コラム
レチノイド/イソトレ中の乾燥とバリア低下、ボライトの役割
レチノイド/イソトレ中の乾燥とバリア低下、ボライトの役割
レチノイド外用やイソトレチノイン(内服)治療では、乾燥・つっぱり・ヒリつき・バリア低下が起こりやすく、継続の妨げになることがあります。
本稿では標準的な保湿・生活調整を土台に、ボライト(保湿特化ヒアルロン酸)を補助的に使う考え方をまとめます。
※炎症が強い部位は回避、医師判断でタイミングと範囲を設計します。
なぜ乾燥・バリア低下が起こる?
レチノイド/イソトレは角化の正常化・皮脂抑制・抗炎症を狙う反面、水分保持低下・刺激感・一時的な赤みを伴うことがあります。
結果として粉ふき・つっぱり・ヒリつき・化粧のり不安定が生じ、治療継続がつらくなることも。
- 皮脂/角層の変化 → 経表皮水分喪失(TEWL)↑
- バリア機能の一時的低下 → 刺激感/赤み
- キメの乱れ → 毛穴・ちりめんの見え方が不安定に
まずは“土台”:保湿と生活調整
- 入浴後3–5分以内の保湿:ワセリン/クリーム/敏感肌用を押さえ塗り。こすらない。
- 洗い方:低刺激洗顔・ぬるま湯・短時間。スクラブ/ブラシは休止。
- 日中:摩擦少ないUV、マスク/襟の擦れ対策。
- 再開順序:保湿ベース → 角質ケア/レチノール = 少量・低頻度から。
詳しく:ボライト後アフターケア / ニキビ治療
ボライトの役割|形は変えず“保湿”で質感を支える
ボライトはアラガン社製ジュビダーム ボライト(国内承認品)で、形は変えずに皮膚の水分保持(保湿)・弾力・キメ・ツヤを底上げする“肌質改善型”の注入。
レチノイド/イソトレ中の乾燥・ツヤ低下・キメ乱れに対して、補助的に用いて質感の土台づくりを支えます。
- 狙い:内側の保湿ベース補強 → 化粧のり/ツヤの安定
- 適す部位:頬・口周り・目周り(炎症が強い部位は避ける)
- 持続の目安:6–9か月(個人差)
関連:ニキビ治療×ボライト(保湿サポート) / ボライト総合
実施タイミングと禁忌(炎症強い部位は回避)
- 炎症強い部位は回避:膿疱・強い紅斑・びらんなどは注入しません。
- 用量変更期は様子見:イソトレの増減/導入直後は反応を見ながら判断。
- イベント逆算:点状の赤み・内出血への配慮で7–14日前の実施が安心。
現実的なプラン例(3ステップ)
- 診察:炎症の活動性・乾燥の程度・レチノイド/イソトレの状況を確認。
- ボライト設計:保湿目的で浅層に微量分散注入(形は作らない)。
- フォロー:アフターケアを徹底し、6–9か月目安で維持検討。
詳細:アフターケア
よくある質問(抜粋)
- Q. ボライトはニキビ自体を治しますか?
- いいえ。ボライトは保湿(質感)の補助。炎症/面皰の治療はレチノイドやイソトレ等が主担当です。
- Q. イソトレと併用できますか?
- 状況により併用検討が可能です。炎症の強い部位は回避し、時期と範囲は医師が個別判断します。イソトレチノイン
- Q. ダウンタイムはどのくらい?
- 赤み・むくみ・内出血などが数日で改善することが多いです(個人差)。
当院のポリシー(承認・正規品・同意)
- 製剤:アラガン社製ジュビダーム ボライト(国内承認品)を正規購入のうえ使用。
- 非正規品:使用しません。
- 同意:リスク・代替手段・費用を説明し、書面で同意取得。詳しくは ポリシーと同意へ。
