OABボトックス(過活動膀胱)|連携機関での注入+当院フォロー
概要:膀胱の「過敏」を落ち着かせる注入療法
膀胱の壁に少量ずつボトックスを注入し、頻尿・切迫感・切迫性尿失禁を和らげる治療です。内服(抗コリン薬・β3作動薬)で不十分な方や副作用で続けにくい方に選択します。
受診〜連携の流れ(当院 → 連携機関 → 当院フォロー)
- 初診(当院):症状整理、OABSS、排尿日誌の配布。
- 事前検査(当院):尿検査(感染の確認)/尿流・残尿/腎・膀胱エコー。必要に応じ採血。
- 適応説明(当院):内服で不十分・副作用で継続困難などを確認。尿閉リスク・自己導尿(CIC)の可能性も説明。
- 連携手続き:提携病院へ紹介状作成・日程調整・当日の流れをご案内。
- 注入当日(連携機関):局所麻酔/鎮静の有無は施設基準に準拠。膀胱鏡で数点に少量ずつ注入。
- 帰宅後〜フォロー(当院):2〜4週・3か月で評価。必要に応じて内服や行動療法を調整。
※精密検査、手術、治療が必要な場合は連携病院と一緒に治療にあたります。
効果の目安と持続
| 効きはじめ | 数日〜2週間ほどで少しずつ。尿意の「波」が弱くなる感覚。 |
|---|---|
| ピーク | 1〜2か月頃に自覚的な改善が最大になることが多いです。 |
| 持続 | 数か月続きます。効果が弱くなれば再投与を検討します(目安6〜12か月)。 |
効果の評価は排尿日誌と簡単な質問票で「見える化」します。
リスク・注意点
起こりうること
- 尿が出にくい・残尿増加(一時的なことが多い)
- 尿路感染症(発熱・痛みは受診を)
- 血尿・違和感・排尿時痛(数日で軽快しやすい)
- 効果に個人差、再投与が必要になること
適応に関する注意
- 妊娠・授乳中は実施可否を慎重に検討。
- 活動性の尿路感染症は先に治療してから。
- 高残尿・閉塞が疑われる場合は自己導尿(CIC)の練習を併せて検討。
- 持病・内服(抗凝固薬など)は事前に共有ください。
こんな症状はすぐ相談:発熱・悪寒、強い痛み、まったく出ない、血のかたまりで詰まる感じ。
事前準備(チェックリスト)
- 排尿日誌:2〜3日分の記録
- 尿検査:感染の有無を確認
- 残尿量・尿流:閉塞・出にくさの程度を把握
- 必要時:腎・膀胱エコー/採血
- お薬手帳:抗凝固薬・抗血小板薬の有無を確認
- 自己導尿(CIC)説明:高リスクの方のみ事前練習
術後フォロー(当院)
| 2〜4週 | 症状・残尿・感染の確認。内服(抗コリン/β3)の調整。 |
|---|---|
| 3か月 | 効果ピークの再評価。仕事や生活リズムに合わせた維持プラン。 |
| 6〜12か月 | 効果が弱くなれば再投与のタイミングを相談。 |
薬の量はできるだけ少なく、行動療法と組み合わせて負担を抑えます。
費用の考え方(保険/自費)
| 適応判断・事前検査(当院) | 保険(症状・所見に応じて必要項目を選択) |
|---|---|
| 注入手技(連携機関) | 保険(施設基準・投与量により異なります/連携先の規定に準拠) |
| 術後フォロー(当院) | 保険(診察・検査) |
| 自費 | 当院では性感染症の一部のみ自費。その他は保険対応です。 |
FAQ:よくある質問
内服とどちらが良いですか?
まずは内服+行動療法を十分に試し、それでも不十分な場合にボトックスを検討します。
何回までできますか?
効果と安全性を確認しながら、必要に応じて繰り返し可能です。間隔は目安6〜12か月です。
仕事はいつから再開できますか?
多くは翌日から可能です。症状や職種によって調整します。
尿が出にくくなったら?
まずはご連絡ください。残尿評価を行い、必要なら一時的な自己導尿で乗り切ります。
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