コラム
陰嚢が腫れた/痛い:捻転との鑑別“赤旗サイン”
陰嚢が腫れた/痛い:捻転との鑑別“赤旗サイン”
陰嚢の痛み・腫れは精巣捻転(緊急)を見逃さないことが最優先です。本稿は「今すぐ受診か?」を判断するチェックと、捻転と紛らわしい疾患の違い、当院での検査と流れを医師監修でまとめました。
“赤旗サイン”―精巣捻転を疑う場面
以下に複数あてはまる、あるいは突然の激痛があるときは精巣捻転を強く疑います。時間とともに精巣は障害を受けるため、早急な評価が必要です。
- 突然発症の強い痛み(夜間/早朝に起こることも)
- 悪心・嘔吐を伴う
- 患側の高位(左右で精巣の高さが違う)や横向き(水平位)
- 提睾反射の消失(太もも内側を軽くこすっても精巣が上がらない)※自己判定は困難
- 発熱や排尿時痛が乏しい(炎症より捻転を示唆)
- 痛みが移動せず持続(姿勢を変えても改善しない)
注意: 自宅で無理に“捻り戻す”ことはしないでください。状態を悪化させる恐れがあります。
よくある鑑別:何がどう違う?
精巣上体炎 (感染/炎症)
- 多くは徐々に増悪する痛み
- 発熱・排尿時痛・頻尿・尿の濁りが出やすい
- 陰嚢挙上で軽快することがある(Prehn徴候)※決め手にはならない
- 詳しくはこちら(精巣上体炎)
精巣/副精巣の虫垂状突起捻転
- 軽中等度の痛み、しばしば限局的圧痛
- 発熱は軽度、青点徴候がみえること
- 超音波で鑑別可能なことが多い
鼠径ヘルニア/陰嚢内ヘルニア
- 立位・いきみで膨隆が目立つ、手で還納できることも
- 嵌頓は緊急(強い痛み・嘔吐・発赤)
精索静脈瘤・陰嚢水腫・精巣腫瘍 など
- 多くは慢性的・自覚症状が軽いことも
- 腫瘍は硬いしこりを触れることがある
- 精巣腫瘍はこちら
ポイント: 鑑別は問診+触診+超音波(血流評価)で精度が上がります。自己判断より、まずは受診を。
受診の目安:今すぐ?当日中?
今すぐ(緊急性が高い)
- 突然の強い痛み+嘔吐や青ざめ感
- 患側が高位・横向き/触れでも強い圧痛
- 痛みが姿勢で変わらず持続
→ 精巣捻転を最優先に除外します。LINEから「急ぎ」とお伝えください。
※救急受診が必要なケースでは、提携医療機関へ迅速にご紹介します。
当日の検査と流れ(所要時間の目安)
- 診察・触診・問診(10~15分):発症時刻、痛みの推移、排尿症状・発熱の有無 など
- 尿検査(10分):白血球・亜硝酸・血尿の有無、必要に応じて尿培養
- 陰嚢・鼠径部エコー(超音波)(15~20分):精巣血流・腫瘤・ヘルニア・水腫の評価
- 採血(10分):炎症反応、必要時ホルモン/腫瘍マーカー
- 画像追加:所見により CT / MRI を連携機関で同日〜翌日実施
※合計の院内滞在目安:30~60分(混雑状況により変動)。
来院までのセルフケアで「しない方がよい」こと
- 強く揉む/捻る/押さえる:損傷や痛み増悪の原因
- 自己判断で鎮痛薬のみ継続:診断の遅れにつながる
- 入浴・運動:痛みが急増する場合がある
冷罨法やブリーフでの軽い固定は、痛み軽減に役立つ場合がありますが、改善しても受診してください。
よくある質問(FAQ)
“今”判断に迷ったら―ご相談ください
- LINEで24時間予約(最短枠のご案内、症状入力でスムーズ)
- 当日できる検査:尿検査/陰嚢エコー/採血
- 連携検査:CT/MRI(同日〜翌日調整)
- 関連:陰嚢痛の総合ページ|精巣上体炎|精巣腫瘍|泌尿器科トップ
日本橋/東京駅/茅場町/人形町エリアからアクセス良好。雨天は地下ルートをご案内可能です。
👨⚕️ 医師からのコメント・監修
陰嚢の急な痛みは“まず捻転を除外”が鉄則です。エコーで血流がある=捻転なしとは限らず、臨床と総合判断が重要です。自己判断で様子を見るより、発症時刻をメモして早めに受診ください。
※本ページは一般向け情報です。症状・治療は個別に異なります。緊急性が疑われる場合は速やかに医療機関を受診してください。