睡眠・ストレスと血糖:今夜からできるCBT-I入門
睡眠・ストレスと血糖:
今夜からできるCBT-I入門
「食事や運動は頑張っているのに、日によって血糖がブレる…」——その背後に、 睡眠不足とストレスが潜むことがあります。専門外来が、CBT-I(不眠の認知行動療法)の要点を、今夜から実践できるかたちで整理しました。
日本橋駅・茅場町駅から徒歩圏/東京駅もアクセス良好(日本橋・中央区の通院に便利)
1. なぜ睡眠・ストレスで血糖が乱れる?(要点)
- 交感神経・コルチゾール↑:睡眠不足や心理ストレスは、肝臓の糖新生↑・末梢インスリン感受性↓に。
- 食欲調整の乱れ:睡眠不足は食欲ホルモン(グレリン/レプチン)バランスを崩し、夜間の間食や過食につながりやすい。
- 行動変容の停滞:疲労で運動・食事管理が続かず、“生活のズレ”→血糖のブレが固定化。
だからこそ、睡眠衛生+CBT-Iで“自律神経の静けさ”を取り戻すことが、血糖安定(Time in Range拡大)に効きます。
2. CBT-I(不眠の認知行動療法)の基本:5つの柱
- 刺激制御:ベッド=「寝る/性活動のみ」。眠くなってから入床、20分眠れなければ一度出る。
- 睡眠機会の最適化:実際の睡眠時間にベッド滞在を寄せる(急な長時間横になりを避ける)。
- 睡眠衛生:午後遅いカフェイン/アルコール控え、就寝前スマホ光量↓、室温はやや涼しめ。
- 認知再構成:「今夜も眠れないと明日が終わる」などの極端思考を、根拠と代替思考でゆるめる。
- リラクセーション:呼吸法・筋弛緩・マインドフルネス短時間版をルーティン化。
※持病や作業リスク(運転業務など)がある方は、自己流で極端な睡眠制限を行わず医師と調整を。
3. 今夜からできる5ステップ
- 就寝90分前の“穏やかスイッチ”:照明を落とし(暖色系)、画面輝度を下げ、入浴はぬるめ10–15分。
- 悩みは紙に“外出し”:2分でOK。「明日やること」「心配ごと」を箇条書き→ベッドに持ち込まない。
- 呼吸1–4–2法(約3分):吸気4秒→息止め16秒→ゆっくり8秒吐く×3〜5回。めまい時中止。
- ベッドは眠くなってから:20分眠れなければ一度離床し、暗めの部屋で単調な読書。
- 朝の合図を固定:同じ時刻に起床・朝光を浴びる。休日も±1時間以内。
食後高血糖が気になる方は、夕食後10分の軽い歩行を“就寝2時間前まで”に。
4. 夜勤・交代制勤務のコツ
- 仮眠の質:開始前に20–30分のパワーナップ。カフェインは仮眠直前に少量(覚醒は出勤後2–3hにピーク)。
- 食事:夜勤中は消化良い主食+たんぱく+温かい汁物。高脂質/大盛りはNG。
- 終業後:帰宅時はサングラスで光量↓→入眠環境を早めに整える。
5. モニタリング:Time in Range(TIR)で“ブレ”を見える化
HbA1cは平均、TIRは一日の“揺れ”を教えてくれます。睡眠・ストレス介入の前後で、夜間〜翌朝のTIR/低血糖時間の変化を確認しましょう。
- 夜間の低血糖が疑われる方:低血糖ページも必読。
- 測定・機器の相談:まずは当院で適応を確認し、安全に導入を検討します。
6. 受診の目安・注意すべきサイン
- 夜間の動悸・冷汗・ふるえなど低血糖を疑う症状が繰り返す。
- 強い不眠が2週間以上続く/日中の居眠りで作業リスクが高い。
- いびき・無呼吸が指摘される(睡眠時無呼吸と糖尿病)。
- 妊娠中・妊娠希望で睡眠障害がある(妊娠糖尿病)。
- 糖尿病(総合) / 前糖尿病 / 2型糖尿病
- 低血糖:前ぶれと対処 / 脂肪肝と糖尿病
- 糖尿病治療薬(総合) / セマグルチド / SGLT2(エンパグリフロジン)
👨⚕️ 医師からのコメント・監修

睡眠と血糖は相互に影響し合います。完璧主義より“続けられる仕組み”を。まずは就寝前90分の環境づくりと、朝の起床時刻固定から始めましょう。薬の調整や低血糖の評価が必要な場合は、医療側の伴走が安全です。
監修:黒田 揮志夫(Kishio Kuroda, MD, PhD)|0th CLINIC 日本橋 院長(病理学/総合診療)
9. FAQ
Q1. CBT-Iは何週間で効果が出ますか?
A. 目安は4〜6週間。まずは「入床は眠くなってから」「朝の起床を固定」の2点に集中します。
Q2. 睡眠薬と併用は?
A. 併用の是非・減量計画は個別判断です。自己判断での中止/変更は避け、外来でご相談ください。
Q3. 夜間低血糖が怖くて眠れません。
A. 計測・食事タイミング・薬の調整が重要です。低血糖ページと併せて医師にご相談ください。
睡眠・ストレスを整えると、血糖の“ブレ”が落ち着くことがあります。まずは適応チェックから。