する性質があります。
また、腸内細菌のバランスが変化すると、消化機能が一時的に乱れて胃の不調や食欲低下を感じることがあります。
■ なりやすい薬は?
以下のような薬は、胃腸への刺激がやや強く、吐き気が出やすいとされます。
- ・クラリスロマイシン(苦味や金属臭を感じやすい)
- ・アジスロマイシン
- ・アモキシシリン
- ・ミノサイクリン
- ・ビブラマイシン(ドキシサイクリン)
■ 対処法はある?
- ✔ 基本的には食後に服用することで、胃への刺激を軽減できます
- ✔ 水分を十分にとってから服用することで、薬が胃にとどまりにくくなります
- ✔ 吐き気止め(制吐剤)や胃薬の併用を医師が勧めることもあります
- ✔ どうしてもつらい場合は、薬の変更を医師に相談してください
✅ 吐き気や食欲不振は一時的な副作用であることが多く、対策をとれば快適に治療を続けることができます。
不安なときは、がまんせずにご相談ください。
🌿 抗生剤による発疹・かゆみについて
抗生物質の服用中や服用後に、赤いぶつぶつ(発疹)やかゆみが出ることがあります。
これはアレルギー反応や薬疹と呼ばれ、多くは軽度で自然に治まりますが、まれに重症化することもあるため注意が必要です。
■ なぜ起こるの?
抗生剤は体の免疫系を刺激することがあり、一部の方ではその反応として発疹・かゆみが生じます。
特に、体質的に薬アレルギーを起こしやすい方や、過去に薬疹を経験したことがある方は注意が必要です。
■ どんな症状が出たら注意?
- ✔ 小さな赤い斑点や、蚊に刺されたような発疹
- ✔ 強いかゆみを伴う皮膚の赤み
- ✔ 顔や口元、まぶたなどの腫れ(→アレルギーの可能性)
- ✔ 全身に広がる湿疹・熱・倦怠感(→重症薬疹の可能性)
■ 対処法は?
- ✔ 軽度なかゆみ・発疹であれば、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬で様子を見ることが多いです
- ✔ 症状が強い、または拡大傾向がある場合はすぐに服用を中止し、医師に相談
- ✔ 呼吸困難・意識障害などがある場合はすぐに救急受診してください(アナフィラキシーの可能性)
✅ 発疹やかゆみはアレルギー反応のサインであることもあります。
過去に薬で湿疹が出た経験がある方は、必ず医師に伝えましょう。
ご不安な場合は、遠慮なくご相談ください。
⚠ 抗生剤によるアレルギー反応の特徴
抗生物質の使用によって起こる薬剤アレルギー(薬疹)は、免疫が薬に反応して体に異常な反応を起こすことを指します。
多くは皮膚症状として現れますが、まれに全身症状や命に関わる重篤なアレルギーになることもあります。
■ 主な特徴と出現のタイミング
- ✔ 服用開始から数時間~数日以内に出ることが多い
- ✔ 発疹・じんましん・かゆみが最もよく見られる症状
- ✔ 口唇やまぶたの腫れ、呼吸困難があれば要注意
- ✔ 以前使用したことがある薬で繰り返し起こる傾向がある
■ よく見られるアレルギー症状
- ・赤いぶつぶつ(丘疹)や紅斑
- ・じんましん(短時間で出現し、消えるか広がる)
- ・かゆみ・チクチク感
- ・顔や手足のむくみ
- ・咳・くしゃみ・目のかゆみ(軽度の全身反応)
■ 重篤なアレルギー(すぐに受診すべき症状)
- ⚠ 呼吸困難・ぜんそく様の咳
- ⚠ のどの違和感・声のかすれ・胸の圧迫感
- ⚠ 高熱・全身の赤み・皮むけ(水ぶくれ)(※スティーブンス・ジョンソン症候群など)
- ⚠ 意識の低下・ぐったりしている
■ 今後の注意点と対応
- ✔ 過去に薬で発疹が出たことがある場合は必ず医師に伝えましょう
- ✔ 同じ系統(ペニシリン系など)の薬でも再発する可能性があります
- ✔ アレルギーが疑われた場合は、薬の中止と代替薬への切り替えが必要です
- ✔ 重症例では、皮膚科やアレルギー専門医との連携が推奨されます
✅ 抗生剤アレルギーは誰にでも起こりうる副作用です。
小さな変化も見逃さず、不安があればすぐにご相談ください。
📚 抗生剤の副作用に関する公的機関からの情報
抗生剤には効果と同時に、副作用のリスクも存在します。正しい知識と信頼できる情報源に基づいた判断が重要です。
以下は、抗生剤の副作用に関する信頼性の高い公的・専門機関の情報です。
-
🔗
厚生労働省「医療用医薬品の適正使用に関する情報」
薬の副作用、アレルギー、服薬上の注意点などの公的ガイドラインを掲載。 -
🔗
医薬品医療機器総合機構(PMDA)「副作用情報検索」
抗菌薬を含む医薬品の副作用に関する報告事例をデータベースで検索可能。 -
🔗
日本皮膚科学会「薬剤による発疹(薬疹)について」
抗生物質による薬疹の種類や、見分け方、注意すべき症状などを解説。 -
🔗
NHS(英国国民保健サービス)「抗生物質の副作用」
英国での抗菌薬の使用と副作用の解説。海外の安全性ガイドも参考に。 -
🔗
UpToDate「抗菌薬アレルギー:概要」
医師向けの詳細なアレルギー・副作用解説。臨床判断の参考に。 -
🔗
NCBI(米国国立医学図書館)「Antibiotic Side Effects: A Review」
抗生物質の副作用全般を包括的に解説した英語の総説論文。
✅ 公的な情報に触れることで、不要な不安を減らし、正しく安心して治療を続けることができます。
ご自身の体に合った治療を選ぶためにも、医師との対話と情報の活用が大切です。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修

「抗生剤は感染症の治療に欠かせない有効な薬ですが、体質によっては副作用が出ることがあります。
特に発疹・下痢・吐き気・アレルギー反応には注意が必要です。」
当院では、患者さま一人ひとりの体質や既往歴をふまえて、最も安全性の高い抗菌薬を選択しています。
副作用が心配な方には、症状の見分け方や対処法も丁寧にご案内していますので、安心してご相談ください。
0th CLINIC 日本橋 院長
日本病理学会認定 病理専門医/総合診療、救急科での診療歴10年以上
関連コラム
ただいま準備中です。少々お待ちください。