骨盤底リハ・行動療法|尿もれ・頻尿の在宅プログラム
概要:筋肉の「使い方」と「習慣」を整える治療
骨盤底は、尿道や膀胱の出口を支える下からのハンモックのような筋肉です。正しく使えると、尿もれが減り、尿意のコントロールがしやすくなります。行動療法(膀胱訓練・トイレ習慣・飲水の整え)を組み合わせると、薬に頼りすぎない改善が期待できます。
対象(どんな人に向いている?)
| 腹圧性尿もれ | 咳/くしゃみ/走ると漏れる。出産後・加齢で多いタイプ。 |
|---|---|
| 切迫性尿もれ・頻尿 | 急にトイレへ行きたくなり間に合わない/回数が多い。 |
| 混合型 | 腹圧性+切迫性が混ざるタイプ。両方のアプローチを併用。 |
| 男性(前立腺手術後) | 術後の尿もれに。回復の後押しとして推奨。 |
| 高齢者 | 筋力低下・便秘・冷え・服薬影響などを合わせて整えます。 |
正しい骨盤底トレ(男女別のコツ)
共通:基本フォーム
- 狙う場所:おなら/尿を今すぐ止めるつもりで、肛門〜会陰を「内へ・上へ」引き上げる。
- 呼吸は止めない。吐きながら力を入れ、吸いながら脱力。
- お腹・お尻・太ももに力が入っていないかチェック。
- 最初は仰向け→慣れたら座位→立位へステップアップ。
迷ったら、指2本を会陰に軽く当てて「内へ上へ」の引き上がり感を確認。
回数とセット(目安)
- ゆっくり収縮:5秒締める→5秒休む ×10回
- クイック収縮:1秒締める→1秒休む ×10回
- これを1日3セット(朝・昼・夜)
- 2〜3週で手応え、8〜12週で変化の実感が目安
女性のポイント
- 「膣を軽くストローで吸い上げる」イメージで。
- 出産後は痛みが落ち着いてから始め、無理をしない。
- 腹圧がかかる動作(重い荷物・咳)は先に締める→動く。
男性のポイント(前立腺手術後 含む)
- 狙いは肛門〜会陰(お腹ではない)。
- 立位での咳・歩行時は締めてから動作の癖づけ。
- 術後早期は無理せず、短時間×回数でこまめに。
※痛み・出血・違和感が強い時は一度中止し、受診してください。
膀胱訓練(切迫・頻尿に)
| トイレの間隔を少しずつ延ばす | 「今90分なら次は100分」のように、10〜15分ずつ目標を上げます。 |
|---|---|
| 尿意の波をやり過ごす | 深呼吸、つま先立ち、骨盤底を数秒キュッと締める→弛めるを数回。 |
| 夜間頻尿 | 就寝前の水分を控えめに、夕食後のカフェイン/アルコールを見直し。 |
| 排尿日誌 | 排尿日誌で回数・量・尿意の強さ・飲水を記録し、改善を見える化。 |
トイレ習慣・生活の整え方(行動療法)
トイレ習慣
- 念のため排尿を減らす(過剰は逆効果)。
- 二段排尿(出し切り感が弱い人向け)。
- 排尿姿勢:足を少し開き、前傾・腹筋は力まない。
飲食・日常
- 昼はこまめに、夜は控えめに飲む。
- カフェイン・アルコールは時間と量を管理。
- 便秘対策(食物繊維・水分・運動)。
- 冷え対策(保温・衣服)。
続ける工夫
- 歯みがき・電車待ち等とセット習慣に。
- スマホで1日3回のリマインド。
- 週1回は自己チェック日(回数・漏れ・起床回数)。
当院のメニュー例(初診〜12週)
| 時期 | 内容 | 目標 |
|---|---|---|
| 週0(初診) | 原因の整理、フォーム指導、排尿日誌配布 | 正しい動かし方を知る/1日のベース把握 |
| 週2〜4 | 回数・セットの調整、膀胱訓練スタート、飲水とカフェイン見直し | 漏れ回数・トイレ回数の軽減を実感 |
| 週6 | フォーム再確認、立位や動作連動(咳・階段・持ち上げ) | 日常動作での「先に締める」が自然に |
| 週8〜12 | 負荷↑(保持8〜10秒・セット増)、維持プラン作成 | 夜間起床回数↓/パッド枚数↓/QOL向上 |
必要に応じて薬物療法(OAB薬・α遮断薬など)や、膀胱ボトックス等を組み合わせます。
効果の測り方(見える化)
| 排尿日誌 | 回数・量・尿意の強さ・夜間起床回数の推移。 |
|---|---|
| 漏れの記録 | パッドの使用枚数・重さの変化。 |
| 質問票 | OABSSなど簡単なスコアで数値化。 |
| 客観評価 | 尿流測定/残尿量、エコー(必要時)。 |
FAQ:よくある質問
どれくらいで効果が出ますか?
個人差はありますが、まず2〜3週間で手応え、8〜12週間で変化を感じる方が多いです。
自己流で合っていますか?
お腹やお尻に力が入っていると逆効果。初回はフォーム確認をおすすめします。
薬は使わなくて大丈夫?
生活・リハで改善する方もいます。効果が不十分な場合は薬を少量から併用して調整します。
やってはいけない人は?
強い痛み・発熱・血尿などの急性症状がある時は中止し受診。手術直後は医師の指示に従ってください。
費用の目安(保険/自費の考え方)
| 指導・評価 | 保険(症状・所見に応じて) |
|---|---|
| 併用治療 | 必要に応じて保険(OAB薬・α遮断薬など) |
| 自費 | 当院は性感染症の一部のみ自費。リハ指導は原則保険で対応します。 |
※個別の費用は診察時にご案内します。
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