精索静脈瘤(Varicocele)|症状(重だるさ・左右差)
概要:左に多い“血管のこぶ”。痛み・左右差・不妊の一因
精索静脈瘤は、精巣から心臓へ戻る静脈が逆流/うっ滞し、蔓状静脈叢が拡張した状態です。左側に多く、思春期〜成人男性にみられます。症状は重だるさ・熱感・夕方に悪化しやすく、視触診/エコーで評価します。
※診療時間はお知らせをご確認ください。
受診・救急の目安
救急へ:突然の強い陰嚢痛・腫れ(精巣捻転の疑い)/高熱・陰嚢発赤(精巣上体炎の疑い)
早めの受診を:左右差が拡大・重だるさが続く・不妊評価を希望・思春期で精巣の左右差を指摘
主な症状
| 局所症状 | 重だるさ、鈍痛、熱感、立位や夕方で増悪、横になると軽快。 |
|---|---|
| 見た目の変化 | 左陰嚢内の“もつれた血管”様の膨らみ、左右差。 |
| 妊孕性への影響 | 精液の濃度・運動率・形態の低下に関連することがあります。 |
検査:立位で評価し、ドプラで逆流を確認
| 視触診(立位/いきみ) | 立位で膨隆の有無、バルサルバ負荷で増強を確認。 |
|---|---|
| 超音波(ドプラ) | 陰嚢エコーで静脈径・逆流時間を測定し重症度を客観化。 |
| 精液検査 | ホルモンや精液所見(濃度・運動率・形態)を評価。 |
| 他疾患の除外 | 急性陰嚢痛(捻転)・感染症(精巣上体炎)などを鑑別。 |
分類(イメージ)
| Grade I | いきみで触れる。 |
|---|---|
| Grade II | 立位で触れる。 |
| Grade III | 視認できる膨らみ。 |
| 亜臨床 | 視触診で不明瞭だが、エコーで逆流を確認。 |
治療:症状・妊孕性・年齢を踏まえた“現実解”
| 保存療法 | 陰嚢サポーター、鎮痛薬、生活調整(長時間立位の工夫・入浴・体重管理)。 |
|---|---|
| 顕微鏡下低位結紮術(Marmar法など) | 標準的な手術選択肢。再発・合併症(陰嚢水腫)を抑えやすいとされます。 |
| 血管内治療(塞栓術) | カテーテルで逆流静脈を塞栓。創が小さく外来ベースも可。解剖により適否あり。 |
| 腹腔鏡/高位結紮 | 症例選択で検討。複数本の静脈管理に有用な場合あり。 |
| 当院の方針 | 精密検査、手術、入院が必要な場合は連携病院と一緒に治療にあたります。当院外来で評価・術前後フォロー、連携施設での手術/塞栓を調整します。 |
適応は症状持続・精液所見の異常・思春期の精巣発育左右差などを総合して判断します。
妊孕性:精液所見の改善をめざしつつ、時間軸も設計
評価のポイント
- 精液検査(2回以上)と生活要因(禁煙・体重・熱曝露)。
- パートナーの年齢・妊娠希望時期を共有し全体最適を設計。
治療選択の考え方
- 保存療法+生活改善 → 所見に応じ手術/塞栓を検討。
- 術後は精液所見の変化を数か月単位でフォロー。
- 必要に応じて生殖医療(タイミング/AIH/ART)とも連携。
費用の目安(保険/自費の考え方)
| 診察+陰嚢エコー | 保険(自己負担は保険種別・項目で変動) |
|---|---|
| 精液検査・ホルモン | 保険/自費(項目・適応により) |
| 顕微鏡下結紮/塞栓 | 保険(適応条件・施設基準に準拠/詳細は診察で) |
当院は自費は性感染症の一部のみ、精索静脈瘤は原則保険で対応します。
FAQ:よくある質問
左右どちらにもできますか?
左に多いですが両側例もあります。評価は両側で行います。
スポーツや入浴は?
保存療法中は可。術後は創の状態に応じ数日〜数週間で再開します。
手術と塞栓はどちらが良い?
再発率・合併症・勤務形態・解剖の違いで向き不向きがあります。個別に一緒に選びます。
将来の妊娠率は上がりますか?
精液所見の改善が見込めるケースがありますが、年齢や他因子で異なります。タイムラインも含め、総合的に設計します。
👨⚕️ 医師監修
荘子 万可 医師(日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医/日本抗加齢医学会専門医/テストステロン治療認定医)
0th CLINIC 日本橋 泌尿器科
本ページの医学的内容(受診目安・検査・治療の考え方)を確認しています。
- 監修日:2025-10-31
- 最終更新日:2025-10-31
- 監修範囲:本文全体(FAQ・費用方針を含む)
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