抗生剤のアレルギー
抗生剤アレルギーとは?(副作用との違い)
アレルギー(薬疹)は免疫反応が関わる副作用で、じんましん・かゆみ・発疹・むくみ・息苦しさなどが特徴です。 一方、消化器症状(下痢・吐き気・腹痛)などはアレルギーではない非アレルギー性副作用のことが多く、対処が異なります。
迷ったら、まずは症状の強さと広がりで判断し、必要に応じて受診しましょう。消化器症状中心のときは 抗生剤の副作用(下痢・吐き気など)もご参照ください。
受診の目安・今すぐ中止すべきサイン
受診を検討
- 発疹が広がる・強いかゆみ
- 軽い唇のむくみ、関節痛、微熱
→ 原則服用中止し、24時間以内に受診。代替薬を検討。
救急レベル
- 息苦しさ、声のかすれ、のどの閉塞感
- 顔・唇・舌の腫れ、全身のじんましん
- 高熱+広範囲の赤み/皮むけ(重症薬疹疑い)
→ 直ちに服用中止し、救急要請または救急外来へ。
関連:持続する下痢や血便を伴うときは
感染性腸炎・C. difficileのページもご確認ください。
よくあるアレルギー症状
- じんましん(盛り上がる・消えてまた出る)
- 点状〜地図状の紅斑・発疹
- 顔/唇/まぶたのむくみ(血管性浮腫)
- 喘鳴、胸部圧迫感、息苦しさ
- 発熱・関節痛(全身反応)
- 眼や口のただれ、皮むけ(重症薬疹のサイン)
- 繰り返す同一薬剤での発疹
系統別の注意点(代表例)
系統 | 代表薬 | 注意点 |
---|---|---|
ペニシリン系 | アモキシシリン など | 薬疹が比較的頻度高め。同系統で再発しやすい。重症歴がある場合は同系統回避を検討。 |
セフェム系 | セファレキシン など | ペニシリン既往での一部交差に注意。重症既往例は専門医相談で評価。 |
マクロライド系 | クラリスロマイシン/アジスロマイシン | 味覚異常・胃部不快は非アレルギーが多い。発疹は少数例で起こりうる。 |
キノロン系 | レボフロキサシン など | まれに蕁麻疹・アナフィラキシー。即時症状は救急対応。 |
テトラサイクリン系 | ドキシサイクリン/ミノサイクリン | 光線過敏はアレルギーではない。発疹・発熱時は中止・受診。 |
リンコサミド系 | クリンダマイシン | 薬疹のほか腸内細菌叢変化による下痢に注意(非アレルギー)。 |
再投与(リチャレンジ)・検査・今後の記録
- 重症反応(呼吸器症状/粘膜障害/全身発熱+広範囲発疹)は再投与禁止。医師に必ず既往を伝え、アレルギー歴としてカルテに明記します。
- 軽症の皮疹のみで薬剤特定が必要な場合、状況により皮膚テストや段階的負荷試験を専門医で検討します。
- 「アレルギー手帳/アプリ」に薬剤名・時期・症状を記録。再処方防止に役立ちます。
- 代替薬や胃薬の併用については、タケキャブ(ボノプラザン)や 整腸剤の併用も参照。
小児・妊娠授乳中の注意
小児
- 発疹はウイルス性発疹との鑑別が必要。医師に写真/経過を共有。
- 体重あたり用量が重要。自己中断より相談を優先。
妊娠・授乳
- 安全性プロファイルの高い代替薬へ。自己判断での切替は不可。
- 強い反応は救急へ。産科/小児科と連携します。
関連ページ(原因別・対処別)
- 消化器症状中心:抗生剤の副作用(下痢・吐き気)
- 長引く下痢・血便:感染性腸炎・C. difficile
- NSAIDsと胃の痛み:NSAIDs胃炎
- 皮膚のケア:皮膚科(薬疹・かゆみ)
- 胃薬の使い分け:タケキャブ(ボノプラザン)
よくある質問(FAQ)
Q1. 発疹が出たら、抗生剤はすぐ中止?
顔の腫れ・息苦しさ・全身に広がる発疹は即時中止+受診。軽症の限局疹は外用薬で様子見可能ですが、拡大/悪化時は中止・受診してください。
Q2. 以前ペニシリンで発疹。セフェムは使えますか?
重症既往があれば避けるのが原則。軽症で原因不確実な場合は、専門医で評価(皮膚テスト/段階投与)を検討します。
Q3. じんましんが引いたら、同じ薬を再開していい?
自己判断の再開は避けてください。再投与でより強い反応が出ることがあります。医師に相談を。
Q4. 下痢だけならアレルギーではない?
多くは非アレルギー性副作用です。発熱/血便/3日以上持続は受診を。詳しくは 副作用ページへ。
Q5. 抗ヒスタミン薬で良くなれば受診不要?
一時的に軽快しても、原因薬の特定と今後の指針が重要。初回発症や再発例は受診をおすすめします。
Q6. 写真を撮っておくと役立つ?
はい。発症時刻・内服時刻・発疹の写真は診断に有用です。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修

「抗生剤アレルギーは早めの見極めと記録が大切です。重症のサインを逃さず、将来の処方につながる情報を残しましょう。」
0th CLINICでは、症状の評価から代替薬の選択、必要時の専門医連携までワンストップで支援します。ご不安があれば遠慮なくご相談ください。
監修:黒田 揮志夫 医師(病理専門医/消化器病理医)
0th CLINIC 日本橋 院長|総合診療・救急の診療経験10年以上
0th CLINIC 日本橋 院長|総合診療・救急の診療経験10年以上
※本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断・治療は医師の判断に基づき行われます。急変時・重症症状は救急受診を。
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