ボトックスの単位・回数・間隔|“打ちすぎない”設計ガイド
ボトックスは、ボツリヌス菌が作り出した神経毒を精製して作られた薬剤です。正式名称は「ボツリヌス毒素」ですが、アラガン社製の薬剤名が「ボトックス」として広く知られています。
ボトックスの単位・回数・間隔|“打ちすぎない”設計ガイド
「何単位が適切?」「どのくらいの間隔で続ける?」に、部位別の目安と抗体化を避ける打ち方で答えます。
国内承認(眉間・目尻)と、適応外(額・咬筋・首・多汗症の部位別自費 など)の取り扱いも明確に。
重要: 日本国内の美容領域で承認されているのは眉間・目尻(ボトックスビスタ®)。
額や咬筋(エラ)、口角、首などは適応外です。当院では十分な説明と同意のうえで医師判断により実施します。
※ 重度の原発性腋窩多汗症は保険診療の適用対象(条件あり)。
結論(早見表)
- 最短間隔の目安:原則12週間(3か月)以上あける(頻回投与は抗体化リスクや効果不均一の原因)。
- 効果持続:顔の表情じわはおおむね3~4か月。
多汗症(腋窩)は数か月(4~9か月前後)持続することが多い。 - 単位は“最小有効量”から:性別・筋量・既往歴で変動。初回は少量→再診で微調整が安全。
単位(Units)は製剤ごとに互換性がありません(換算不可)。希釈と投与手技の標準化が重要です。
部位別の“安全な目安”
部位 | 目安単位(総量) | 備考 |
---|---|---|
眉間(国内承認) | 10~20 U 目安 | 皺眉筋+鼻根筋に分割。初回は少量で自然さを優先。 |
目尻(国内承認) | 約24 U 目安 | 片側3点×4 U(計6点)を参考。目周りの下垂・眼乾燥に注意。 |
額(適応外) | ~20 U を上限目安に分割 | 眉下垂リスク。必ず眉間同時調整でバランス管理。 |
咬筋(エラ)(適応外) | 片側10~45 U 目安 | 筋量差が大きい部位。咀嚼疲労・凹み・二次的なたるみに注意。 |
広頚筋(首の縦ジワ・バンド)(適応外) | 計26~36 U 目安 | 嚥下・発声への影響に留意。解剖学的安全域を厳守。 |
腋窩多汗症(保険適用) | 片腋 50 U(両側計100 U) | ヨード‐デンプン法で範囲確認し皮内に等間隔で投与。 |
スキンボトックス(肌質)(適応外) | 極低濃度を表皮~真皮浅層に微量多点 | 表情筋へは投与しない設計。詳細は下段リンクへ。 |
※ すべて目安。個人差が大きく、診察で調整します。既往歴、他院治療歴、体格・筋量、左右差、イベント予定により最適解は変わります。
間隔の考え方と効果の持続
最短間隔の原則
- 12週間(3か月)以上あけるのが基本。
- 同一部位の“追い打ち”は2週間以内に行わない(拡散や非対称を招きやすい)。
- 複数部位を同日に行う場合は総投与量と拮抗リスクに注意。
持続目安
- 表情じわ:3~4か月
- 咬筋のボリューム変化:3~6か月(初回は短め傾向)
- 腋窩多汗症:4~9か月(個人差大)
「長持ちさせたい」ほど強め・多めにしたくなりますが、表情の不自然さや抗体化リスクとトレードオフ。
当院は最小有効量+定期メンテでの「自然長持ち」を推奨します。
抗体化(中和抗体)を避ける打ち方
- 最小有効量から開始し、12週間以上の間隔を維持。
- 安易な“ブースター(短期追注)”は避ける。
- 製剤の単位互換なし(他製剤と混同・換算しない)。
- 希釈・注入層・分割点の標準化で再現性を高める。
イベントから逆算する最適スケジュール
時期 | 推奨内容 |
---|---|
本番の8~12週前 | 初回投与(少量)で“利き方”を把握。 額を行うなら眉間セットでバランス確認。 |
本番の4~6週前 | 必要なら微調整(少量)。写真撮影・表情の癖に合わせて最終調整。 |
本番の2週前 | ダウンタイム(内出血)対策として注入は原則終了。スキンボトは早めに。 |
関連・部位別ページ
眉間 / 目尻 / 額(適応外) / エラ(咬筋・適応外) / 首・肩こり(適応外) / 多汗症(腋窩:保険) / スキンボトックス
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LINEから24時間受付しています。初回は診察・デザイン相談(最小量)から。
よくある質問
Q. 額は何単位が正解?
個人差が大きく、~20Uを上限の目安に少量から。必ず眉間を同時調整し、眉下垂を避ける設計にします。
Q. どのくらいの間隔で続けますか?
同一部位は12週間(3か月)以上空けるのが基本です。短期の追注は抗体化や非対称の原因になるため推奨しません。
Q. 咬筋(エラ)は何単位?食べにくくなりませんか?
片側10~45Uが目安。初回は低用量で筋反応を確認します。咀嚼疲労や口元の変化が出すぎないようデザインします。
Q. 多汗症は?
腋窩は片側50Uが標準。効果は数か月持続。保険の適用条件があるため診察時にご説明します。
Q. 効果はどれくらい続きますか?
表情じわは3~4か月が目安。咬筋は3~6か月、腋窩は4~9か月とされます(個人差あり)。
Q. 抗体ができると効かなくなりますか?
頻回・高用量は抗体化の一因とされます。最小有効量・規定間隔での運用が推奨です。
Q. スキンボトックス(肌質目的)は表情が固まりませんか?
表情筋に入れず、浅層のみに微量多点で投与するため、表情の変化は最小限です。詳細はこちら。
👨⚕️ 医師監修
0th CLINIC 日本橋 院長/病理専門医 黒田 揮志夫
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