コラム
薬が効かない片頭痛—治療切り替えのタイミング
薬が効かない片頭痛—治療切り替えのタイミング
「前は効いていたのに最近は効かない」「そもそも効いた実感がない」。それは服用タイミング・用量・剤形・お薬の系統を見直すサインかもしれません。この記事では切り替えの判断材料を整理し、受診前に準備しておくと役立つポイントをご紹介します。
なぜ効かない?—よくある3つの原因
1. タイミング
- 前兆〜痛み初期に飲めていない
- 悪心・嘔吐で吸収が遅れている(制吐薬併用が有効なこと)
2. 用量・剤形
- 用量が不足/2回目投与の設計が最適でない
- 内服が合わず、点鼻や皮下注が適する場合あり
使い方を整えても効きにくい場合は、治療の系統変更や併用戦略が有効です。
治療切り替えの目安|自己チェック
| チェック項目 | 目安 |
|---|---|
| 急性期薬1回で痛み・随伴症状が十分に収まる | 半分未満 → 見直し対象 |
| 服用から改善までの時間 | 毎回遅い/ムラが大きい → 剤形・系統を再検討 |
| 月の発作日数 | 8〜10日以上が続く → 予防療法を検討 |
| 急性期薬の使用日数 | 月10日以上 → MOH(薬剤過剰使用頭痛)リスク |
| 副作用や生活支障 | 眠気で運転不可、むくみ・胃腸症状等 → 薬剤選択を変更 |
※ 目安です。診察で個別に評価します。→ 症状日記テンプレ
まずは安全確認|赤旗(要受診)
- 突然の最強頭痛(いきなり雷のような痛み)
- 運動中・咳・性行為などでのみ起こる激痛
- 手足の麻痺・ろれつ困難・視力障害などの神経症状
- 発熱・項部硬直、癌・免疫抑制・妊娠など背景リスク
- 性状が大きく変わった/初発が40歳以降
該当時は片頭痛と決めつけずに評価が必要です。→ 診断と検査|赤旗
急性期の見直し:タイミング×剤形×系統
まず整えること
- 前兆〜痛み初期に服用
- 悪心が強い → 制吐薬併用
- 2回目投与の設計は医師の指示で
予防療法はいつ始める?
- 導入の目安 月8〜10日以上の発作、重症発作、急性期薬の過使用、生活や就業への大きな支障
- 選択肢 内服予防薬(例:バルプロ酸 等)/CGRP関連薬(注射・内服)/生活のトリガー管理
- 評価 予防薬は数か月単位で効果判定。症状日記で見える化
妊娠計画・基礎疾患(高血圧・心血管疾患・肝機能 等)で選択は変わります。
薬剤過剰使用頭痛(MOH)に注意
- 急性期薬の使用が月10日以上でリスク上昇
- 「効かないから回数を増やす」は悪循環。系統変更や予防導入が近道
- 離脱の際は伴走型の計画で(制吐薬・ブリッジ療法等)
併存症・ライフイベントに合わせた選択
運転・夜勤
- 鎮静・めまいが出る系統は勤務に支障。薬剤選択や服用タイミングを調整
妊娠・授乳
- 必ず事前相談。安全性の高い選択肢や非薬物療法を優先
高血圧・心血管疾患
- 降圧薬との相互作用、血管作動性に配慮。→ アムロジピンの基礎情報
消化器・肝機能
- 内服吸収・代謝の課題がある場合は剤形や系統を再検討
費用の考え方(保険診療の目安)
- 受診・検査・処方は保険診療が基本(自己負担は1〜3割)
- 薬剤費は薬局でのお支払い。系統や日数で変動
- 画像検査は必要時のみ、提携機関で実施
詳しくは → 片頭痛の費用と保険適用
まとめ:効かない時は「使い方の最適化」→「系統変更」→「予防導入」
一人ひとりの片頭痛は違います。効かない時こそ見直す順番が大切。私たちは、生活やお仕事に合わせた現実的な治療計画を一緒に考えます。
