コラム

陰嚢が腫れた/痛い:捻転との鑑別“赤旗サイン”

陰嚢が腫れた/痛い:捻転との鑑別“赤旗サイン”

陰嚢の痛み・腫れは精巣捻転(緊急)を見逃さないことが最優先です。本稿は「今すぐ受診か?」を判断するチェックと、捻転と紛らわしい疾患の違い、当院での検査と流れを医師監修でまとめました。

この記事の要点・目次
  1. “赤旗サイン”―精巣捻転を疑う場面
  2. よくある鑑別:何がどう違う?
  3. 受診の目安:今すぐ?当日中?
  4. 当日の検査と流れ(所要時間の目安)
  5. 来院までのセルフケアで「しない方がよい」こと
  6. よくある質問(FAQ)
  7. 予約・アクセス

“赤旗サイン”―精巣捻転を疑う場面

以下に複数あてはまる、あるいは突然の激痛があるときは精巣捻転を強く疑います。時間とともに精巣は障害を受けるため、早急な評価が必要です。

  • 突然発症の強い痛み(夜間/早朝に起こることも)
  • 悪心・嘔吐を伴う
  • 患側の高位(左右で精巣の高さが違う)や横向き(水平位)
  • 提睾反射の消失(太もも内側を軽くこすっても精巣が上がらない)※自己判定は困難
  • 発熱や排尿時痛が乏しい(炎症より捻転を示唆)
  • 痛みが移動せず持続(姿勢を変えても改善しない)
注意: 自宅で無理に“捻り戻す”ことはしないでください。状態を悪化させる恐れがあります。

よくある鑑別:何がどう違う?

精巣上体炎 (感染/炎症)

  • 多くは徐々に増悪する痛み
  • 発熱・排尿時痛・頻尿・尿の濁りが出やすい
  • 陰嚢挙上で軽快することがある(Prehn徴候)※決め手にはならない
  • 詳しくはこちら(精巣上体炎)

精巣/副精巣の虫垂状突起捻転

  • 軽中等度の痛み、しばしば限局的圧痛
  • 発熱は軽度、青点徴候がみえること
  • 超音波で鑑別可能なことが多い

鼠径ヘルニア/陰嚢内ヘルニア

  • 立位・いきみで膨隆が目立つ、手で還納できることも
  • 嵌頓は緊急(強い痛み・嘔吐・発赤

精索静脈瘤・陰嚢水腫・精巣腫瘍 など

  • 多くは慢性的・自覚症状が軽いことも
  • 腫瘍は硬いしこりを触れることがある
  • 精巣腫瘍はこちら
ポイント: 鑑別は問診+触診+超音波(血流評価)で精度が上がります。自己判断より、まずは受診を。

受診の目安:今すぐ?当日中?

今すぐ(緊急性が高い)

  • 突然の強い痛み+嘔吐青ざめ感
  • 患側が高位・横向き/触れでも強い圧痛
  • 痛みが姿勢で変わらず持続

精巣捻転を最優先に除外します。LINEから「急ぎ」とお伝えください。

当日中(できるだけ早めに)

  • 徐々に増悪する痛み・発熱や排尿時痛を伴う
  • 腫れが軽度だが不安(しこり・左右差)

→ 炎症/感染や虫垂状突起捻転などの可能性。LINE予約から当日枠をご案内します。

※救急受診が必要なケースでは、提携医療機関へ迅速にご紹介します。

当日の検査と流れ(所要時間の目安)

  1. 診察・触診・問診(10~15分):発症時刻、痛みの推移、排尿症状・発熱の有無 など
  2. 尿検査(10分):白血球・亜硝酸・血尿の有無、必要に応じて尿培養
  3. 陰嚢・鼠径部エコー(超音波)(15~20分):精巣血流・腫瘤・ヘルニア・水腫の評価
  4. 採血(10分):炎症反応、必要時ホルモン/腫瘍マーカー
  5. 画像追加:所見により CT / MRI を連携機関で同日〜翌日実施

※合計の院内滞在目安:30~60分(混雑状況により変動)。

来院までのセルフケアで「しない方がよい」こと

  • 強く揉む/捻る/押さえる:損傷や痛み増悪の原因
  • 自己判断で鎮痛薬のみ継続:診断の遅れにつながる
  • 入浴・運動:痛みが急増する場合がある

冷罨法やブリーフでの軽い固定は、痛み軽減に役立つ場合がありますが、改善しても受診してください。

よくある質問(FAQ)

痛みが引いたら受診不要ですか?

痛みが改善しても捻転と解捻を繰り返すケースがあり、精巣障害のリスク。初発でも評価を推奨します。

市販薬で様子見は?

鎮痛薬で隠れて診断が遅れることがあります。受診目安を参考に、できるだけ早めに受診してください。

性感染症が関係することは?

若年者の精巣上体炎ではクラミジア等が関与することがあります。必要に応じて検査と治療を行います(クラミジア)。

しこりが心配(腫瘍が不安)

硬いしこり・左右差・無痛性の腫大は精巣腫瘍を念頭に検査します。精巣腫瘍ページもご参照ください。

“今”判断に迷ったら―ご相談ください

日本橋/東京駅/茅場町/人形町エリアからアクセス良好。雨天は地下ルートをご案内可能です。

👨‍⚕️ 医師からのコメント・監修

陰嚢の急な痛みは“まず捻転を除外”が鉄則です。エコーで血流がある=捻転なしとは限らず、臨床と総合判断が重要です。自己判断で様子を見るより、発症時刻をメモして早めに受診ください。

※本ページは一般向け情報です。症状・治療は個別に異なります。緊急性が疑われる場合は速やかに医療機関を受診してください。

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